第381号黒岩検閲済 2026年7月24日 発行(不定期刊/前号:7月23日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|契約存続×アカウント凍結の型

物販フランチャイズの加盟契約は本部に残るのに、稼ぐ場所のアカウントは規約次第で消える型を、一次情報で調べた

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黒岩警戒度

「仕入れも、撮影も、発送も、こちらで代行します」——物販フランチャイズの案内には、そう書いてある。読み手が実際に手を動かすのは、プラットフォームへの出品と、日々の値付けくらいだ。手間が省ける分、契約はその分だけ本部との間に集中する。だが、稼ぐ場所そのものは、本部の外にある。今号は、この「契約が残る場所」と「稼ぐ場所」がずれている構造を、一次情報で調べた。

個別の企業名は挙げない。案件をまたいで現れる、勧誘の一つの型として見ていく。

「代行してもらえる」契約は、誰との間で結ぶのか

物販フランチャイズの多くは、ブランド品や海外の商品を、フリマ・ECサイトを通じて転売する仕組みを取る。加盟すると、本部が仕入れ先を紹介し、商品の撮影や発送作業まで代行してくれる、とうたわれる。加盟者がやることは、出品ページの管理と、注文が入った後の確認程度に絞られる、という説明を受ける。

この「代行」の対価として、加盟金と月々のロイヤリティを本部に払う。加盟金は百五十万円台、ロイヤリティは月数万円という幅で語られることが多い。ここまでは、単純な業務委託契約に見える。

私見だが、「仕入れも撮影も発送も」と手間を丸ごと引き受けてくれる契約は、聞こえがいい分、加盟者が自分の目で確かめる工程がそれだけ減る、ということでもある。代行してもらえる範囲が広いほど、加盟者の手元に残る「自分で検証できる情報」は狭くなる。

契約は本部との間で残るが、稼ぐ場所は外部の規約が握っている

ここで見落とされがちな点がある。加盟金とロイヤリティの支払い義務は、契約として本部との間に固定される。だが、実際に商品を売る場所——フリマアプリやEC・ブランド品売買プラットフォーム——は、本部が管理している場所ではない。

出品先のプラットフォームには、それぞれ独自の利用規約がある。真贋判定(本物かどうかの審査)が厳しくなったり、複数アカウントの運用や転売目的の出品が規約違反とみなされたりすれば、そのアカウントは凍結・利用停止されうる。加盟者が実際に商品を売れる場所は、そこで消える。

同じ構図は、無在庫転売の型を、お金の流れと規約で確かめた記事でも見えていた。出品先の規約は、加盟者と本部の契約とは別の場所にあるルールだ、という点は変わらない。

だが、本部との契約はそれとは独立して残る。アカウントが止まっても、加盟金を返す約束にはなっていないことが多く、月々のロイヤリティの支払い義務も、契約書上はそのまま続く。稼ぐ手段が止まっても、払う義務は止まらない——この非対称さが、この型の核だと私は見ている。

この「アカウント停止」というリスクそのものを主題にした公的な注意喚起は、私が確認できた範囲では見当たらなかった。ただし、近い制度として、大手のデジタルプラットフォームを対象にした法律がある。

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(経済産業省)は、指定された大手のオンラインモール等に対し、出品拒絶やアカウント停止を行う場合に、その内容や理由を開示するよう義務づけている。

ここで確かめておきたいのは、この法律が定めているのは「開示義務」であって、「停止を止める権利」ではないという点だ。しかも、対象は施行令で指定された一部の大手プラットフォームに限られる。指定されていない中小のプラットフォームでは、この開示義務そのものが及ばない。

開示義務はあっても、停止を止める権利ではない 大手プラットフォームには理由開示の義務があるが、それは「なぜ止めたか」を後から知る手段であって、止められること自体を防ぐものではない。稼ぐ場所は、本部ではなく、この規約の側が握っている。

契約の性質を、業務提供誘引販売取引という枠組みで確かめる

本部が「仕入れ・撮影・発送を代行するので、プラットフォームで稼げる」と誘い、その見返りに加盟金という負担を求める——この構造には、法律上の枠組みがある。

「業務提供誘引販売取引」(消費者庁・特定商取引法ガイド)は、「物品の販売又は役務の提供(そのあっせんを含む)の事業であって業務提供利益が得られると相手方を誘引し、その者と特定負担を伴う取引をするもの」と定義している。

この枠組みに当てはまる取引には、勧誘に先立って、業を行う者の氏名(名称)や、勧誘目的である旨、扱う商品・役務の種類を明示する義務がある、と同ガイドは説明している。加盟金や仕組みの話に入る前に、「誰が」「何を売る目的で」話しているのかを、まず名乗る義務があるということだ。

この型の勧誘で、SNS広告や無料相談の入口の時点で、本部の正式名称や勧誘目的がどこまで明示されていたか。私が個々の事案を検証したわけではないが、確かめる価値のある論点だと思う。

広告そのものにも、事業者を名乗る義務がある

SNS広告やランディングページが「通信販売の広告」に当たる場合には、別の表示義務がある。「通信販売についてのルール」(消費者庁・特定商取引法ガイド)は、事業者の氏名(名称)、住所、電話番号などを表示しなければならない、と定めている。

ただし、消費者からの請求に応じて遅滞なく提供する旨を広告にあらかじめ明示していれば、住所・電話番号の表示そのものを省略できる、という例外規定もある。表示が薄いこと自体が、即座に違反を意味するわけではない。省略の要件を満たしているかどうかも、あわせて見ておきたい論点になる。

面談前に確認しておきたい表示 無料相談に進む前に、本部の正式な商号、本店の住所、勧誘の目的である旨——この3点がどこかに明示されているかを確かめてほしい。この3点に淀みなく答えられない相手とは、次の話を急がなくていい。

「月利300万円」という広告の数字を、断定的判断という枠組みで見る

広告で見せられる想定利益と、契約後の面談で案内される数字が、大きく食い違うことがある。この落差については、以前の号でも、加盟金と月々のロイヤリティの回収期間という角度から数字を追った。今回は、この落差を、また別の法律の枠組みで見ておきたい。

消費者契約法第4条第1項第2号は、将来の価額や、消費者が受け取るべき金額など、将来における変動が不確実な事項について、断定的な判断を示すことを、契約の取消しにつながりうる行為として定めている。

「月利300万円になる」という言い方が、確実な将来の金額として示されたのか、それとも「そこまで届いた例がある」という上限の紹介だったのか。ここの違いを、私は確かめたい。「なる」と「なることもある」は、似ているようで、法律上の扱いはまったく違う。

国民生活センターに寄せられる「転売ビジネス」相談の数字

この型の相談は、実際にどれくらい寄せられているのか。「『転売ビジネス』で稼ぐつもりが…簡単には儲からない!」(国民生活センター・2021年)によれば、契約購入金額の分布は10万円以上50万円未満が52%、50万円以上100万円未満が23%を占める。百万円を超える契約も、珍しくない領域だということが分かる。

同資料は「『簡単に儲かる』などの広告や友人等からのうまい話をうのみにしないようにしましょう」と助言している。相談件数は2015年度の548件から2019年度には1,411件へ増え、相談者のうち20代が占める割合も21%から45%へ上がった、という推移も記されている。若い世代ほど、この型の入口に近づきやすくなっている、ということだと私は見ている。

すでに契約・加盟金を払ってしまった方へ

すでに加盟金を払い、契約書に判を押してしまった方へ。まず一つだけ言っておきたい。お金を取り戻すこと以上に、これ以上の追加費用や増額提案に応じないことが先だ。

  • 追加のロイヤリティ・増額提案・借入れの勧めに、その場で応じない
  • プラットフォームからアカウント停止の通知が来た場合は、その画面・通知を保存する
  • 契約書面・やり取りの記録(LINEやメール、振込明細など)を残す
  • 消費者ホットライン「188」・最寄りの消費生活センターに相談する

この型の契約が業務提供誘引販売取引に当たる場合、同ガイドが定めるとおり、契約書面を受け取った日から20日間はクーリング・オフ——契約を白紙に戻せる制度——を使える可能性がある。日にちが経っていても、まず188にかけて、当てはまるかどうかを聞いてみてほしい。

私には個別の解決はできない。判断は正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。

この記事のまとめ

  • 加盟金・ロイヤリティの支払い義務は本部との契約として残るが、稼ぐ場所であるプラットフォームのアカウントは外部の規約次第で凍結されうること
  • 勧誘には氏名等の明示義務、広告には事業者表示義務があり、「月利」の言い方は断定的判断の提供に当たりうること
  • 契約購入金額は10万〜100万円台が中心で、相談件数・若年層の割合はともに増えていること

確かめる順番は同じだ。その場で決めない。契約が残る場所と、稼ぐ場所は別だと知っておいてほしい。(黒)