「採掘益が毎日たまる」クラウドマイニングが、出金だけ独自トークンで絞られる型を、お金の流れで調べた
「採掘マシンを買えば、暗号資産のマイニングで毎日少しずつ採掘益がたまる」――そう案内される仕組みがある。入金すると、まず運営の独自トークンに両替され、そのトークンで仮想の採掘マシンを買う。あとは画面の数字が毎日増えていく。看板になる名前や利回りは案件ごとに違っても、お金の流れだけを抜き出すと、よく似た一つの型に収まる。特定の事業者は名指しせず、この「採掘益が独自トークンでたまる」型を、数字と仕組みからほどいた。
クラウドマイニングという言葉の、何が見えにくいのか
マイニングは、専門でない人にとっては中身がいちばん見えにくい部類の話だ。「海外に大きな採掘場がある」「安い水力発電で動かしている」と説明されても、こちらからその設備を確かめるすべがない。確かめられないものを、確かめたつもりにさせるのが、この型の入口である。
運営会社の所在も同じだ。本社が海外とされ、登記や責任者が外から追えないことが多い。金融庁は日本で登録を受けずに金融商品取引業や暗号資産交換業を行うことは違法だとし、無登録業者との取引は出金拒否や法外な手数料、急に連絡が取れなくなる高リスクがあると明言している。設備の規模より先に確かめたいのは、相手が登録を受けているかどうか、その一点だ。
「採掘益」が、なぜ運営の独自トークンで配られるのか
この型のいちばんの特徴は、お金が二度、運営の都合で姿を変えるところにある。第一に、入金した円やドルは、その場で運営の独自トークンに両替される。第二に、毎日たまる「採掘益」も、現金ではなく同じ独自トークンで増えていく。
つまり、こうなる。入金から採掘益まで、すべてが運営だけが値段を決められるトークンの中で動く。トークンの値段も、両替のレートも、運営が書ける数字だ。画面の残高が増えていても、それは運営の帳簿の中で増えているだけで、外の世界の現金が増えたわけではない。増えて見える数字と、引き出せる現金は、別物だ。
では、その採掘益はどこから出ているのか。本当に採掘で利益が出ているのか、それとも後から入った人の入金を、先に入った人の「採掘益」として配り直しているだけなのか。中身が見えない以上、外からは区別がつかない。区別がつかないものを「毎日増える」と見せられている、という点だけは確かである。
出口だけが、急に狭くなる
採掘益を貯めるところまでは、たいていスムーズに進む。流れが変わるのは、現金にしようとした瞬間だ。両替できるのは購入額の一定割合まで、一日に出せる上限はここまで、両替には手数料が何割、と条件が次々に出てくる。入口は広く、出口だけが狭い。
数字で一度ほどいてみる。仮に、トークンを現金に戻せるのは購入額の150%まで、両替手数料が1割だとする。10万円を入れて採掘益で残高が20万円に見えていても、戻せるのは15万円が上限、そこから1割引かれて手元は13.5万円。画面の20万円は、はじめから出口で15万円に絞られる前提の数字だった、ということになる。
さらに出金の段で、別の名目が足される例もある。金融庁は出金の際に税金等の名目で高額な金銭を要求されたり、紹介者や業者と連絡が取れなくなったりするトラブルが生じていると注意を呼びかけている。国民生活センターにも、投資サイトに手数料を支払ったのに出金できないという相談が寄せられ、「絶対に儲かるという話は存在しない」と述べている。出すために、さらに入れろ――それが来たら、そこで止めたい。
払う前・現金にする前に、確かめたいこと
マイニングという言葉に詳しくなる必要はない。確かめるのは設備の中身ではなく、お金の出入り口だけでいい。警察庁も暗号資産交換業者を利用する際は金融庁・財務局に登録された事業者かをホームページで確認するよう案内し、面識のない相手から暗号資産を求められたら詐欺を疑い家族や警察に相談するよう促している。そのうえで、
- 入金がいったん運営の独自トークンに両替される――その時点で、出口は運営に握られていると考える
- 現金に戻せる上限・両替レート・手数料が、入金前に明示されているかを読む
- 運営会社の名前を登録業者か否かで照らし、確認できないなら立ち止まる
- 「毎日たまる採掘益」の数字を、自分の手で裏取りできるかを基準にする
- 出金のために税金・手数料・保証金など、追加の入金を求められたら、そこで止める
この記事のまとめ
- 入金も採掘益も運営の独自トークンで動く型は、増える数字を運営が書け、出口だけを絞れる
- 見るべきは採掘設備の規模ではなく、登録の有無と、現金に戻せる条件(上限・レート・手数料)
確かめ方は結局のところ、トークンに両替される前に立ち止まる・出口の条件を先に読む・運営が登録業者か照らす。この3つに尽きる。出すためにさらに入れろと言われたら、その場で決めず、正規の窓口に相談したい。