説明のないマンガ広告から公式LINEへ──登録した先で段階的に有料へ進む副業の型を、お金の流れで調べた
スマホを眺めていると、かわいいマンガで埋め尽くされた副業の広告が流れてくる。主人公が借金で泣いていて、次のコマでスマホ一台で稼げるようになり、最後は笑っている。読み終えても、では何をして稼ぐのかという肝心の説明が、ほとんど書かれていない。続きが気になって押すと、たいてい公式LINEの友だち登録に着く。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで繰り返し現れる一つの型として、その登録の先で何が起きるのかを、お金の流れと公的なルールから調べた。
マンガばかりで、肝心の説明がない
まず引っかかるのは、広告の中身が「物語」だけで「事実」が乗っていない点だ。いくら稼げたという結果は描かれるのに、何を売り、何の作業で、誰がいくら払うのかは出てこない。説明を省いて感情だけ動かし、続きはLINEで、という運びになっている。
つまり、判断に必要な材料を広告の側で見せず、登録してからでないと中身が分からない構造になっている。これは「無料」という言葉だけで先に進ませ、本当の費用は後ろに隠す、という運びと同じだ。で、その利益の出どころは?――その一問を、登録ボタンを押す前に置いておきたい。
公式LINEに登録した、その先で何が起きるか
登録した後の流れには、案件をまたいで共通する型がある。消費者庁は2025年6月、簡単な副業をうたって高額なサポートプランを契約させる事業者について注意喚起を出している。そこでは、SNS等の広告から最初のLINEアカウントへ友だち登録させ、その後さらに別のLINEアカウントを追加させるなど、段階的に誘導していく手口が説明されている。入口は一つでも、進むほどに窓口が増えていく形だ。
そして最後に出てくるのが、高額なサポートプランの契約である。同じ注意喚起では、「このプランなら、月50万が当たり前になる」「儲けが出なければ返金保証がある」といった説明で契約を勧められた、という相談内容が紹介されている。要するに、無料で始まった話が、いつのまにか先払いの契約に変わっている。
数字でほどく:その報酬は、契約金を超えるのか
高い契約金を払っても、それ以上に稼げるなら割に合う、と考えたくなる。だが、ここは数字で確かめたい。前述の消費者庁の注意喚起には、調査の結果として「副業に係る報酬において、サポートプランの契約金額を上回る報酬を得た消費者は確認できませんでした」と記されている。つまり、払った額を取り戻せた人が確認できなかった、ということだ。
相談の数も増えている。国民生活センターによれば、情報商材に関する相談件数は2020年の1,341件から2023年には3,694件へと増えている(およそ2.8倍)。さらに同センターは、副業の相談のうちSNSをきっかけにしたものの割合が、2020年の23%から2024年7月末時点で70.1%へ拡大したと報告している。入口がSNSの広告に寄っていることが、数字にも出ている。
「月50万」が本当に誰でも続くなら、人を募ってサポート料を取らずとも、自分でやって増やせばいい。では、その報酬は、誰の何から出ているのか。広告のマンガには、そこが描かれていない。
相手が誰か、まず確かめる
もう一つ、登録の前に見ておきたいのが「相手が誰か」だ。事業者がインターネットで商品やサービスを売る場合、特定商取引法は広告への表示を義務づけている。消費者庁の特定商取引法ガイドは、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号、代金の支払時期や方法、返品・解約の条件などを広告に明示する必要があると説明している。
これらが見当たらない、あるいはLINEに登録しないと出てこない、という時点で、こちらは相手を確かめられないまま話を進めることになる。連絡先も、解約の条件も分からない相手に、先にお金を渡す――その順番が、そもそも逆さまではないか。
- 広告に「何をして稼ぐのか」「誰がいくら払うのか」が書かれているかを見る
- 登録後、別のLINEアカウントを次々と追加させられたら、いったん手を止める
- 「月◯万が当たり前」「返金保証」という言葉は、約束ではなく勧誘文句として受け取る
- 事業者名・住所・電話番号・解約条件が広告に明示されているかを、お金を払う前に確かめる
この記事のまとめ
- マンガ広告→公式LINE→別のLINEを段階的に追加→高額サポートプラン、という運びが案件をまたいで現れる
- 消費者庁の調査では、契約金額を上回る報酬を得た消費者は確認できなかったと記されている
確かめ方は三つで足りる。何をして稼ぐのかが広告に書いてあるか、相手が誰か(事業者名・連絡先・解約条件)が分かるか、そして「月◯万」「返金保証」を約束ではなく勧誘文句として読めているか。判断に迷ったら、消費者ホットライン「188」など正規の窓口に相談してほしい。