「無料のLINEで“勝てるFX”を毎日配信」――無料登録を入口に高額な有料講座へ運ぶ型を、お金の流れと登録制度の側からほどく
SNSの広告から「まずは無料のLINEに登録を」と促され、そこで“勝てるFXの配信”を毎日受け取る。しばらくして、非公開の有料講座へ案内される――。こういう相談の型が、時折ある。今号は、この「無料を入口にして、料金が後から出てくる有料講座・情報商材へ運ぶ」流れを、ひとつの型としてお金の流れと登録制度の側からほどいた。名指しはしない。扱うのは、案件をまたいで繰り返し現れる仕組みのほうである。
入口は「無料」、出口は「有料講座」
この型の運びは、だいたい同じ形になる。広告で「無料」を強く打ち出す。LINEに登録させる。そこで何日かトレード情報やノウハウを配る。信頼が積もったころに、料金が事前に示されない有料講座へ案内する。受講料が明かされるのは、たいてい登録したあとだ。
つまり、無料で配られているものは商品ではない。有料へ運ぶための入口として配られている。で、その無料を続ける費用の出どころは?――まず、そこを問いたい。配信を続ける手間にもお金がかかる。誰かがその費用を負担しているなら、回収する出口がどこかにあるはずだ。その出口が、後から出てくる有料講座である、という見方は自然だと思う。
数字でほどく:料金は後出しで、返金は通信販売のルールに乗る
気をつけたいのは、料金が「登録後にしか分からない」という点だ。比べる時間を持つ前に、まず登録だけ済ませてしまう。これは、考える時間を先に奪っておく運びにあたる。
もうひとつ、返金のルールも見ておきたい。ネット経由で申し込む有料講座や情報商材は、多くが「通信販売」の扱いになる。そして通信販売には、訪問販売のような法律上のクーリング・オフ(一定期間なら無条件で解約できる仕組み)が設けられていない。消費者庁の特定商取引法ガイド(通信販売)は、返品の可否や条件は事業者があらかじめ広告で示した特約によると説明している。事業者が「返品不可」と表示していれば、原則として返せない、ということだ。
国民生活センターにも、簡単にもうかるという情報商材を買い、有料のサポートを契約したが解約したい、という相談が寄せられている(国民生活センター・相談事例)。つまり、入る前に料金と返金条件を確かめられない契約は、入った後で取り消すのが難しくなりやすい。順序が逆なのである。
登録制度の側から見る:助言で報酬を得るなら、登録が要る
もうひとつの物差しが、登録制度だ。報酬を得て具体的な金融商品の助言を行うには、金融商品取引法に基づく登録が必要になる。金融庁は無登録業者との取引は要注意(金融庁)で、「株取引やFX取引、暗号資産取引などの金融商品取引業……を行う者は、日本の法令に基づき、登録を受ける必要があります」とし、無登録業者は投資者保護の態勢が確認できず高リスクだと明記している。
「無料の助言だから登録は関係ない」と説明される場合もある。ただ、無料の配信が有料講座という出口とつながっているなら、全体として何が行われているのかを、登録の有無の側から見ておきたい。金融庁は無登録で金融商品取引業を行う者の名称等(金融庁)として警告リストも公表している。もっとも、そのリストに載っていない相手なら安全、という話ではない。掲載がなくても問題のある勧誘はありうる、という注記も付いている。リストは「載っていたら避ける」ための材料であって、「載っていなければ安心」の保証ではない。
あわせて、勧誘の言葉そのものにも線が引かれている。金融庁は詐欺的な投資勧誘等にご注意ください(金融庁)で、「必ず儲かります」「元本も保証します」といった文句に注意するよう呼びかけている。要するに、「必ず勝てる」と断言する配信ほど、その断言の根拠を確かめたい、ということだ。
相談は、すでに数字として現れている
こうした勧誘は、めずらしい話ではなくなっている。国民生活センターによれば、SNSをきっかけに著名人を名乗る・つながりがあるなどとして勧誘される金融商品・サービスの相談件数は、2021年度52件、2022年度170件、2023年度1,629件と急増し、2023年度の平均契約購入金額は687万円に上る(国民生活センター(2024年))。入口の形は「無料LINE」だったり「著名人」だったりと違って見えるが、お金が動く局面では同じ性質が現れている。
では、その配信で得られる利益は、いったい誰の何から出ているのか。運用の成果からなのか、それとも後から払う受講料からなのか。そこが説明されないまま「まず登録を」と急かされる話には、近づかないでおきたい。
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
気合いで見抜こうとすると疲れるので、私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、登録の前に一拍おくこと。「料金と解約条件を先に教えてください」を口ぐせにしてしまえば、それだけで大半は防げる。そのうえで、次の点を確かめてほしい。
- 受講料・期間・返金条件が、申し込む前に文章で示されているか
- その配信が、金融庁に登録された業者によるものか(登録の有無を確かめる)
- 「必ず勝てる」等の断定があれば、その根拠を自分で確かめられるか
- 無料の配信と有料講座が、ひとつの出口へつながっていないか
この記事のまとめ
- 「無料LINE登録 → 料金後出しの有料講座」は、無料を入口に高額契約へ運ぶ型になりやすい
- ネット経由の有料講座は通信販売扱いで法定クーリング・オフがなく、返金が難しくなりやすい
- 見るべきは配信の華やかさではなく、料金・返金条件の事前開示と、登録の有無
困ったときは、一人で抱えずに消費者ホットライン188(消費者庁)へ。最終的な判断は、消費生活センター・警察など正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。