第460号黒岩検閲済 2026年8月11日 発行(不定期刊/前号:8月11日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|海外FXなりすまし業者の見分け方の型

「海外FXブローカー」を名乗るサイトが運営者情報を欠きSSL証明書も無効なまま、金融庁の登録一覧に載っていない型を、確かめられる事実で見分ける方法を調べた

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黒岩警戒度

海外のFXブローカーを名乗るサイトへ、SNSやマッチングアプリで知り合った相手から誘われる話がある。専用サイトには取引画面や資産のグラフが並び、担当者を名乗る相手も丁寧に対応する。だが、その会社の住所や電話番号を確かめようとすると、どこにも書かれていないことがある。

特定の事業者は名指しせず、この「海外FXブローカーを名乗るサイト」を、勧誘の言葉ではなく確かめられる事実で見分ける方法として、お金の流れと一次情報から調べた。金融庁の登録一覧との照合、特定商取引法に基づく運営者情報の表示、SSL証明書の有無――いずれも、相手の説明を鵜呑みにせず、こちらの手で確認できる手がかりだ。今号はこの3つの確認手順を軸に記録しておきたい。

入口は、これまでの号と同じ型

入口の型は、これまでの号で繰り返し確認してきたものと大きく変わらない。SNSやマッチングアプリで親しくなった相手から投資の話を持ちかけられ、LINEなど別のやり取りへ移る。警察庁「令和7年10月末における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」(2025年12月2日公表)は、「マッチングアプリ」のダイレクトメッセージからLINEのやり取りに移行後、投資に誘導されて金銭をだまし取られる相談が寄せられていると記録している。

LINEへ移った先で紹介されるのが、海外のFXブローカーを名乗る専用サイトだ。ここまでの経緯は当研究所ですでに複数回取り上げた。今号で確かめたいのは、その先に示される「海外FXブローカー」というサイトそのものが、本物かどうかをどう見るか、という一点である。

本物かどうかを、言葉ではなく確かめられる事実で見る

サイトの見た目、チャートの動き、担当者の対応の丁寧さは、いずれも作り込むことができる。私がまず見るのは、こちらの手で外部から照合できる3つの点だ。

①金融庁の登録一覧・無登録業者一覧との照合

海外に拠点を置くFX業者であっても、日本の居住者を相手に取引を勧めるなら、日本の法律に基づく登録が要る。金融庁「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」(2009年掲載・令和6年6月28日更新)は、「海外所在業者であったとしても、日本の居住者のために又は日本の居住者を相手方として金融商品取引を業として行う場合は、金融商品取引業の登録(日本の『金融商品取引法』に基づく登録)が必要」と明記している。

金融庁は、警告書を発出した無登録業者の名称を「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」で公開している。ただし、この一覧は「警告書の発出を行った時点で無登録営業を行っていることが確認できた者」に限られる。載っていれば警戒材料になるが、載っていないからといって登録済みだと確認できたことにはならない。この非対称を踏まえたうえで照合したい。

②特定商取引法の「運営者情報」――空欄・私書箱は要注意

サイトの下の方にある「運営者情報」「特定商取引法に基づく表記」を、私はまず開く。消費者庁「特定商取引法ガイド」通信販売広告Q&Aは、「『住所』については現に活動している住所、『電話番号』については確実に連絡が取れる番号を表示する必要があります」とし、「私書箱を表示しても、このような場所を表示したことにはならないので、『住所』の表示をしたことにはなりません」とも述べている。

国民生活センター「その通販サイト本物ですか!?“偽サイト”に警戒を!!」(2023年公表)も、偽サイトの特徴として「事業者の住所の記載がない。住所が記載されていても、調べてみると虚偽だったり、無関係の住所である」ことを挙げる。空欄、私書箱、確かめようのない海外住所――このいずれかに当てはまれば、その時点で一つ疑っていい。

③SSL証明書の有無を確かめる

アドレスバーの鍵マークと、URLが「https」から始まっているかどうか。専門的に聞こえるが、確かめる作業自体は数秒で終わる。前掲の国民生活センターの資料は、偽サイトの特徴として「個人情報を入力する画面にSSL(情報を暗号化した通信方法)が導入されていない」ことも挙げている。証明書が無効、あるいは鍵マークが表示されない状態で、氏名や入金情報を打ち込むよう求められたら、そこで一度手を止めてほしい。

3つとも確認して、初めて疑いを一つ晴らせる 金融庁の登録一覧との照合、運営者情報の実在性、SSL証明書の有無――いずれも相手の説明ではなく、こちらの手で照合できる事実だ。どれか一つでも欠けていれば、その場で足を止めてほしい。

評価サイトの点数は、判断の中心に置かない

こうしたサイトを検索すると、海外業者の評価をまとめた第三者のサイトが見つかることがある。点数や評価文が並び、低い評価がついていることもある。役に立つ場面はあるが、当研究所はこの種の評価や好意的な体験談を、判断の中心には置かない。

黒岩の一言 評価サイトの点数は、参考にはなる。だが、好意的な体験談が事業者側の意向で作られていることもある。消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」は、事業者が投稿内容を決定しているといえる表示は「事業者の表示」に当たると整理している。星の数や体験談の多さを、私は判断の根拠に加えないようにしている。

出金の段になって起きること

金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」(令和7年4月17日更新)は、「出金時に高額な手数料や税金の支払いといった名目の口座入金を要求され、入金した直後に連絡が取れなくなることもあります」と説明する。①〜③の確認を怠ったまま入金を進めると、たいていこの局面に行き着く。

金融庁「無登録業者との取引は要注意!!~無登録業者との取引は高リスク~」(令和6年6月28日更新)も、「出金の拒否や法外な出金手数料を請求されたりするほか、これまで連絡が取れていたのに急に連絡が取れなくなるなどといったトラブルに遭ったという声が多く寄せられています」と記録している。連絡が取れなくなった相手が、それまでやり取りしていた担当者と同一人物かどうかも、確かめようがない。

すでに入金してしまった方へ

お金を取り戻すこと以上に、これ以上払わないことが先だ。「出金のためにあと少し」と追加送金を求められても、そこで止めてほしい。順序はこうなる。

  • 追加の送金をいったん止める
  • サイトの画面・SNSのやり取り・入金記録を保存する
  • 振り込んだ決済元(銀行・クレジット会社)に状況を連絡する
  • 消費者ホットライン「188」や最寄りの消費生活センターに相談する

私には個別の解決はできない。判断は正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。

この記事のまとめ

  • 海外FXブローカーを名乗るサイトかどうかは、勧誘の言葉ではなく金融庁の登録一覧との照合で確かめる
  • 特定商取引法の運営者情報が空欄・私書箱・確かめようのない海外住所なら、その時点で一つ疑っていい
  • SSL証明書の有無は数秒で確認できる。評価サイトの点数や体験談は参考程度にとどめ、判断の中心には置かない

払ってしまったら、取り戻すより先に「これ以上払わない」。記録を残し、決済元に連絡し、188へ相談する。この順序を覚えておいてほしい。(黒)