第457号黒岩検閲済 2026年8月11日 発行(不定期刊/前号:8月11日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|LINEグループ勧誘の型

SNSの“投資家”アカウントがLINEグループへ誘い、成功談を演出する仲間で信頼させたあと、税金・保証金名目の追加入金を求める型を調べた

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黒岩警戒度

特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。今号のテーマは、SNSで接触してくる“投資家”アカウントから始まり、LINEグループの空気で信頼が作られ、出金の段になって税金や保証金の名目で追加入金を求められる、という一連の流れである。

入口——SNSの“投資家”アカウントから、LINEグループへ

最初の接触は、SNS上で実績を見せる投資家風のアカウントから始まることが多い、と報告されている。いきなり金銭の話はせず、「有益な投資情報を共有する」という名目でLINEやオープンチャットのグループへ招かれる。国民生活センターの報道発表資料(令和6年1月24日)は、この種の相談で「消費者は投資グループ内での指示通りに、指定された個人名義の口座に次々とお金を振り込みますが、最後はお金を一切引き出せなくなるという詐欺的な手口です」と説明している。

グループに入ると、他の参加者が「先生のおかげで稼げた」と語り合う場面に触れることになる。一人で判断させず、大勢が同じ方向を向いている場に置くことで、警戒心をゆるめる——という運び方だと私は見ている。同センターの別の報道発表資料(令和6年5月29日)によれば、SNSをきっかけに著名人になりすました勧誘に関する相談は、2023年度だけで前年度の約9.6倍に増えている。個別の事件ではなく、繰り返し現れている型だということである。

仕組みで見ておきたい点 「みんながやっている」「グループの空気が良かった」は、出どころの説明にはならない。人数の多さは、利益の根拠にはならない。

取引画面の数字——見えている利益は、必ずしも本当の運用結果ではない

グループの案内どおりに専用のアプリやサイトへ入金すると、マイページの残高や利益が増えていくのが見える。ただ、この数字が実際の売買の結果なのかどうかは、外側からは確かめようがない。前出の国民生活センター資料は「オンライン上のFXの取引画面では利益が出てるように見えても、画面自体が架空であり、実際の取引が行われていない場合があります」と注意を促している。数字は、書き換えることができる。そこが起点になる。

最初のうちは、少額の出金には応じてもらえることが多いという。これで「ちゃんと出金できる仕組みだ」と信用してしまうと、次の入金額が上がっていく。私が現場で見てきた構図と同じで、少額の成功体験は、あとの大きな入金を引き出すための布石になっている。

もう一つ、仕組みの土台の話をしておきたい。こうした投資アプリの多くは、海外所在の無登録業者が運営している。金融庁の注意喚起は「日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。取引を行う前に取引の相手が登録を受けているか確認して、無登録の海外所在業者との取引は行わないよう、注意してください」としている。海外所在であっても、日本の居住者を相手に金融商品取引を業として行うなら、日本の登録が要る——これが法律上の建てつけである。登録の有無を確かめられない相手とは、そもそも取引の実態を追いようがない。

出金の段になると、税金・保証金という名目の追加入金が始まる

まとまった金額を出金しようとすると、ここで名目付きの追加請求が来る。国民生活センターの相談事例では、「500万円の出金を求めたところ、『出金には税金として160万円が必要』と言われ振り込んだ」というケースが紹介されている。別の相談事例では「出金手数料900万円と、運用している海外の株式市場に税金1,300万円を支払わないと出金できないと言われた」という、より高額な例も記録されている。名目は「税金」「手数料」「口座凍結解除の保証金」と案件ごとに違って見えるが、構造は同じである。

で、その税金や保証金は、いったいどこに、何のために払うことになっているのか。本当に利益が出ているなら、その利益の中から差し引いて出金すればいいだけの話のはずだ。先に別の入金を求められた時点で、私はいったん立ち止まりたいと思う。

後出しの請求が意味すること 「税金」「保証金」という名目そのものが、出金を先延ばしにするための理由として機能しているように見える。払った後も同じ理由で次の請求が来る、という相談も少なくない。

詐欺かどうかは、私には断定できない。判断は警察・消費生活センターなど正規の窓口に委ねたい。ただ、この型に当てはまるやり取りをしている最中であれば、次の一手だけは自分で選べるようにしておいてほしい。

  • 追加の入金は、名目が何であれ、いったん止める
  • やり取りの画面・送金記録は消さずにスクリーンショットで残す
  • 振り込んだ銀行・決済元に、状況を伝えて相談する
  • 警察相談専用電話「#9110」、消費者ホットライン「188」、最寄りの消費生活センターに連絡する

この記事のまとめ

  • SNSの“投資家”アカウント→LINEグループでの集団心理形成→取引画面での数字操作→出金時の税金・保証金名目の追加請求、という流れが公的機関の相談事例で繰り返し確認できる
  • 見えている利益・仲間の成功談は、出どころの説明にはならない。無登録の海外業者との取引は、それ自体が法律上の危うさを抱えている

お金を取り戻すこと以上に、これ以上払わないことが先だ。名目付きの追加請求が来た時点で、いったん持ち帰って、正規の窓口に相談してほしい。(黒)