第441号黒岩検閲済 2026年8月8日 発行(不定期刊/前号:8月8日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|客観相場ニュース×メール登録導線の型

決算・株価材料をまとめる無料コラムに並ぶ、「メールアドレスだけ」で始まる無料株情報ツールへの登録導線を、特定電子メール法・景品表示法の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

「今日の決算はこちら、材料が出た銘柄はこちら」——そう客観的な体裁で伝える無料の相場ニュースコラムがある。読んでいるだけのつもりが、記事の途中や末尾に、性格の違う複数の窓口への案内が並んでいることがある。ある窓口は投資顧問のような形を取り、別の窓口はAIが銘柄を選ぶという触れ込みで、実績の数字も窓口ごとに大きく異なる。

共通しているのは、どちらも「メールアドレスを入力するだけ」で始められる、という一点だ。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れるこの型を、お金の流れと同意の中身から調べた。

「客観的なニュース」の隣に、案内が並ぶ理由

その日の決算や株価材料は、誰が書いても数字自体は動かない事実である。だからこそ、この客観的な事実の隣に案内を置くと、案内そのものにも同じ確からしさが移って見えやすくなる。私が注意したいのはここだ。決算という一次情報の信頼を、隣に並ぶ有料・無料の窓口が、いわば借りている構造になっている。

窓口が投資顧問なのか、AIが銘柄を選ぶツールなのか、その場では判別しづらい。名称も肩書もそれぞれ違うのに、案内される段になると同じ一つの登録フォームへ合流する——という並びも珍しくない。その案内の出どころは、客観的なニュースを書いている主体と同じなのか、別なのか。そこが説明されないまま読み進めてしまうのは、少しもったいないと私は思う。

「メールアドレスだけ」で、何に同意したことになるのか

案内の先でよく見る一文がある。「メールアドレスを入力するだけで、無料の銘柄情報を受け取れます」。項目がメールアドレス一つだけなら、心理的な負担は小さい。だが、この軽さは、そのあと何が届くかとは別の話だ。

総務省・消費者庁の指針は、法律の条文をこう引用している。「送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。一 あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を……通知した者」(総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」、2010年4月)出典。つまり、広告や宣伝を目的にしたメールを送るには、原則として事前の同意——いわゆるオプトイン——が要る。

登録フォームのどこに、何に同意する旨が書かれているか。私はそこを一度確かめてから進むことを勧めている。同意の文言が小さすぎたり、チェックボックスがあらかじめ入っていたりする作りなら、その一点だけでも立ち止まる理由になる。

実績の数字は、条件込みで読めているか

窓口によっては、実績の数字を大きく掲げているものもある。数字そのものの検証は別の号ですでに扱ったので、ここでは見せ方の側を確かめたい。消費者庁の実態調査報告書はこう指摘する。「強調表示と打消し表示とが矛盾するような場合は、一般消費者に誤認され、景品表示法上問題となるおそれがある。」(消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書(概要)」、2017年9月)出典

大きな実績の数字が目立つ位置に置かれ、その前提条件——対象の期間、銘柄の選び方、都合の悪い結果を除いていないか——が小さく添えられているだけなら、この矛盾に近い作りになっていないか、一度読み直したい。数字の大きさより、条件がどこまで明記されているかのほうが、私には確かな手がかりに見える。

無料の先が「情報」か「継続する助言」かで、話は変わる

メールアドレスの登録だけで受け取れるとしても、その中身が一度きりの銘柄名の通知なのか、それとも会員限定で個別性の高い情報が繰り返し届く仕組みなのかで、位置づけは変わってくる。金融庁の監督指針はこう整理している。「会員登録等を行わないと投資情報等を購入・利用できない……ような場合には登録が必要となることに十分に留意する」(金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」)出典

無料であることと、投資助言・代理業——有料で個別の投資情報を助言するには金融庁への登録が要る、という制度——の登録の要否は、別の軸にある論点だと私は読んでいる。で、その無料配信の利益の出どころは? 配る側の懐が痛むだけの善意とは考えにくい。どこかで紹介料が生じているか、有料の先の商品が控えているか、あるいは指定された業者からの紹介報酬が出ているか——そのいずれかだろうと私は見ている。

「メールアドレスだけ」の軽さと、届く中身の重さは別 登録の手間が軽いことと、その先で届く情報の性格が軽いことは、必ずしも一致しない。同意事項に配信の目的と停止の方法が明記されているか、そこだけでも登録前に確かめておきたい。

巻き込まれないための、確認の手順

気合いで見抜こうとすると疲れる。私は、客観的なニュースを読む時間と、フォームに入力する時間を、最初から分けてしまうことを勧めている。具体的には、次のところで一度止まってほしい。

  • 実績の数字を見たら、対象の期間や銘柄の選び方など、条件が小さく添えられていないか確かめる
  • メールアドレス登録の同意事項に、配信の目的と停止の方法が明記されているか確かめる
  • 「無料」の先が一度きりの情報なのか、会員限定で繰り返し届く情報なのかを見分ける
  • 案内される窓口の運営者名や登録の有無を、自分の手で照合する
迷ったとき用の一言 「本当に無料で渡せる情報なら、同意事項を確かめる数十秒を惜しむ理由はないはずだ」。同意の中身を尋ねて、はぐらかされたり、文言が小さく隠されていたりしたら、その作り自体が一つの答えだと思っている。

この記事のまとめ

  • 客観的な決算・株価材料ニュースの隣に、性格の違う複数の窓口が並び、いずれも「メールアドレスだけ」で始められる型がある
  • 広告メールの送信には原則として事前の同意が要り、実績数字の強調表示にも打消し表示の考え方が及ぶ
  • 無料の会員限定配信でも、内容次第では投資助言・代理業の登録という論点に触れうる

確かめるべきは実績の数字の大きさではなく、同意事項の中身と、無料の先にある情報の性格だ。