第433号黒岩検閲済 2026年8月6日 発行(不定期刊/前号:8月5日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|銘柄紹介記事×広告混在×LINE登録の型

無料の銘柄紹介記事から公式LINE登録へ、投資顧問・AIツールの広告が同じ並びで置かれる型を、景品表示法・金融庁の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

また一つ、無料で読める記事から始まる話を調べた。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れと表示の作りで調べた。今回の入り口は、10万円以下で買える個別銘柄を並べた紹介記事だった。

記事自体は、株価も単元数も書かれた、ごく普通の銘柄紹介に見える。ただ読み進めると、末尾に公式LINEへの登録案内があり、その周りに投資顧問サービスのバナーや、AIを使った自動売買ツールの広告が、記事本文と同じ紙面の並びで置かれていた。どこまでが記事で、どこから広告なのか、読んでいる側には正直、境目が見えなかった。

「完全無料」の入り口と、その先にある広告の並び

銘柄紹介という体裁

紹介される銘柄は、たいてい1万円台から10万円以下で買える少額の株が選ばれる。間口の広さが、まず読者を引き寄せる役目を持つ。ここまでは、ただの株式情報記事と変わらない。

「完全無料」「限定配信」という言葉

記事の末尾に置かれるのが、公式LINEへの案内だ。「登録は完全無料です」という一文に、「相場先読み情報を限定配信」という言葉が添えられている。無料という言葉自体は事実かもしれない。ただ、無料を強調する表示には、そのすぐ近くに例外や条件を分かりやすく示す責任がある。消費者庁は、強調表示に付随する打消し表示について、こう整理している。「強調表示は、対象商品・サービスの全てについて、無条件、無制約に当てはまるものと一般消費者に受け止められるため、仮に例外などがあるときは、その旨の表示(いわゆる打消し表示)を分かりやすく適切に行わなければ、その強調表示は、一般消費者に誤認され、不当表示として…景品表示法上問題となるおそれがある」(消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書(概要)」(平成29年7月))。「完全無料」の先で何が起きるのか、その注記がどこにどう書かれているかを、まず見ておきたい。

ここが引っかかるサイン 記事の本文と、広告バナー、外部サービスへの登録導線が同じ見た目・同じ並びで置かれているとき、私はいったん「これはどちらの意図で置かれた表示か」を分けて見るようにしている。分けて見えないなら、それ自体が一度疑っていい局面だと思う。

型を、お金の流れではなく「表示の境目」で分解する

今回の型で、私が一番引っかかったのは金額そのものより、記事と広告の境目だった。同じ紙面の中に、銘柄紹介の本文と、投資顧問サービスの広告バナー、AIを使った自動売買ツールの広告、別サイトへのリンクが並ぶ。読んでいるときは、どれが編集の判断で書かれた記事で、どれが広告主から依頼されて置かれた表示なのか、あまり区別がつかないように見える。

広告であることを隠す表示は、それ自体が規制の対象になっている。消費者庁は2023年10月1日から、こうした表示を景品表示法違反として明確にした。「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる『ステルスマーケティング』です」「景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです」(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。広告か記事か分からない表示そのものが、この告示の対象になり得る。で、その並びを決めたのは誰なのか。

LINE登録の先で、何が配信されるのか

「完全無料」で登録したLINEの先で、実際に何が届くのかは、記事のその場では分からない。この型に近い相談の枠組みとして、金融庁はSNS上の広告・投稿を経由し、有料の投資アドバイスへ誘導される事例についての情報受付窓口を設けている。「SNS上の投資詐欺が疑われる広告や投稿に関する情報(偽広告等をきっかけに投資や有料の投資アドバイスの勧誘を受けた、又は実際に投資詐欺の被害に遭った場合などに限る)」を受け付けているという(金融庁「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口の設置等について」)。無料の登録が、そのまま無料で終わる保証はない、ということだと私は見ている。

数字で見る、無料から始まる情報商材トラブル

「無料」を入口にした情報のやり取りが、後から有料の契約に発展する相談は、国民生活センターにも一定数寄せられている。同センターは情報商材(インターネット上で販売される、知識やノウハウ提供を目的とした情報)に関する相談件数を継続的に集計しており、2023年度6256件、2024年度4163件、2025年度2623件という数字を公表している(国民生活センター「情報商材」)。この統計は今回の型そのものに限った数字ではなく、SNSやブログ経由の勧誘全般を含む。それでも、無料の入口から有料の契約へ進む相談が、いまも一定数続いているという傾向は読み取れる。

  • 記事の中に「広告」「PR」の明示があるかどうかを、まず探す
  • 「完全無料」の近くに、例外や条件を示す注記がないか確かめる
  • LINE登録の前に、その先で有料の話が出る可能性を前提にしておく
  • 投資顧問・AIツールの広告バナーは、記事本文の推奨とは別物として見る
  • 迷ったら消費者ホットライン「188」(消費者庁)へ相談する
迷ったとき用の一言 記事とバナーの境目がぼやけて見えたら、まず「これは誰が書いた表示で、これは誰が出した表示か」を自分の手で一つずつ分けてみてほしい。分けられないまま次の登録に進むのは、いったんやめておいたほうがいい。

この記事のまとめ

  • 無料の銘柄紹介記事に、公式LINE登録と複数の広告バナーが同じ並びで置かれる型がある
  • 広告であることを分かりにくくする表示は、景品表示法上の規制対象になっている
  • 「完全無料」の登録が、後から有料の投資アドバイスにつながる例が金融庁の窓口にも寄せられている

記事と広告の境目が見えないときは、まず自分の手でその境目を分けてみてほしい。うまい話は、まず数字でほどく。(黒)