第440号黒岩検閲済 2026年8月8日 発行(不定期刊/前号:8月8日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|月次実績公開EAの型

「毎月の運用実績を公開し続けるブログ」から「友だち追加でEAを無料配布」に橋渡しする型を、金融庁・国民生活センターの一次情報で調べた

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黒岩警戒度

「先月の運用結果は、+38万円でした」――取引履歴らしきスクリーンショットまで添えて、そう毎月きちんと報告してくるブログがある。数字は具体的で、書きぶりも誠実に見える。私が気にするのは、その実績の中身ではなく、実績を律儀に公開し続けた記事の末尾が、たいてい同じ場所に着地することのほうだ。「友だち追加してくれた方には、自動売買のEAを無料でプレゼントします」。特定の発信者やツールは名指しせず、この“月次実績の継続公開→友だち追加でEA無料配布”という型を、語られる数字ではなく、お金の流れと制度の側から調べた。

なぜ「毎月の実績」を淡々と公開し続けるのか

一回きりの「儲かりました」という報告なら、誰にでも書ける。だが期間を区切って毎月、しかも「今月は控えめでした」という月も含めて淡々と出し続けると、話の重みが変わってくる。「都合の悪い月は隠しているのでは」という疑いに対して、マイナスの月も載せることで、むしろ誠実さの証明として働く。この“継続公開”という形式そのものが、内容の正しさとは別に、信頼を積み上げる装置として機能しうる。私はそう見ている。

ただ、実績のスクリーンショットが示せるのは、あくまで「その取引の結果」までである。その先で紹介される業者が日本で登録を受けているか、無料の先に何が控えているかは、スクリーンショット一枚では一文字も証明されない。毎月の数字に説得力があるほど、「だから友だち追加も安心」という結論にすり替わりやすくなる。ここを分けて考えたい。

「友だち追加でEA無料プレゼント」は何を経由しているのか

実績公開の記事の末尾には、たいてい同じ形の一文が置かれる。「友だち追加してくれた方には、無料でお使いいただけます」。無料だから気軽に見えるが、ここで一つ、確認しておきたい論点がある。金融庁の監督指針は、投資助言・代理業の登録が必要になる場面について、こう整理している。「会員登録等を行わないと投資情報等を購入・利用できない(単発での購入・利用を受け付けない)ような場合には登録が必要となることに十分に留意するものとする」(金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」)出典

単に「モノとしてのEA」を一度だけ渡すのか、それとも導入後もシグナル配信や設定変更の指示が続く“継続する助言”に近いのか。「友だち追加(会員登録)をしないと受け取れない」という導線を経由している場合、この基準に照らして検討されるべき論点が生じうる、と私は読んでいる。行為の中身次第であり、私にはこの型そのものが違法だと断定はできない。ただ、「無料だから、登録は気にしなくていい」という理屈が、そのまま素通りできるものではない、ということは言っておきたい。

無料の先にあるのは「モノ」か「継続する助言」か 配られているのが一度きりの設定ファイルなのか、それとも導入後もアップデートや指示が届く仕組みなのか。後者に近いなら、なおさら一度、この論点を確かめておいたほうがいい。

数字でほどく:無料の入口の先にあるもの

国民生活センターは、副業や投資の儲け話について、こう注意を呼びかけている。「近年みられる手口では、初めから高額契約を勧誘するのではなく、無料や少額の情報商材を販売してから高額契約を勧誘する事例があります」(国民生活センター・2018年8月)出典。同じ資料では、「FX投資用ソフト、自動売買ツール等」が具体例として名指しで挙げられている。無料のEAそのものが最終的な着地点とは限らず、その先に有料の講座・サロン・追加ツールが控えているケースがある、という前提で見ておいたほうがいい。

で、その利益の出どころは? EAを無料で配っても、配る側の懐は痛むだけで、それ自体は収益にならない。どこかで紹介料が発生しているか、有料の先の商品が控えているか、あるいは指定された業者からの紹介報酬が出ているか。無料という言葉の裏には、必ず誰かの収益構造がある。それを確かめずに友だち追加だけ済ませるのは、話の半分しか聞いていないのと同じだと思う。

指定された業者は、どこの国の、どんな登録を受けているか

自動売買EAには、たいてい「この業者で口座を開いてください」という指定がセットになっている。金融庁は、無登録業者との取引についてこう注意している。「投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず、登録を受けている業者と同等の態勢が整っていない可能性が高い」。実際のトラブル例として「出金の拒否や法外な出金手数料を請求されたりする」「急に連絡が取れなくなる」ケースが挙げられている(金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」)出典

無料でもらったEAそのものより、その先で開かされる口座がどこの業者かのほうが、よほど重い確認事項だ。ここは日本語のLPが整っているかどうかでは判断できない。取引を始める前に、金融庁のサイトで登録の有無を自分の手で照合してほしい。

「載っていない」は「安全」の証明にならない 金融庁は無登録業者の名称を公表しているが、同じページで「掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ます」とも明記している。確かめるべきは「警告リストに名前がないか」ではなく「登録を受けているか」という向きである。

巻き込まれないための、確認の手順

気合いで見抜こうとすると疲れる。だから私は、実績の親しみやすさと、お金の判断を、最初から別の引き出しに分けてしまうことを勧めている。具体的には、次のところで一度止まってほしい。

  • 実績のスクリーンショットは「取引結果」であって、「業者の安全性」の証明ではないと分けて考える
  • 「友だち追加(会員登録)しないと受け取れない」無料配布には、継続する助言が伴っていないか確認する
  • 無料の先に、有料の講座・サロン・追加ツールが控えていないか、あらかじめ調べる
  • EAで指定された業者が、日本で登録を受けているかを金融庁のサイトで照合する
  • 「必ず」「絶対」「保証」の語が、免責事項の外側で使われていないか読み直す
迷ったとき用の一言 「本当に無料で渡せるものなら、業者の登録を確かめる数分を嫌がる理由はないはずだ」。登録状況を尋ねて、はぐらかされたり話をそらされたりしたら、その反応自体が一つの答えだと思っている。困ったときは、ひとりで抱えず消費者ホットライン「188」に相談してほしい。

この記事のまとめ

  • 「毎月の実績を淡々と公開し続ける」形式は、内容の正しさとは別に信頼を積み上げうる
  • 「友だち追加しないと受け取れない」無料配布は、継続する助言の有無次第で登録の要否という論点に触れうる

確かめるべきは実績の数字ではなく、指定された業者の登録の有無だ。その一手間のほうが、何か月ぶんの運用実績よりも確かだと私は思う。