第427号黒岩検閲済 2026年8月4日 発行(不定期刊/前号:8月4日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|友人紹介型高額投資講座

友人・先輩からの誘いでZoom説明会に参加すると「AIが相場判断する」約65万円のFX投資講座へ進み、紹介するほど報酬が増える型を調べた

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黒岩警戒度

友人や大学の先輩から、投資の話を持ちかけられたことのある人は、たぶん少なくないと思う。SNS広告ではなく、知っている顔からの誘い。それだけで、警戒はだいぶゆるむ。今号は、そういう身近な人間関係を入口にして、「AIが相場を判断してくれる」という高額なFX投資講座へ進む型を調べた。特定の案件は名指しせず、お金の流れと制度の側から見ていく。

なぜ「友人経由」だと、警戒がゆるむのか

広告なら疑ってかかれる。だが、相手が知っている顔だと話は変わる。国民生活センターは「友人や知人から『もうかる。人を紹介すれば紹介料も入る』と勧誘されお金を預けたが、出金できない、返金されないといったケースもみられます」と2022年に注意を呼びかけている。同じ資料では、暗号資産に関する相談だけで2021年度に6,350件が寄せられたとある。金融庁も「知り合いからの紹介やSNS等を通じて、暗号資産やコモディティ等で運用すると必ず儲かるとうたう高利回りな投資話に勧誘され」るケースに注意を促している。友人・先輩・大学の先輩後輩という関係は、いちばん疑いにくい入口の一つだ、と私は見ている。

Zoom説明会から、約65万円のFX投資講座へ

誘いを受けて参加すると、Zoomでの説明会に進むことが多いようだ。そこで語られるのが「AIが相場を判断してくれるから、初心者でも大丈夫」という説明。うまい話に聞こえるが、まず確かめたいのは、その相手が金融商品取引業の登録を受けているかどうかだ。金融庁は「日本の居住者を相手に、株取引やFX取引、暗号資産取引などの金融商品取引業・暗号資産交換業を行う者は、日本の法令に基づき、登録を受ける必要があります」としたうえで、「登録を受けていない『無登録業者』は、投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず」と説明している。「AIが判断するので儲かる」という将来利益の断定的な言い方も、消費者契約法が言う「断定的判断の提供」に近い型だ。ここでは受講料として約65万円が語られる。公式サイトも料金表も、外からは確認できない。

数字でほどく——65万円という金額

国民生活センターには、よく似た価格の相談事例が残っている。2023年の報告に、「AIの自動売買ツールの価格は約70万円だが、割引をするので約40万円だと勧められて、画面に表示された契約書に氏名、住所を入力した」という実際の相談が紹介されている。「AI×自動売買×高額」という組み合わせ自体は、今回に限った特別なものではなく、公的な相談窓口に何度も届いている型だ、ということはまず押さえておきたい。同じ資料の集計では、情報商材に関する相談のうち、無理やり消費者金融等から借入させる「クレ・サラ強要商法」の割合は2018年度の2.6%から2022年度には14.8%まで上がっている。20歳代の平均既支払額も、同じ期間で約52万円から約80万円に増えた。65万円という数字は、この幅のちょうど内側に収まる。

「借入をすすめられた」という相談も 「『融資を受けて代金を支払っている人もいる』と言われ、画面を共有したまま貸金業者のアプリで50万円の借金を申し込んだ」という相談も、国民生活センターに寄せられている。手元に用意できない金額を前に「みんなそうしている」と言われたら、そこで一度止まってほしい。消費者庁も「『簡単に稼げる』『もうかる』ことを強調する広告をうのみにしないようにしましょう」「『借金』してまで契約しないようにしましょう」と呼びかけている

「紹介すれば報酬」という仕組みの正体

この型でもう一つ確かめたいのが、「人を紹介すると報酬が出る」という部分だ。消費者庁は連鎖販売取引について「他の人を勧誘して入会させると1万円の紹介料がもらえます」などと言って人々を勧誘し(このような利益を「特定利益」といいます)と説明している。紹介報酬という仕組みそのものが、特定商取引法の対象になりうる、ということだ。同じ法律は、連鎖販売取引の勧誘に先立って、統括者(誰が仕切っているか)の氏名・名称を相手に明示する義務も定めている。公式サイトも料金表もない、という不透明さは、この明示義務と並べると対照的に見える。

すでに契約してしまった場合の制度も、あわせて押さえておきたい。「法律で決められた書面を受け取った日……から数えて20日以内であれば、消費者は連鎖販売業を行う者に対して、書面又は電磁的記録により契約の解除(クーリング・オフ)をすることができます」。20日を過ぎても「将来に向かって連鎖販売契約を解除できます」という中途解約権が別に用意されている。「もう20日経ったから、あきらめるしかない」ということはない。

正直に書いておくと、「同じ社名を名乗る別会社が複数あり、どこが実際の契約主体か特定しにくい」という現象そのものを正面から扱った公的な注意喚起は、私が調べた範囲では見当たらなかった。ここは断定せず、「同名の法人が複数存在する場合、どの法人が実際の契約主体か特定できないケースがある」という一般論として書くにとどめる。ただ、氏名等の明示義務が法律で定められている以上、それが曖昧なまま話が進むこと自体は、確認したい点の一つだと思う。

  • 公式サイトと料金表が、外部から確認できる形で公開されているか
  • 「AIが相場を判断するので儲かる」といった、将来の利益を断定する説明をされていないか
  • 相手(会社名・担当者)が、金融庁の登録業者検索で確認できるか
  • 「人を紹介すれば報酬が出る」と言われていないか(連鎖販売取引に該当しうる仕組みかどうか)
  • 受講料・参加費を、借入やキャッシングですすめられていないか
  • 「みんな融資を受けている」「今日中の人だけ」など、判断を急がせる言い方をされていないか
迷ったとき用の一言 で、その利益の出どころは?――友人や先輩からの話でも、この問いは同じように効く。答えがはっきり返ってこない話は、いったん持ち帰って調べてほしい。健全な機会なら、調べる時間を取ることを相手は嫌がらないはずだ。

この記事のまとめ

  • 友人・先輩という「疑いにくい入口」から、Zoom説明会・高額講座へ進む型がある
  • 「AIが判断するので儲かる」という断定と、公式サイト・料金表の非公開はセットで確認したい
  • 「紹介すれば報酬」は連鎖販売取引にあたりうる仕組みで、クーリング・オフや中途解約権が法律で用意されている

いちばん確かめたいのは、相手が登録業者かどうかと、受講料の出どころ・支払い方法。借入をすすめられたら、その場で一度止まってほしい。