第428号黒岩検閲済 2026年8月3日 発行(不定期刊/前号:8月3日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|相場ニュース便乗×多業態同時掲載の型

相場ニュースに便乗し、投資顧問・AI選定ツール・複数のLINE配信・オンラインスクールが同時に並ぶ型を、登録制度とクーリングオフの一次情報で調べた

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黒岩警戒度

今号はこの型を洗った。(黒)特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。ある日の株式市場を伝える記事を読んでいた。半導体関連の主力企業が好決算を発表し、それを受けて関連株に資金が向かったという、内容自体はごく普通の市況解説である。ところが本文を読み終えたところで、様子が変わった。有償で銘柄を助言するという投資顧問への登録リンク、AIが自動で銘柄を選ぶという触れ込みのツール、性質のよく分からない銘柄配信のLINE公式アカウントが2つ、資産形成を教えるオンラインスクールの案内——性質の違う入口が、合わせて5つ並んでいた。

本物のニュースの後ろに、性質の違う「出口」が並ぶ

記事そのものの内容は、確認できる範囲では正確だった。決算の数字や株価の動きは、他の報道と照らしても大きくは違わない。

ただ、正確な記事であればあるほど、その直後に置かれた広告も信用されやすくなる。「ここまで正しいことを書いている人が言うなら」という気持ちが、次の一歩を軽くする。ニュースの正確さが、隣に並ぶ広告の信用を借りる形になっている、という点をまず押さえておきたい。

で、その利益の出どころは? 市況を解説すること自体では、記事の運営者に利益は生まれない。読者がどの入口を選んでも成果報酬が発生する仕組みだとすれば、5つの入口を並べる理由にも説明がつく。

名前は5つ、だが「業として登録が必要か」は一つずつ違う

有償で個別株の値上がりを助言する行為は、投資助言・代理業として内閣総理大臣(金融庁)の登録が必要になる。金融庁は「投資助言会社は、投資助言・代理業の登録が必要となる」と説明しており(金融庁「投資運用業等 登録手続ガイドブック」)、無登録で金融商品取引業を行うことそのものを「違法」と明記している(金融庁「無登録業者との取引は要注意」)。

「AIが自動で選ぶ」という触れ込みのツールも、実質的に有償で個別株を推奨しているなら、この登録の枠組みに入ってくる可能性がある。ツールの名前が変わっても、やっていることが「値上がりする株を有償で教える」なら、確かめるべき点は同じだと私は見ている。

この型の核 金融庁は無登録で金融商品取引業を行うことを「違法」と明記し、無登録業者の名称を公表するリストも設けている。ただし同じページで、リストに掲載されていない業者でも無登録営業に当たる行為をしている場合があると自ら留保している。名前を検索して「載っていない」ことは、安全の証明にはならない。

断定的判断の提供も禁止されている。証券取引等監視委員会は、有価証券の価格が必ず騰貴する・必ず下落するといった断定的な判断を示して勧誘することを、法律が禁じていると説明している(証券取引等監視委員会「投資をされる方へ」)。断定的判断の提供とは、要するに「必ず儲かる」と言い切って誤解させることを指す。「AIが選ぶ」「ランキング1位」という言葉自体が悪いわけではない。ただ、その根拠が示されているかどうかは、確かめてから先に進みたい。

「学ぶ」ためのスクールと、「増やす」ためのLINE配信を同じ棚に並べてはいけない

今回の5つの入口には、銘柄を教える・選ぶという話とは別に、資産形成そのものを教えるオンラインスクールの案内も混ざっていた。教育と投機が同じ記事の中に並ぶと、教育側の落ち着いた印象が、投機側にもそのまま横滑りしやすい。

ここでもう一つ、契約の話として確かめておきたいことがある。特定商取引法上、契約から一定期間内に無条件で解約できる「特定継続的役務提供」の対象は、エステ・美容医療・語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介サービスの7業種に限られると定められている(消費者庁「特定商取引法ガイド」)。オンラインの投資スクールは、この7業種には入っていない。

つまり「投資を学ぶ契約だから」というだけでは、法定8日間のクーリング・オフ(一定期間内なら契約を白紙に戻せる仕組み)が自動的に付くとは言えない。勧誘の実態が訪問販売や電話勧誘販売、連鎖販売取引などに当たれば、別の規定で契約から20日以内の解約が可能になる場合もあるという(国民生活センターFAQ「友人から誘われたセミナーで投資話を断れず借金した」)。契約書に何と書かれているかを、申込みの前に確認してほしい。

数字で見る、情報商材トラブルの広がり

この型に近い相談は、統計の上でも増えている。国民生活センターによると、副業や投資の儲け話に絡む情報商材のトラブルは、2013年度の872件から2017年度には6593件に増えたという(国民生活センター「簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話に注意」、2018年8月2日)。

872件を6593件と比べてみる。6593を872で割ると7.56、つまり7倍を超える計算になる。同じ資料は、情報商材そのものだけでなく、それをきっかけに高額なコンサルティングやスクールを契約させられるケースがあると指摘している。

迷ったとき用の一言 「学べます」と「増えます」を同じ記事が同時に売っている場合、まずどちらの契約なのかを自分の言葉で言い直してみてほしい。言い直せないなら、契約書を最後まで読み終えるまで申し込まない。
  • 並んでいる入口が「有償で助言・銘柄配信をする業」なのか「学ぶための講座」なのかを、自分の言葉で言い直せるか確かめる
  • 助言・銘柄配信を有償で行う相手が金融庁の登録を受けているか確認する(無登録業者リストに載っていないことは、安全の証明にはならない)
  • スクール・講座の契約書に記載されたクーリング・オフ・中途解約の条件を、申込みの前に読む
  • 「今だけ」「あなただけ」と急かされたら、その場で決めずいったん持ち帰る

この記事のまとめ

  • 本物の相場ニュースのすぐ後ろに、投資顧問・AI選定ツール・複数のLINE配信・オンラインスクールという性質の異なる入口が同時に並ぶ型がある
  • 有償で個別株を助言する行為は投資助言・代理業の登録が必要になりうるが、無登録業者リストに載っていないことは安全の証明にはならない
  • オンライン投資スクールは特定継続的役務提供の指定7業種に入らず、法定クーリング・オフの対象にならない場合がある

結局のところ、「助言してくれる相手」なのか「教えてくれる相手」なのかを自分の言葉で言い直せるかが、最初の分かれ道になる。