「海外輸入で年収2000万円」と謳う物販ノウハウ講座が、個別相談の先で300万円規模の限定パッケージ購入へ進める型を、国民生活センター・消費者庁の一次情報で調べた
「海外から仕入れて、日本で売る」——そんな物販ノウハウを教える動画講座の広告を、続けて見る機会があった。入口は数千円程度の講座なのだが、話を最後までたどると、数百万円規模の「限定パッケージ」の話に行き着く。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる型として、今号はこれを洗った。(黒)
「海外輸入で稼ぐ」動画講座、まず入口をたどってみると
広告に並ぶのは「年間で数千万円規模の売上を目指せる」「高利益率で、手離れよく続けられる」といった文言だ。中身は、海外から商品を仕入れて日本で販売するノウハウを、動画講座の形で教える、というもの。値段は数千円から数万円程度と、副業講座としては特に高くない。
ページのあちこちにLINE登録を促すボタンが置かれ、「まずは専門家に相談を」という導線ができている。ここまでは、よくある副業講座の型とさほど変わらない。
実績の数字は、何によって裏付けられているのか
気になるのは「年間数千万円」という実績の根拠だ。広告に添えられているのは加工のしやすい画像程度で、客観的に確かめられる資料が見当たらない、という指摘がある。
こうした利益・実績の表示について、消費者庁は次のように述べている。
裏を返せば、根拠を示さない実績の数字は、法の求める水準に届いていない可能性がある、ということでもある。「年間○千万円」という一文を見たら、まず何によってその数字が裏付けられているかを確かめたい。
LINE個別相談の先に用意された、数百万円規模の「限定パッケージ」
LINEでの個別相談が進むと、動画講座とは別に「限定の仕入れパッケージ」「専用の卸提携パッケージ」といった名目の商品が案内される、という報告がある。金額は数百万円規模。確認できた例では300万円台に達していた。
数千円の講座から入って、最終的に数百万円の話に行き着く——この落差の大きさ自体が、いったん立ち止まる材料になる。
なぜ、これほど高額なプランに進んでしまうのか
この構造は、今回に限った特殊な手口ではない。国民生活センターは、副業・起業まわりのトラブル事例として、よく似た経過をたどる相談を紹介している。
金額の桁こそ違うが、「低価格の入口→電話やLINEでの勧誘→段階的に高額なプランへ」という骨組みは同じだ。同資料によれば、こうした「サイドビジネス商法」に関する相談は2021年度で15,454件にのぼり、契約当事者は20歳代が男女とも最多で4割を超えるという。件数はここ数年、毎年1万件を超えて推移している。
物販・せどり系の副業講座に限らず、「入口は安く、出口で高額」という組み立て自体が、繰り返し確認されている型だと言っていい。
「発送前のみ返金」は、本当にそれで終わりなのか
高額パッケージの契約時、返金条件が「発送処理前に限る」とされているケースがある。いったん発送されてしまえば、実質的に返金は難しくなる設計だ。
ただ、この条件がそのまま最終結論になるとは限らない。契約の形によっては、法律で別の返金ルールが定められている。
通信販売そのものにはクーリング・オフの制度がなく、事業者が定めた返品特約が優先される。一方、電話や対面での勧誘を伴い「これをやれば収入が得られる」という話で契約に至った場合は、業務提供誘引販売取引にあたり、20日間のクーリング・オフが法律で認められることがある。契約の性質を、まず確認してみてほしい。
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
数百万円という金額を前にすると、冷静な判断がしにくくなる。だから私は、金額そのものより先に、次のことを決め事にしておくのがいいと思っている。
- 「年間○千万円」等の実績表示に、確認できる裏付けがあるか見る
- 数千円の入口から、数百万円規模の話へ進んでいないか、金額の落差に注目する
- 「発送前のみ返金」等の条件を鵜呑みにせず、契約の性質(通信販売か、業務提供誘引販売取引か)を確認する
- 運営会社の設立年と、謳われている実績年数がかみ合っているか見る
- その場で契約せず、一度持ち帰って消費生活センター等に相談する
この記事のまとめ
- 「海外輸入で稼ぐ」低価格の動画講座は、LINE個別相談を経て数百万円規模の「限定パッケージ」購入へ進む型がある
- 実績の数字に客観的な裏付けがあるかどうかは、消費者庁の指針が求める「合理的根拠」の有無で確かめられる
- 「入口は安く、出口で高額」という組み立て自体は、国民生活センターの調査でも繰り返し確認されている
結局のところ、確かめることは3つ。実績の根拠、金額の落差、返金・解約の条件。この3つを先に見るだけで、だいぶ違う。