第427号黒岩検閲済 2026年8月3日 発行(不定期刊/前号:8月3日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|海外輸入物販ノウハウ講座×高額限定パッケージ要求の型

「海外輸入で年収2000万円」と謳う物販ノウハウ講座が、個別相談の先で300万円規模の限定パッケージ購入へ進める型を、国民生活センター・消費者庁の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

「海外から仕入れて、日本で売る」——そんな物販ノウハウを教える動画講座の広告を、続けて見る機会があった。入口は数千円程度の講座なのだが、話を最後までたどると、数百万円規模の「限定パッケージ」の話に行き着く。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる型として、今号はこれを洗った。(黒)

「海外輸入で稼ぐ」動画講座、まず入口をたどってみると

広告に並ぶのは「年間で数千万円規模の売上を目指せる」「高利益率で、手離れよく続けられる」といった文言だ。中身は、海外から商品を仕入れて日本で販売するノウハウを、動画講座の形で教える、というもの。値段は数千円から数万円程度と、副業講座としては特に高くない。

ページのあちこちにLINE登録を促すボタンが置かれ、「まずは専門家に相談を」という導線ができている。ここまでは、よくある副業講座の型とさほど変わらない。

実績の数字は、何によって裏付けられているのか

気になるのは「年間数千万円」という実績の根拠だ。広告に添えられているのは加工のしやすい画像程度で、客観的に確かめられる資料が見当たらない、という指摘がある。

こうした利益・実績の表示について、消費者庁は次のように述べている。

実績表示に求められる「合理的な根拠」 「そのような勧誘・広告を行う販売業者等は、当該勧誘に際して告げられた内容又は広告において表示された内容を裏付ける合理的な根拠をあらかじめ有しているべきである」——消費者庁「特定商取引に関する法律第6条の2等の運用指針-不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針-」より

裏を返せば、根拠を示さない実績の数字は、法の求める水準に届いていない可能性がある、ということでもある。「年間○千万円」という一文を見たら、まず何によってその数字が裏付けられているかを確かめたい。

LINE個別相談の先に用意された、数百万円規模の「限定パッケージ」

LINEでの個別相談が進むと、動画講座とは別に「限定の仕入れパッケージ」「専用の卸提携パッケージ」といった名目の商品が案内される、という報告がある。金額は数百万円規模。確認できた例では300万円台に達していた。

数千円の講座から入って、最終的に数百万円の話に行き着く——この落差の大きさ自体が、いったん立ち止まる材料になる。

なぜ、これほど高額なプランに進んでしまうのか

この構造は、今回に限った特殊な手口ではない。国民生活センターは、副業・起業まわりのトラブル事例として、よく似た経過をたどる相談を紹介している。

低価格の入口から高額プランへ進んだ相談事例 「『アフィリエイトで簡単にもうかる』というインターネットの広告を見て、約3,000円のマニュアルを購入した。マニュアルにはたくさんの有料プランが紹介されており、事業者から電話で『有料プランに入らなければもうからない。高額なプランほど色々なサポートが受けられる』と言われ、65万円のプランを契約した」——国民生活センター「消費生活センターにおける解決困難事例の研究~起業・副業をめぐる消費者トラブルの被害救済を中心に~」(2023年3月)より

金額の桁こそ違うが、「低価格の入口→電話やLINEでの勧誘→段階的に高額なプランへ」という骨組みは同じだ。同資料によれば、こうした「サイドビジネス商法」に関する相談は2021年度で15,454件にのぼり、契約当事者は20歳代が男女とも最多で4割を超えるという。件数はここ数年、毎年1万件を超えて推移している。

物販・せどり系の副業講座に限らず、「入口は安く、出口で高額」という組み立て自体が、繰り返し確認されている型だと言っていい。

「発送前のみ返金」は、本当にそれで終わりなのか

高額パッケージの契約時、返金条件が「発送処理前に限る」とされているケースがある。いったん発送されてしまえば、実質的に返金は難しくなる設計だ。

ただ、この条件がそのまま最終結論になるとは限らない。契約の形によっては、法律で別の返金ルールが定められている。

契約の性質によって変わる返金ルール 「業務提供誘引販売取引の際、消費者が契約を締結した場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて20日以内であれば、消費者は業務提供誘引販売業を行う者に対して、書面又は電磁的記録により契約の解除(クーリング・オフ)をすることができます」(一方で「通信販売は『クーリング・オフ』ができません」)——消費者庁「特定商取引法上の『クーリング・オフ』」より

通信販売そのものにはクーリング・オフの制度がなく、事業者が定めた返品特約が優先される。一方、電話や対面での勧誘を伴い「これをやれば収入が得られる」という話で契約に至った場合は、業務提供誘引販売取引にあたり、20日間のクーリング・オフが法律で認められることがある。契約の性質を、まず確認してみてほしい。

設立年と実績年数、かみ合っているか 運営会社の実績年数と設立年が、かみ合わないように見えるケースもある。設立から日が浅いのに、それより長い実績を掲げている——そういう食い違いに気づいたら、私はいったん保留にする。

巻き込まれないための、ゆるい行動ルール

数百万円という金額を前にすると、冷静な判断がしにくくなる。だから私は、金額そのものより先に、次のことを決め事にしておくのがいいと思っている。

  • 「年間○千万円」等の実績表示に、確認できる裏付けがあるか見る
  • 数千円の入口から、数百万円規模の話へ進んでいないか、金額の落差に注目する
  • 「発送前のみ返金」等の条件を鵜呑みにせず、契約の性質(通信販売か、業務提供誘引販売取引か)を確認する
  • 運営会社の設立年と、謳われている実績年数がかみ合っているか見る
  • その場で契約せず、一度持ち帰って消費生活センター等に相談する

この記事のまとめ

  • 「海外輸入で稼ぐ」低価格の動画講座は、LINE個別相談を経て数百万円規模の「限定パッケージ」購入へ進む型がある
  • 実績の数字に客観的な裏付けがあるかどうかは、消費者庁の指針が求める「合理的根拠」の有無で確かめられる
  • 「入口は安く、出口で高額」という組み立て自体は、国民生活センターの調査でも繰り返し確認されている

結局のところ、確かめることは3つ。実績の根拠、金額の落差、返金・解約の条件。この3つを先に見るだけで、だいぶ違う。