第414号黒岩検閲済 2026年7月29日 発行(不定期刊/前号:7月29日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|無料動画×バックエンド高額講座の型

無料動画からLINE登録へ誘い、実績が確認できない個人講師が数十万円のバックエンド講座を売る型を、金融庁・消費者庁の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

無料の投資教育動画を入口に、公式LINEへ登録させる。そこから何本か動画を続けて見てもらい、期待値がじゅうぶん高まったところで、実績を客観的には確認できない個人の発信者が「この手法を教える」として、数十万円規模の講座代を案内してくる——そういう型を、たまに見かける。今回は特定の人物・案件名は挙げず、「実績の確かめにくさ」「助言の中身」「断定表現」「表示義務とトラブル統計」という4つの要素を、公的資料の言葉と数字でほどいてみたい。

「実績」が本人の発信以外で確認できない発信者が、教える立場に立つ

無料動画やSNSアカウントで示される「実績」は、たいてい本人が公開した数字でしかない。フォロワー数や動画の再生回数は、実際にその手法で利益を出した受講生がいることの証明にはならない。ネット上に第三者の「稼げた」という声が見当たらないなら、それはまだ確認できていない、という段階に過ぎないと私は思う。

検索して出てこない、が意味すること 実績を語る第三者の声が見つからないのは、「稼げていない証拠」ではなく、「まだ確認できていないだけ」ということもある。ただ、確認できないものを、確認できたことにはできない。そこは分けて考えたい。

「教える」の中身が、継続的な投資判断の助言になっていないか

手法を教える、という言葉の中身が、実質的には個別の売買判断やシグナル配信を継続的に提供する形になっているケースがある。金融庁は投資助言・代理業の登録要件について、「投資顧問契約に基づき、有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し助言を行い、かかる投資助言業務に関し報酬の支払を受ける場合」に登録が必要になるとしている(投資運用業等 登録手続ガイドブック(金融庁))。受講料を払った生徒に対して、継続的に売買のタイミングや銘柄を案内する形になっていれば、これに当たる可能性がある。

金融庁は「日本で登録を受けずに金融商品取引業や暗号資産交換業を行うことは違法です」ともしている(無登録業者との取引は要注意!!(金融庁))。無登録業者の公表リストに名前が載っていないからといって、無登録営業をしていないとは限らない——そこは私も勘違いしないようにしている。で、その利益の出どころは?というのは、結局この登録の有無を確かめることでもある。

「着実に利益が積み上がる」という言い切りは、法律の踏み込みすぎになりうる

断定的な利益保証の文言も、この型ではよく見かける。金融商品取引法は「顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為」を禁止行為として定めている(金融商品取引法 第38条(e-Gov法令検索))。金融庁も注意喚起のページで「上場確実ですので、必ず儲かります!元本も保証します!」という文言を、詐欺的な投資勧誘の典型例として示している(詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!(金融庁))。

投資の枠外でも、同じ構造の言い切りは行政の注意喚起の対象になっている。消費者庁は副業のサポートプラン契約をめぐる注意喚起で、「初心者でも簡単に稼ぐことができる」「このプランなら、月50万が当たり前になる」といった文言を問題視した(簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起(消費者庁))。「着実に」「必ず」という言葉が出てきたら、まずその根拠を聞いてみるくらいでちょうどいいと思う。

迷ったとき用の一言 「本当に着実な手法なら、断定しなくても伝わるはず」。私はそう思っている。断定してくる時点で、一度立ち止まっていい。

特定商取引法の表示と、トラブル統計が示すもの

通信販売として有料の講座を案内する場合、事業者は氏名(名称)・住所・電話番号などを表示しなければならない、と消費者庁の特定商取引法ガイドは説明している(特定商取引法ガイド(消費者庁))。所在地の表示が条件付きだったり、電話番号の記載がなかったりするケースは、この表示義務が満たされているか、まず確認していい部分だと思う。

そして、この「無料の入口→高額なバックエンド」という型自体、件数として増えている。国民生活センターは2018年の発表で、情報商材に関する相談について「2017年度の相談件数は6,593件と2013年度に比べ7倍超となりました」と報告している(簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話に注意!(国民生活センター))。さらに消費者庁は、SNS経由の投資・副業の「もうけ話」トラブルについて「2023年の相談件数は、前年度に比べて約9.6倍」になったとしている(SNSなどを通じた投資や副業といった「もうけ話」にご注意ください!(消費者庁))。型そのものが珍しいものではなく、むしろ増えている、というのがここでの数字が示すことだと思う。

  • 実績は本人発信の数字だけで判断せず、第三者の声が確認できるかを見る
  • 「手法を教える」の中身が、継続的な売買判断の助言になっていないか確かめる
  • 「着実に」「必ず」といった言い切りが出てきたら、根拠をたずねてみる
  • 特定商取引法に基づく事業者の氏名・住所・電話番号の表示があるか確認する

この記事のまとめ

  • 実績が本人発信の数字だけで、継続的な投資判断の助言になっていれば、登録が前提になる
  • 「着実に利益が積み上がる」等の言い切りは、法律上も踏み込みすぎになりうる

実績の確かめ方、助言の登録、表示義務——この3つを確認する習慣が、結局いちばん確実な防御になると思う。