SNSのキラキラ投稿からLINEへ誘う投資サイトの「会社概要」欄が、名前も住所も電話番号も空欄のままだった型を、金融庁・警察庁の一次情報で調べた
投稿を見せてもらった。高級車、ブランド品、束になった現金。SNSでよく流れてくる、あの手の「キラキラ投稿」である。そこから親身な相談が始まり、LINEへ移り、最終的に投資サイトへ入金した、という相談だった。話を聞いていて気になったのは、金額そのものより、その投資サイトの「会社概要」に何が書いてあったか、である。答えは、何も書いていなかった。会社名も、住所も、電話番号も、メールアドレスも。今号はこの件を洗いました。(黒)
入口はいつも同じ——キラキラ投稿からLINEへ
華やかな生活を見せる投稿があり、こちらの悩みに親身に付き合ってくれる会話があり、最後にLINEへの誘導がある。この三段の運びは、以前にも本誌で扱った型と重なる。目新しさはない。むしろ、目新しさがないことのほうが本質だと私は見ている。同じ順序が繰り返し使われているのは、それだけ効くからだ。
「誰でも簡単に稼げる」「返金保証」という言葉
LINEでの案内には、決まって「誰でも簡単に稼げる」「返金保証がある」という言葉が添えられる。誰でも簡単に稼げる方法が本当にあるなら、他人に声をかけて回る理由がない。黙って自分でやっているはずだ。返金保証にしても、保証する主体がどこの誰かも分からないまま「保証します」と言われても、確かめようがない。
で、その運営者は誰なのか
通信販売の分野では、消費者庁が事業者に対し「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号などを表示しなければなりません」と説明している(特定商取引法ガイド)。投資勧誘そのものに同じ規定がそのまま当てはまるわけではない。ただ、事業者が名乗り、連絡先を示すのは、商いの最低限の作法だと私は思う。その最低限すら欠けている相手に、まとまった金を預ける理由はない。
無登録という、確かめられる一次情報
金融商品の運用や助言を業として行うには、登録が要る。金融庁は「日本の居住者を相手に、株取引やFX取引、暗号資産取引などの金融商品取引業・暗号資産交換業を行う者は、日本の法令に基づき、登録を受ける必要があります」としている。無登録での実施は違法である。金融庁は「無登録で金融商品取引業を行っているとして、金融庁(財務局)が警告書の発出を行った者の名称等を掲載しています」とし、一覧を公表している。ただし、同じページに「掲載されていない者でも無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得る」ともある。一覧にない、イコール安全、ではない。この一覧は「確かめる手がかり」であって「保証書」ではない、と私は理解している。
出金の場面で、型は同じ顔を見せる
入口の言葉は多少違っても、出口——つまり出金の場面——では、この手の話はよく似た顔を見せる。警察庁は手口の説明として「出金時に高額な手数料や税金の支払いといった名目の口座入金を要求され、入金した直後に連絡が取れなくなる」と記す。国民生活センターが扱った相談事例でも「500万円の出金に160万円が必要」と言われたケースが報告されている(国民生活センター・2024年)。手数料の名目、エラーという説明、いずれも形は違うが、狙いは同じに見える。出金の直前で、もう一段の入金を求めてくる。ここが型の核だと思う。
数字で見る、SNS型投資詐欺の広がり
警察庁の集計では、SNS型投資詐欺の認知件数は令和7年10月末時点(暫定値)で7,243件、前年同期比+1,673件(+30.0%)、被害額は945.2億円、前年同期比+197.4億円(+26.4%)となっている。個別の事件を追いかけるより、この型そのものを知っておくほうが、次にどんな装いで来ても気づきやすい。私はそう考えている。
- 会社概要ページに、会社名・住所・電話番号・メールアドレスが具体的に書かれているか確かめる
- 金融庁の無登録業者一覧を確認する。ただし「掲載なし=安全」ではないことも覚えておく
- 「誰でも簡単に稼げる」「返金保証」という言葉が出た時点で、いったん持ち帰って調べる
- 出金の場面で追加の入金を求められたら、その時点で止める。応じない
この記事のまとめ
- SNSのキラキラ投稿→LINE誘導→運営者情報が空欄の投資サイト、という型が繰り返し使われている
- 出金の直前に手数料・税金名目の追加入金を求められるのが、この型の核にある
会社概要が空欄という事実だけで、私は十分に警戒していい材料だと思う。無登録一覧の確認と合わせて、入金前に一度立ち止まってほしい。