第375号黒岩検閲済 2026年7月23日 発行(不定期刊/前号:7月22日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|SNSキラキラ投稿×返金保証の型

SNSの「キラキラ投稿」からLINEへ誘い、返金保証をうたって入金させる型を、警察庁・金融庁の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。SNSで見かける「キラキラした生活」の投稿から始まり、親身な相談者を装ってLINEへ誘い、最後は「返金保証」をうたって入金させる。今号はこの型を洗った。(黒)

SNSの「キラキラ投稿」から、どうLINEへたどり着くのか

発信の起点はSNSの投稿である。海外での暮らしぶりや、日々の収益らしき数字を淡々と並べる。それ自体は広告というより、日常の記録のように見える。しばらく眺めていると、コメントやDMで声がかかる。「私も最初は不安だった」という共感から入り、警戒がゆるんだところでLINEへの登録を勧められる、という運びだ。

この流れは、金融庁が2026年に入って公開した資料が説明する手口とほぼ重なる。閉じたグループチャットに移されたあとの様子について、金融庁はこう記している。

金融庁が名指しする演出 「グループチャット内にいわゆるサクラがおり、指南に従えば利益が出て出金もできるかのように装いながら、追加で高額な入金をさせる。」——金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」

SNSの公開投稿からLINEという閉じた場所へ移す。これだけで、外から確認する目が一つ減る。共感を装った接触は、その一歩目にすぎない。

「簡単に高収入」「返金保証」という言葉が意味すること

LINEの先で示されるのは、FXやバイナリーオプション、暗号資産といった取引プラットフォームであることが多い。「簡単に高収入」「返金保証付き」という言葉が添えられる。だが、こうした言い回し自体が、金融庁の資料が繰り返し名指しで注意を促す典型のパターンである。

「絶対勝てる」「確実に儲かる」「すぐ簡単に稼げる」などの勧誘をうのみにしないでください——金融庁「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」は、そう明記している。「返金保証」という約束も同じ列に並ぶ言葉だと私は見ている。

そもそも、日本の登録を受けていない業者が金融商品取引業を行うこと自体が違法である。無登録業者は「業務の実態等の把握がそもそも難しく、仮にトラブルが生じたとしても、業者への追及は極めて困難」だと、金融庁は説明する(金融庁「『FX取引・暗号資産投資の勧誘』にご注意!!」)。「返金保証」を出す相手が、そもそも登録された事業者かどうかを、まず確かめる必要がある。

割り算をしてみてほしい。「簡単に高収入」が本当に成立するなら、人を集めて教えて回らずとも、黙って自分でやっているはずだ。私はそう見ている。で、その利益の出どころは?——そこが説明されない話には、いったん近づかないでおきたい。

会社名も、住所も、電話番号も出てこない

この型でもう一つ共通するのが、運営している会社の名称・所在地・電話番号が、最後まで一切示されないという点である。特定商取引法は、通信販売の広告について「販売業者又は役務提供事業者は…主務省令で定めるところにより、当該広告に…次の事項を表示しなければならない」と定める(e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」第十一条)。

具体的に何を表示すべきかは、消費者庁のガイドに示されている。法人であれば「名称、住所及び電話番号(さらに、インターネットで広告を行う場合には、代表者の氏名又は通信販売の業務の責任者の氏名)を表示する必要があります」という(消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売広告について」)。

つまり、会社名も住所も出てこないという状態は、単に不親切なのではない。法律が求める表示義務が、そもそも果たされていない状態を意味する。連絡先も所在地も分からない相手には、あとから責任の所在を追及する手だてが、最初から用意されていないということだ。

出金の直前で、名目が変わっていく

入金までは順調に見えても、出金の局面でつまずく。これがこの型の最後の共通点である。国民生活センターには、こんな相談が寄せられている。

名目を変えて重くなる請求 「『保証金が必要です』『この手続きには税金として●%の額がかかります』などと言われ、指定された口座に複数回にわたって振り込んでしまい、合計1億円以上をだまし取られた。」——警察庁「SNS型投資詐欺」より

SNSを起点とする投資勧誘のトラブルは、統計の上でも増え続けている。著名人を名乗る、あるいはつながりを装う勧誘に関する相談は、2021年度52件から2023年度1629件へ急増した(国民生活センター「SNSをきっかけとして…消費者トラブルが急増」)。警察庁の令和7年確定値でも、SNS型投資詐欺の認知件数は9523件、被害額は1288.0億円で、いずれも前年から5割近く増えている(警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」)。

出金への不安を打ち消すために使われるのが、先に触れたグループチャット内の“サクラ”である。「利益が出て出金もできるかのように装いながら、追加で高額な入金をさせる」という金融庁の説明どおり、自作自演の実績スクリーンショットや、他の参加者らしき投稿も、同じ演出の一部と見ておいたほうがいい。

迷ったとき用の一言 「返金保証」という言葉は、保証する相手の素性が分からなければ、ただの言葉にすぎない。で、その保証はいったい誰が、何を担保に約束しているのか。そこを自分に問い直してほしい。
  • 「返金保証」「簡単に高収入」という言葉が出た時点で、いったん離れて確かめる
  • 運営会社の名称・住所・電話番号が明記されているか確認する(無ければ、それ自体が答えになる)
  • 閉じたLINEグループ内の「実績」は、自分で検証できないものとして扱う
  • 出金前に名目を変えた追加入金を求められたら、その場で止める
  • 家族や友人など、利害のない誰かに一度話してみる

この記事のまとめ

  • 共感を装った接触→LINEへの誘導→「返金保証」をうたう投資プラットフォームという流れは、案件が変わっても同じ型に収まりやすい
  • 会社名・住所・電話番号が出てこないのは、単なる不備ではなく、特定商取引法が求める表示義務が果たされていない状態を指す
  • 出金の局面で名目を変えた追加入金を求められたら、そこで止めることが先になる

私には個別の解決はできない。判断は正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。(黒)