「スマホ1台で簡単に稼げる」副業広告から、電話勧誘で段階的に高額サポート契約へ積み上げる型を、特定商取引法・消費者庁の一次情報で調べた
「スマートフォン1台で、誰でも簡単に稼げます」――そう謳う副業広告をよく見かける。タップして読み進めると、詳しい仕事内容はLINEの友だち登録の先にあるという案内になっている。登録してみると、まずは数千円ほどのガイドブックの購入を勧められ、しばらくすると電話がかかってきて、個別サポート、さらに上位のサポートプランへと、金額は段階を踏んで積み上がっていく。特定の事業者は名指しせず、この「広告→LINE→電話勧誘→高額プラン」という型を、法律と数字からほどいてみた。
「誰でも」「簡単に」という看板の重さ
「誰でも」「簡単に」という言葉は、聞こえがいい分、内実を確かめにくい。消費者庁は、実際のものより著しく優れているように見せる表示を「優良誤認表示」と位置づけ、不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのあるものと説明している。誰にでも同じ結果が出る仕事など、本来は稀なはずだ。看板の言葉をそのまま受け取る前に、まず「誰でも」の中身を疑ってみたい。
お金の流れでほどく――ガイドブックから電話、上位プランへ
この型でお金が動く順番は、たいてい決まっている。まずLINE登録、次に数千円から数万円のガイドブックや初期教材。ここまでは財布への負担も軽く、断る理由を感じにくい。消費者庁も、副業のガイドブック購入後に電話勧誘を受け、高額なサポートプランを契約させられる事業者について、令和7年6月に注意喚起を出している。私が見る限り、この電話の一本こそが分岐点だ。画面越しのやり取りから、声で押される段階に変わる。
サポートプランは一段では終わらない。個別サポート、さらに上のプランと、電話のたびに金額が積み増され、総額は数十万円から数百万円に達することもあるという。国民生活センターの調査でも、副業トラブルの相談件数は2020年度の1,341件から2023年度には3,694件に増え、平均の契約購入金額は27万9,519円から76万3,117円へと膨らんでいる。「ガイドブックだけのつもりだった」という声が、数字にもそのまま表れている。
「業務提供誘引販売取引」という法律上の型
「仕事を提供するので収入が得られる」という言い方で人を誘い、その仕事に必要だとして商品や契約を買わせる取引には、法律上の呼び名がついている。消費者庁・経済産業省の特定商取引法ガイドは、これを「業務提供誘引販売取引」と呼び、契約書面を受け取ってから20日以内であればクーリング・オフができると定めている。ガイドブックやサポートプランの契約書に、この20日間の案内が書かれているかどうかは、最初に確かめておきたい一点だ。
登録・支払いの前に確かめておきたいこと
- 「誰でも」「簡単に」という言葉に見合う、具体的な仕事内容が示されているか
- ガイドブック購入後、電話で個別サポートや上位プランを勧められていないか
- 契約前に、支払う総額がはっきり示されているか
- 契約書面に、クーリング・オフ(20日以内)の案内が書かれているか
- 消費者金融からの借入を勧められていないか
もう契約してしまった人へ
すでにガイドブックやサポートプランの契約をしてしまった方へ。気持ちは分かるが、まず一つだけ。お金を取り戻すこと以上に、これ以上払わないことが先だ。電話で次のプランを勧められても、その場で応じない。順序はこうなる。
- ① 追加のプランを勧められても、その場で払わない
- ② LINEや電話のやり取り、契約書面、振込の記録を残す
- ③ 契約書面を受け取った日から20日以内なら、クーリング・オフの手続きを検討する
- ④ 消費者ホットライン「188」、または警察相談専用電話「#9110」に相談する
私には個別の解決はできない。判断は正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。一人で抱え込まず、利害のない誰かに一度話すだけでも、見え方は変わる。
この記事のまとめ
- 「誰でも簡単に稼げる」という看板から、ガイドブック購入→電話勧誘→上位プランへと段階的に金額が積み上がる型がある
- この型は法律上「業務提供誘引販売取引」に当たり得り、契約書面受領後20日以内はクーリング・オフができる
- 副業トラブルの相談件数・契約金額は年々増えている。看板の言葉ではなく、総額とクーリング・オフの案内を先に確かめる
見るべきは「誰でも」「簡単に」という宣伝文句ではなく、契約の総額と20日間の猶予。確かめられないなら、その場で決めない。