第407号黒岩検閲済 2026年7月27日 発行(不定期刊/前号:7月27日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|入口価格の極小表示×高額自動プラン誘導の型

「ワンコインで始められる」競艇・競馬AI予想の入口を、お金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「100円から始められます」「知識は要りません」。競艇・競馬の“AI予想”を謳う広告で、こういう入口の値段をよく見かける。今号はこの言い回しを洗った。安いのは事実だ。ただ、安いのは入口だけである。

入口の値段だけを、まず並べてみる

この手のサービスの広告には、たいてい二つの言葉が並ぶ。「ワンコインで試せる」「初心者でも大丈夫」。どちらも読者の警戒心を下げるための言葉であって、嘘ではないことが多い。実際、最初の一歩は百円玉一枚で踏み出せる設計になっている。

ただ、私が気になるのはその先である。入口の値段だけを見て、サービス全体の値段だと思い込んでしまう人が一定数いる。値段の話は、入口だけでなく最後まで追ってはじめて意味を持つ。

実際に使おうとすると、その先に何があるか

広告の入口を抜けた先に用意されているのは、たいてい無料相談・個別説明という名の面談だ。そこで初めて「本気で当てたいなら、自動で買い目を出してくれるプランがある」という案内が来る。金額は事例によって幅があるが、十数万円から二十万円前後という水準で語られることが多い。

つまり、こう見ると分かりやすい。入口は百円。しかし本体は、その千倍から二千倍の金額で売られている。百円という数字は、本体価格を隠すための看板だったと考えると、値段の作り方に筋が通る。

入口価格と本体価格の落差 「まず百円で試せます」という言葉が来たら、私はまずこう問い返したい。で、本気で使うといくらになるのか。入口の値段だけで契約の是非を判断しないでほしい。

なぜ入口だけを極端に安くするのか

理由は単純で、判断のハードルを二段階に分けているからだと私は見ている。まず百円という金額で「一度払ってみるか」という小さな決断をさせる。ここでいったん財布を開かせておけば、次に来る高額な案内への抵抗が下がる——これは以前の号でも触れた「少額から要求を上げる」型と同じ構造である。値段の作り方そのものが、勧誘の設計図になっている。

国民生活センターも、副業・投資の儲け話をめぐる相談が急増している実情を公表している。同センターの報道発表によれば、こうした「情報商材」に関する相談件数は数年で7倍超に増えたとされ、競馬情報サイトで「稼げる」と勧誘され、電子マニュアル購入と高額なサポート契約を結んでしまった相談事例も同資料に載っている。入口が安いからといって、本体まで安いとは限らない——これは個別の一件ではなく、繰り返し起きている型だということである。

「必ず当たる」という言い方についての一次情報

もう一つ、数字の作り方以外に確かめておきたいのが言葉の使い方だ。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、業務提供誘引販売取引において「利益が生ずることが確実であると誤解させる断定的判断の提供」により契約を勧誘する行為を禁止行為の一つに挙げている。実際、消費者庁は2025年にも、簡単な副業を謳って高額なサポートプランを契約させる事業者について、断定的な言い回しを問題視する注意喚起を公表している。「必ず当たる」「絶対に稼げる」という言葉が来た時点で、それ自体が制度上の論点になり得る、と私は見ている。

迷ったとき用の一言 「安いのは入口だけで、本体はいくらなのか」。この一問を、面談の場でそのまま口に出してほしい。答えを濁されたら、それはそれで答えだと思う。

契約してしまった後の話

クーリング・オフについても触れておく。特定商取引法ガイドによれば、電話勧誘販売や業務提供誘引販売取引に該当する契約であれば一定期間内のクーリング・オフが認められる一方、単純なインターネット通信販売として処理された契約には、そもそもクーリング・オフ制度自体が適用されない。契約の形態によって使える手段が変わるため、「もう遅い」と自己判断する前に、契約書面と勧誘の経緯(電話があったか、面談があったか)を残したうえで、消費生活センターに相談してほしい。

  • 「入口の値段」と「本気で使うときの値段」を、両方声に出して確認する
  • 「必ず当たる」「絶対に稼げる」と言われた瞬間を、日付とともにメモしておく
  • その場で契約書に署名・入金せず、いったん持ち帰る
  • 契約してしまった後でも、勧誘の経緯を記録し消費生活センターへ相談する

この記事のまとめ

  • 「ワンコインから」の入口は事実でも、本体価格は別に用意されていることが多い
  • 入口を安くするのは、判断のハードルを二段階に分ける仕掛けだと見ている
  • 「必ず当たる」という断定的な言い回しは、それ自体が制度上の論点になり得る

で、その本体の値段はいくらなのか。面談の場でその一問を、まず自分で確かめてほしい。