第267号黒岩検閲済 2026年6月30日 発行(不定期刊/前号:6月30日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|予想情報サービス勧誘の型

「無料予想で当たる」と誘い、高額プランへ――競艇・競馬の予想情報サービスの勧誘の型を、お金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「この予想に乗れば当たる」「無料情報だけで毎月プラス」。競艇や競馬の予想を売る話を、SNSやメールでよく見かける。今号で扱いたいのは、特定のサービス名ではない。名前を伏せても残る一点、つまり「その予想料は、誰の・どんなお金から戻ってくるのか」を、こちらから確かめられるかどうかだ。最初に断っておくと、私はどの予想サイトも名指しで「詐欺だ」とは言わない。調べるのは、案件をまたいで繰り返し現れる勧誘の“型”のほうである。

勧誘は、たいてい「無料」から始まる

入口は決まって無料だ。「今日の鉄板を1点だけ無料で」「登録するだけで予想が届く」。そこで一度当たると、人は「このサービスは本物かもしれない」と感じる。流れが変わるのはそのあとだ。「もっと精度の高い情報は有料プラン」「重大なレースは別料金」と、だんだん要求が上がっていく。

「稼げる」とうたう情報商材の相談は、近年も年に数千件の規模で寄せられている。国民生活センター「情報商材(各種相談の件数や傾向)」(2025年)によれば、関連する相談件数は2024年で4,118件にのぼる。同センターには「ミニ講座で簡単に稼げると見せかけ、高額な情報商材を購入させられた」「解約を求めてもサポートが受けられない」といった声が記録されている。入口の無料と、出口の高額。落差そのものが、この型の特徴だと私は見ている。

お金の流れで見ると、公営競技は「先に引かれている」

予想の当たり外れを語る前に、土台の数字を一度ほどいておきたい。競艇も競馬も、賭けられたお金がそのまま当たった人へ全額戻るわけではない。先に一定の割合が差し引かれ、残りが配当に回る。これは制度として決まっている。

競艇は、売上の75%が払戻しに充てられる。BOAT RACE公式「払戻金」に「売上金の100分の75に相当する金額を的中者に按分して払戻金とする」とある。残りの約25%は、参加者には戻らない。競馬も同じ構造で、払戻率は券種によりJRA「勝馬投票法ごとの払戻率について」(2014年)で単勝80.00%・三連単72.50%などと定められている。つまり、賭けるたびにおおむね2割から3割弱が、必ず先に引かれる。

ここで割り算を一つしてみてほしい。当たった分も含めて同じ1万円を10回賭け直すと、手元に残るのは理論上、0.75を10回かけた額――約560円という計算になる。これは予想が上手いか下手かの話ではない。賭ける人全体で見れば、引かれる分だけ必ずマイナスに向かう仕組みだ、ということである。で、その「毎月プラス」の利益は、いったい誰のお金から出てくるのか。

配当の出どころと、予想料の出どころは別 当たった人への配当は、同じレースで外した人たちが賭けたお金から配られる。一方、予想サービスの利益の出どころは、利用者が払う情報料そのものだ。予想が外れても、情報料は戻らない。ここが、両者の決定的な違いだと考えている。

「必ず当たる」「公認」は、表示として問題になりうる

勧誘の文句には型がある。「的中率◯%保証」「絶対に負けない買い目」。だが、実際よりも著しく優良に見せる表示は、景品表示法で禁じられている。消費者庁「優良誤認とは」は、商品やサービスの内容を「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」を優良誤認表示として挙げる。「必ず当たる」という断定は、本来この線に触れうる表現だ。

もう一つ、権威を借りる型にも触れておく。「公認」「公正取引協議会」といった、お墨付きを思わせる名称だ。消費者庁は2024年、競馬情報の業種で「公正取引」を名乗る団体について「当該団体は、消費者庁及び公正取引委員会とは一切関係がありません」と注意喚起している。立派な名前がついていても、それが公的な裏付けを意味するとはかぎらない。名称は、こちらで一度たどって確かめたい。

誇大な利益をうたう予想配信そのものが、裁判で否定された例もある。国民生活センター「暮らしの判例」(2023年)は、「平均月利30%」などとうたって勧誘された予想配信の契約が公序良俗に反するとして無効とされ、支払額の全額返還が認められた事例を紹介している。もっとも、これは賭けに関する別種のサービスを扱った一例で、公営競技の予想すべてに当てはめられるものではない。ただ、「数字で稼げる」と断定して高額を求める勧誘が、法の目で厳しく見られる場面があることは、頭の隅に置いておきたい。

乗る前に、立ち止まるための確認

気合いで見抜くのは疲れる。だから、いくつかを「いつものクセ」にしておくのがいい。一番効くのは、その場で決めないことだ。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、急かしの大半はかわせる。そのうえで、

  • 「無料で当たった」一度の結果を、サービス全体の実力だと受け取らない
  • 料金を払う相手の運営者名・所在地・連絡先を、自分でたどって確かめる
  • 「的中率◯%」「必ず当たる」という断定が出てきたら、根拠を確かめられるか問い直す
  • 賭けるたびに2〜3割弱が先に引かれる、という土台の数字を忘れない
  • 有料プランを急かされたら、それ自体を黄信号として一拍おく
迷ったとき用の一言 「本当に当たる情報なら、人に売らずに自分で賭けているはず」。これは予想に限らず、うまい話全般に効く問いだと思う。情報料という確実な利益を、わざわざ他人から集める理由はどこにあるのか。そこが説明されない話には、近づかないでおきたい。

この記事のまとめ

  • 予想情報サービスの勧誘は「無料で当てる → 高額プランへ」という型になりがち
  • 公営競技は売上の2〜3割弱が先に引かれる構造で、参加者全体ではマイナスに向かう
  • 配当の出どころは外した人の金、予想料の出どころは利用者自身の財布

当たり外れより先に、引かれる率と料金の出どころを見る。迷ったら払う前に、消費者ホットライン188へ。最終的な判断は、消費生活センターなど正規の窓口に委ねてほしい。