第253号黒岩検閲済 2026年6月29日 発行(不定期刊/前号:6月29日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|予想情報商材の型

「絶対当たる」「回収率○%」とうたう競艇の有料予想・必勝法情報商材の型を、お金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「この鉄板を買えば回収率は○%」「無料情報で当たったら、有料プランで本命を出す」――競艇(ボートレース)の予想をうたう情報が、SNSやLINEから届くことがある。特定のサイトや業者は名指ししない。私が調べたいのは、この“有料予想・必勝法をうたう情報商材”の型を、宣伝の言葉ではなくお金の流れの側から見るとどうなるか、という一点だ。

どうして「予想情報商材」は同じ型に収まるのか

たくさんの人に無料情報を配り、当たった人だけが次の有料プランへ進む。当たらなかった人のことは、あまり語られない。たぶんこの効率を優先しているので、入口の見せ方はどうしても定型になる。「鉄板」「回収率○%」「優良情報」という言葉が、案件をまたいで繰り返し現れるのはそのためだと私は見ている。

情報やノウハウそのものを売買の対象にするものを、国民生活センターは「情報商材」と呼ぶ。この種の相談は古くからあり、件数も2013年度の872件から2017年度の6,593件へ約7.5倍に増えたと同センターが報告している(2018年)。その後も相談は途切れず、情報商材の相談データは更新が続いている。過去の話ではない、ということだ。

まず、配当の出どころを数字でほどく

予想が当たるかどうかの前に、競艇という勝負そのものの算数を見ておきたい。ここがいちばん大事なところだ。

競艇の払戻金は、その券種の売上から先に一定割合が差し引かれ、残りを的中した人どうしで分け合う仕組みになっている。BOATRACE公式は、払戻金とは「売上金の100分の75に相当する金額を的中者に按分」したものだと説明している。これは気分の問題ではなく、モーターボート競走法第15条で「100分の75以上・大臣が定める率以下」と定められた、法律上の構造だ。

数字でほどく:戻ってくるのは7割5分 売上の75%が的中者に戻り、残りの25%は先に引かれる。つまり参加者が1万円分の舟券を買うと、全体として平均で戻るのは約7,500円。100円なら約75円。買った時点で、全員ぶんを合わせれば4分の1は手元を離れる計算になる。回収率を100%より上にし続けるには、この25%の目減りを超えて、他の参加者より当て続けなければならない。長く続けるほど、平均は構造的に75%へ近づいていく。

ここで一度立ち止まりたい。仮に本当に「回収率を安定して100%超にできる予想」があるのなら、その人は券を多く買えば買うほど自分で増やせる。わざわざ他人に売って情報料を集める理由が、どこにあるだろうか。で、その利益の出どころは?――券の的中ではなく、予想を買った人たちの情報料のほうではないか。私はそこを一度たどってみてほしいと思う。

「無料」から「高額プラン」へ上がっていく道筋

この型のもう一つの軸が、課金額の段階的な引き上げだ。入口は無料、あるいは少額。当たった高揚感が残っているうちに、次の本命は有料、さらにその上の特別プランへと案内される。

消費者庁は、最初に1万円程度の情報商材を購入させ、その後に執ような電話勧誘で著しく高額な情報商材を購入させるという手口で、事業者への注意喚起を出している(2020年)。「無料サポートと宣伝されたが有料だった」「『必ず儲かる』と説明されたが利益が得られなかった」という相談も、国民生活センターが具体例として記録している。少額→高額へ引き上げる流れは、競艇に限らず副業や投資の勧誘で繰り返し現れる型だ。当サイトでも無料で釣って後から高額ツールを払わせる副業勧誘の型を別に調べている。

段階課金で起きていること 最初の無料・少額は、当たり外れを見せて「ここは当たる」と思わせるための入口になりやすい。先に小さく払って一度当たると、「もったいないから次も」という気持ちが働き、後戻りしにくくなる。高額プランへ進むほど、回収できなかったときの損も大きくなる。急かされている、外に相談しづらい雰囲気がある――そう感じたら、それ自体が黄信号だと考えていい。

「公正取引」「必ず当たる」という肩書きの正体

信用させるために、もっともらしい肩書きや断定が添えられることがある。「公正取引協議会認定」「必ず当たる」「絶対」。だが、その看板が公的に裏づけられているとは限らない。

消費者庁は2024年、競馬情報をめぐって「一般社団法人競馬情報公正取引協議会」と称する団体について、「競馬情報に関する業種において、公正競争規約が設定された事実はありません」と注意喚起した。公的な装いの名称が、実際の制度の裏づけを伴わない例がある、ということだ。そもそも「必ず」「絶対」と言い切る断定的・誇大な表示は、景品表示法の観点から問題になりうる。消費者庁の景品表示法の解説でも、根拠のない優良誤認表示は規制の対象とされている。私は、断定が強い話ほど一拍おくようにしている。断言する書き方は、むしろ怪しい人たちが得意とするものだからだ。

課金する前に、立ち止まって確かめたいこと

気合いで見抜こうとすると疲れる。だから私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにしてしまえば、それだけで大半は防げる。そのうえで、

  • 「回収率○%」の根拠が、自分の手で確かめられる形で示されているか
  • 無料・少額のあとに、高額プランへの案内が控えていないか
  • 「必ず」「絶対」「公認」といった断定や肩書きに、公的な裏づけがあるか
  • 本当に勝てる方法なら、なぜ他人に売る必要があるのか――を一度問い直したか
迷ったとき用の一言 「本当に当たる予想なら、急がなくても明日も残っているはず」。こちらが調べる時間を取ることを嫌がる相手なら、嫌がられたこと自体が一つの答えだと思う。それでも判断に迷うなら、お金を払う前に消費者ホットライン188で相談してほしい。

この記事のまとめ

  • 競艇の払戻は売上の75%を的中者で分け合う構造で、全体では買った時点から平均25%が目減りする(控除率25%)
  • 「鉄板」「回収率○%」の予想情報商材は、無料・少額の入口から高額プランへ引き上げる型を取りやすい

確かめるのは言葉の強さではなく、回収率の根拠・高額プランの有無・断定の裏づけ。本当に勝てるなら、人に売らず自分で買えばいい。で、その利益の出どころは?――迷えば、払う前に立ち止まってほしい。