「知識ゼロ・1日数分で高収入」と無料で釣り、後から高額ツールを払わせる副業勧誘の型を、お金の流れで調べた
「知識ゼロから1日数分で月収100万円」「総額○○万円相当を全員にプレゼント」――そんな広告から始まる物販系の副業の話がある。入口は無料で、断る理由が見つからない。特定の業者やサービスは名指ししない。私が調べたいのは、この“無料とプレゼントで人を集め、後から高額のツールやサポート料だけが決まる”型を、語られる宣伝ではなくお金の流れの側から見るとどうなるか、という一点だ。
なぜ、入口を「無料」にするのか
流れはだいたい決まっている。広告でLINE登録へ誘い、「参加するだけでギフト券がもらえる」と無料セミナーや無料説明会に呼ぶ。そこまでは一円も払わない。だから警戒が薄れる。そして話の後半で、数十万円のツール代やサポート料、コンサル料の購入が出てくる。
無料の催しが、そのまま高額契約の入口になりやすいことは、公的機関も注意を促している。国民生活センターは「“無料”セミナーだけのつもりが…高額な就活サポート契約にご注意!」(2025年)として、無料のつもりが高額契約を勧められる構図を記録している。入口の値段は、出口の値段とは別の話だ。
で、その利益の出どころは?
少し考えたい。ツールやノウハウを「無料でプレゼント」した時点で、配る側には一円も入らない。では、その人たちの利益はどこから出ているのか。物販で稼ぐより先に、後から来る数十万円のツール代・サポート料・コンサル料が控えている。つまり出どころは「物販の利益」ではなく、参加した人が払う「受講料・ツール販売」のほうではないか。
「簡単に稼げる」という宣伝と、実際に稼げないという相談のズレは、以前から数字に出ている。国民生活センターは「1日数分の作業で高収入が得られるという宣伝から実際には稼げないといった相談」が多く寄せられ、情報商材の相談件数は2017年度末までで6,593件、2013年度末の872件と比べ約7倍に増えたと報告している(2018年)。型はずっと続いている。
「誰でも」「必ず」「95%が達成」という言葉
広告でよく見るのが「誰でも」「知識ゼロでも」「95%が月収30万円達成」といった文句だ。ただ、見せられた実績は、自分で確かめられないかぎり根拠としては弱い。スクショや達成率は、こちらからは裏が取れない。消費者庁も「SNSなどを通じた投資や副業といった『もうけ話』にご注意ください!」(2024年)で、「投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺です。振り込まないでください」「SNS上で勧誘を受けた場合は、まず疑ってみるように」と促している。
そもそも、根拠の確かめられない「著しく優良」な見せ方は、法律上も問題になりうる。消費者庁は「著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良・有利と誤認させる表示」を誇大広告として禁止していると説明する(通信販売/法第12条)。「95%」という数字は、出した側に根拠の説明を求めていい数字だ。
料金と特商法表記が、最後まで出てこないとき
もう一つ確かめたいのが、料金と特商法表記だ。広告に金額が書かれず、セミナーの終盤になって初めて数十万円が出てくる――その順序自体が、立ち止まる材料になる。消費者庁は「特定商取引法は、事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止しています」と述べている。
具体的には、通信販売の広告には「販売価格、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号、契約の申込みの撤回又は解除に関する事項」などの表示が義務付けられている(消費者庁)。価格・事業者の住所と電話番号・解約条件が見当たらない広告は、それだけで一拍おく理由になる。では、その特商法表記はどこにあるのか。
払う前に、自分で確かめておきたいこと
気合いで見抜こうとすると疲れる。私は、いくつかの「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、大半は防げる。そのうえで、
- 入口が「無料・ギフト券・全員プレゼント」で始まっていないか
- 稼ぎ方の中身より先に、後で買うツール代・サポート料の金額が決まる流れになっていないか
- 「誰でも」「必ず」「95%達成」など、自分で検証できない実績を出していないか
- 広告や申込ページに、販売価格・事業者の住所/電話番号・解約条件が書かれているか
この記事のまとめ
- 入口の「無料・プレゼント」は、後から来る高額ツール代・サポート料の前振りになりがち
- 確かめるのは雰囲気ではなく、料金が先に全部示されているか・特商法表記の有無・「必ず/誰でも/95%」の根拠
通信販売には法律上のクーリング・オフ制度がないことも多く、確認できる範囲では、返品の可否は事業者の特約しだいだ。だからこそ「払う前」が勝負になる。もう契約してしまった、勧誘の途中で迷っている――そんなときは、払う前に、お住まいの地域の消費生活センターへ。消費者庁は全国共通の番号として「消費者ホットライン188(いやや!)」を案内している。私には個別の解決はできない。判断は、正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。