同業の副業検証サイトを名指しで「詐欺師」と断定し、自分のメルマガ・LINEへ誘導する記事の型を、消費者庁・国民生活センターの一次情報で調べた
特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れではなく「言葉の流れ」で調べた。副業を辛口に検証しているはずのブログの中に、同業の検証サイト運営者を名指しで「詐欺師」と呼び、「本当に信頼できる情報は自分のメルマガ・LINEにある」と話をつなげる記事がある。今号は、その構造を読み解いた。(黒)
「同業は詐欺師、自分は本物」という記事の型
展開はだいたい同じ順序をたどる。まず「◯◯という副業検証サイトがある」と対象を紹介し、次に「実はこの運営者、過去に何度もサイト名を変えている」「悪評から逃げているだけ」と経歴を否定する。そのうえで「詐欺師の典型的手口」という強い言葉を使い、最後に「では、どこから情報を得ればいいのか」という読者の疑問に答える形で、自分自身のメールマガジンやLINEへ話をつなげる。批判と勧誘が、同じ記事の中に同居している。
名指し批判が「比較広告」として見られたら
消費者庁は、比較広告についての考え方を公表している。
同じ資料は、適正な比較広告として認められるための条件も示している。
「過去に何度も名前を変えている」「詐欺師の典型的手口」という主張が、この3条件を満たす形で示されているか。読み手が確かめられる根拠が示されないまま、言葉の強さだけが残る記事は、この基準に照らして一度立ち止まってみる価値がある。
誘導先の「本当の情報」は検証できるか
批判の締めくくりで誘導される先は、多くの場合、登録するまで中身が分からないメールマガジンやLINEアカウントだ。国民生活センターは、この形態のトラブルが増えていることを繰り返し伝えている。
配信の形もさまざまだと、同じ資料は書いている。「事業者によっては、動画やメールマガジン、アプリケーション(以下、アプリ)で配信したり、冊子やDVD等に加工して契約者に送付する場合もあります。」——同資料より。つまり、「登録すればわかる」という設計そのものは、情報商材トラブルの土台としてよく見られる形だ。批判記事の強い言葉に納得して登録した先が、同じ土俵に立っている可能性は、頭の片隅に置いておいていい。
「本質的な情報」の主張にも、根拠を求めていい
特定商取引法にも、関連する規定がある。
さらに、その表示が本当かどうかを確かめる仕組みも用意されている。
「私の情報の方が本質的だ」という主張も、同じように、確かめられる根拠があるかどうかで見ていい。根拠を示せと言われて示せない情報が、果たして本質的と言えるのかは、私には分からない。
数字でほどく:SNS発の勧誘全体に共通する流れ
情報商材に限らず、SNSをきっかけにした「もうけ話」全般の相談も増えている。
これはタスク型副業についての集計で、メルマガ・LINE誘導そのものの数字ではない。ただ、SNSやブログから「まずはメッセージアプリで」と一歩深い場所へ読者を動かし、そこで初めて本格的な話が始まるという導線の形そのものは、共通して見られる。
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
気合いで見抜こうとすると疲れるので、私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、大半は防げる。そのうえで、
- 「詐欺師」「悪質」という言葉の根拠が、確かめられるリンクや資料として示されているかを確かめる
- 批判している側自身の運営者情報(会社名・住所・連絡先)が、同じ記事内で確認できるかを確かめる
- 誘導先のメルマガ・LINEの中身が、登録前に一切わからない設計になっていないかを確かめる
- 「本質的な情報」「ここでしか言えない話」という言葉だけで、登録を即決しない
この記事のまとめ
- 同業を名指しで「詐欺師」と断定し、自分のメルマガ・LINEへ誘導する記事の型がある
- 名指し批判にも、比較広告として認められる「客観的な実証」「正確な引用」「公正な比較」が伴っているかを確かめる視点が使える
強い言葉で語られるほど、根拠を確かめる手間を惜しまないでほしい。(黒)