第403号黒岩検閲済 2026年7月27日 発行(不定期刊/前号:7月27日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|見張り役自称×二重登録導線の型

「見張り役」を自称する無料の銘柄情報コラムが、LINEとメールの二重登録を同時に用意する型を、国民生活センター・金融庁の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

「投資詐欺の被害経験者です」「同じ被害者を増やさないために書いています」――そう名乗る無料の株価コラムを見た。当日の材料株や決算の話題を並べたあと、その先にLINEの個別アカウントへの登録案内と、メールアドレス登録によるAI銘柄診断ツールの案内が、同じ記事の中に並んで置かれていた。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。

「見張り役」を名乗ると、なぜ警戒心が緩むのか

コラムの体裁は相場ニュースに近い。当日の株価材料や決算の話題が並び、読み物として違和感がない。ここに「自分も過去に投資商材で損をした」「見張る側として書いている」という当事者性の語りが添えられることがある。被害を経験した側、あるいは見張る側を自称されると、読み手は「この人は売る側ではなく、守る側だ」という前提を先に受け取ってしまう。

著名性や当事者性を掲げて信頼を作る勧誘は、投資勧誘全般に共通する型として公的機関も注意を呼びかけている。国民生活センターは「著名人の知名度や実績、権威を悪用した勧誘が横行している」と述べている(国民生活センター・2024年5月29日)。これは特定の事業者を指したものではないが、「著名人」を「被害経験者」「見張り役」に置き換えても、当事者性を勝手に掲げて信用を作る構造は同じだ、と私は見ている。

SNS経由の投資・副業をめぐる相談は、件数としても高い水準が続いている。警察庁は令和7年(2025年)上半期のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数を5,345件、副業詐欺の認知件数を832件・被害額14.1億円と公表している(警察庁・令和7年上半期統計)。無料コラムの入口も、こうした大きな流れの一部として見ておいたほうがいい。

二重の入口――LINEと、メールのAIツール

この型で気になるのは、送り先が一つではないところだ。同じ無料コラムの中に、LINEの個別アカウントへの登録案内と、メールアドレスを入力するAI銘柄診断ツールへの案内が、並行して置かれている。

片方の入口を警戒して素通りしても、もう片方の入口が残る。二つの経路を同時に用意しておけば、読み手を捕まえられる機会は単純に増える。「無料」の入口が一つではなく二つ並んでいたら、それぞれ別の窓口に見えても、その先でつながっている可能性を一度疑ったほうがいい。

この型の核 「無料の銘柄コラム → 見張り役・被害経験者を自称 → LINEとメール、二重の登録 → 有料のAI診断ツールや個別プランへ」という順番そのものを、私は一度疑っていい流れだと見ている。守る側を名乗ることは、実際に守る側であることを意味しない。

で、その先の登録は、何の登録なのか

銘柄を選んで有料で助言を続ける仕事には、本来、届け出がいる。金融庁は投資助言業務を「有価証券の価値等」や「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断」に関する助言を行う業務と定義しており(金融庁・投資運用業等登録手続ガイドブック)、財務省関東財務局も「投資助言・代理業を業として開始しようと考えている方は、事前に法律に基づく登録が必要となります」と案内している(財務省関東財務局・投資助言・代理業関係)。

「AIが銘柄を選ぶ」という言い方をされると、助言をしているのは人ではなくシステムだ、という印象を持ちやすい。だが、継続的に有料で投資判断の材料を提供しているなら、その中身が人によるものかAIによるものかは、登録が必要かどうかを決める理由にはならないはずだ。「見張り役」を名乗る肩書きも、当事者性の語りも、投資助言・代理業としての登録の有無を裏付けるものではない。

私見だが、「見張り役」「被害経験者」という語りは、読み手の警戒を解く効果はあっても、投資助言・代理業として登録を受けているかどうかとは、そもそも次元の違う話だ。私はそう見ている。
迷ったとき用の一言 無料の情報は、無料のまま受け取ればいい。二つ以上の登録案内が並んでいたら、片方だけでなく両方とも、その場で触らずに一晩置いてから考えてほしい。

すでにLINEやメールの先で有料のプランに進み、解約や返金で困っている場合、私に個別の解決はできない。国民生活センターは、この種の勧誘に関する相談が「2022年度と比べて約9.6倍と急増しています」と報告しており(国民生活センター・2024年5月29日)、平均の契約購入金額も一件あたりまとまった額に上るという。まず、これ以上支払わないことを優先し、消費者ホットライン「188」や最寄りの消費生活センター、警察など、正規の窓口に相談してほしい。

  • 「見張り役」「被害経験者」を名乗る肩書きは、投資助言・代理業の登録の有無を保証しないと知っておく
  • 同じ記事に複数の登録案内(LINE・メールなど)が並んでいたら、その先がつながっていないか疑ってみる
  • 無料の情報を受け取っただけで、その場でどちらの登録も済ませない
  • すでに契約している場合は、追加の支払いを止め、消費生活センターなど正規窓口に相談する

この記事のまとめ

  • 「見張り役」「検証サイト」を自称する無料の銘柄情報コラムに、LINEとメール登録という二重の入口が同時に置かれる型がある
  • 二つの入口を並べておけば、片方を警戒されてももう片方で読み手を捕まえられる
  • 有料の投資助言には金融商品取引法上の登録が必要な場合があり、「見張り役」を名乗る肩書きは登録の有無を保証しない

無料はそのまま無料で受け取り、有料への切り替えは一晩置いてから考える。私はそれで十分だと思っている。(黒)