第405号黒岩検閲済 2026年7月27日 発行(不定期刊/前号:7月27日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|送客型副業紹介

LINE副業紹介サービスの「運営会社」欄にある住所が、実体のない共用オフィスだった型を、特定商取引法・消費者庁の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。副業を教えてくれるはずのLINEアカウントに登録すると、実際に届くのは仕事の中身ではなく、次のサービスへの案内だった——そういう相談が増えている。今号は、その送り先の入口にある「運営会社」の欄を確かめる作業を洗った。(黒)

「無料の副業紹介」という入口

LINEの友だち登録だけで始められる副業紹介サービスを見かける。「スマホで簡単な操作をするだけ」とうたわれており、登録そのものは無料だ。ただ、こうしたサービスの多くは、それ自体が仕事を提供しているわけではない。読み進めると、案内されるのはまた別のLINEアカウントや、別の会社のサービスへの登録だ。つまり、最初に触れたアカウントは、仕事そのものではなく、次の窓口へ送るための入口として置かれている。

送り先は明かされないまま、次の段階へ渡される

この送客の流れは、消費者庁が公表した相談事例にも具体的に記録されている。

LINEやメッセージアプリへ、次々と渡される 「スマートフォンで見ていたSNSに表示された副業に関する広告をきっかけに、『動画をスクリーンショットした画像を送れば報酬がもらえる』とうたう副業に勧誘された後、Telegram等のアプリを使用して、参加費用を支払うタスク副業に誘導された上、作業ミスなどの名目で高額の追加送金をしてしまったなどという相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。」——消費者庁「『タスク副業』で報酬が支払われるとうたい、実際には高額を送金させる事業者に関する注意喚起」(消費者庁・2025年2月6日)より

最初のアカウントに戻って「この仕事は具体的に何をするものですか」と尋ねても、はっきりした答えは返ってこないことが多い。代わりに促されるのは、次の登録だ。それ自体が、もう仕事の中身の話ではなくなっている、というサインだと私は見ている。

「運営会社」欄の住所を確かめる、という視点

入口のLINEアカウントや、その先の紹介ページには、たいてい「運営会社」や「特定商取引法に基づく表記」という欄がある。社名・住所・電話番号が並ぶ場所だ。だが、住所を地図で確かめると、何十社もの会社が同じ一室に登記されている、いわゆる共用オフィスや私書箱型の住所であることがある。

共用オフィスそのものが、即座に問題というわけではない。ただ、電話番号の欄が「請求時のみお伝えします」となっていたり、連絡先がメールアドレスしか書かれていなかったりすると、実際にその場所を訪ねても担当者に会える保証がない、という状態になる。連絡先が、あとから確かめられない形で並んでいる——そこは一度、疑ってみてほしい。

法律の枠組みでも、氏名・住所の開示は前提になっている

こうした事業者情報の表示は、思いつきの慣習ではなく、法律で決められた最低限のルールだ。

通信販売の広告に必要な表示事項 通信販売の広告には「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」を表示することが、特定商取引法第11条で定められている——特定商取引法ガイド「通信販売」(消費者庁)より

つまり、事業の実態を、あとから第三者が確かめられるようにするための決まりだ。逆に言えば、この欄が実体を伴わない形になっていれば、確かめる手段そのものが失われる、ということでもある。では、確かめられない連絡先の先で、誰がその報酬を払っているのか。私にはそこまでは分からない。

数字でほどく:SNS発の相談は増えている

この型そのものが珍しいものではない、という点は、国民生活センターの集計にも表れている。

簡単なタスク副業をめぐる相談件数の推移 「簡単なタスクを行う副業に関するトラブル」の相談件数は、2020年度1341件、2021年度2398件、2022年度2793件、2023年度3694件と増えている——国民生活センター「スキマ時間に気軽に稼げる等とうたう副業トラブル!」(国民生活センター・2024年9月4日)より

1341件から3694件。3年間でおよそ2.8倍という計算になる。入口の広告文句や紹介アプリの見た目は案件ごとに変わっても、無料の入口から次の窓口へ渡り歩かせるという型そのものは、繰り返し使われている。

迷ったとき用の一言 「運営会社の欄に書かれた住所に、実際に人はいますか」と、電話で聞いてみてほしい。その場ではぐらかされて、次の登録だけを促されたら、それ自体が答えだと思う。

巻き込まれないための、ゆるい行動ルール

気合いで見抜こうとすると疲れるので、私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、大半は防げる。そのうえで、

  • 「運営会社」「特定商取引法に基づく表記」の欄に、住所・電話番号・氏名が具体的に書かれているかを確かめる
  • 電話番号が「請求時のみ開示」など、後出しになっていないかを確かめる
  • 次のアカウントへ案内されても、その場で登録せず、いったん持ち帰って調べる
  • 家族や友人など、利害のない誰かに一度話してみる

この記事のまとめ

  • 無料の副業紹介サービスは、それ自体が仕事を提供せず、次の窓口へ送るための入口になっていることがある
  • 「運営会社」欄の住所・電話番号が、あとから確かめられない形になっていたら、それは注意信号

入口が無料でも、出口の金額は無料ではない。まず、運営会社の欄を確かめてほしい。(黒)