LINE副業紹介サービスの「運営会社」欄にある住所が、実体のない共用オフィスだった型を、特定商取引法・消費者庁の一次情報で調べた
特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。副業を教えてくれるはずのLINEアカウントに登録すると、実際に届くのは仕事の中身ではなく、次のサービスへの案内だった——そういう相談が増えている。今号は、その送り先の入口にある「運営会社」の欄を確かめる作業を洗った。(黒)
「無料の副業紹介」という入口
LINEの友だち登録だけで始められる副業紹介サービスを見かける。「スマホで簡単な操作をするだけ」とうたわれており、登録そのものは無料だ。ただ、こうしたサービスの多くは、それ自体が仕事を提供しているわけではない。読み進めると、案内されるのはまた別のLINEアカウントや、別の会社のサービスへの登録だ。つまり、最初に触れたアカウントは、仕事そのものではなく、次の窓口へ送るための入口として置かれている。
送り先は明かされないまま、次の段階へ渡される
この送客の流れは、消費者庁が公表した相談事例にも具体的に記録されている。
最初のアカウントに戻って「この仕事は具体的に何をするものですか」と尋ねても、はっきりした答えは返ってこないことが多い。代わりに促されるのは、次の登録だ。それ自体が、もう仕事の中身の話ではなくなっている、というサインだと私は見ている。
「運営会社」欄の住所を確かめる、という視点
入口のLINEアカウントや、その先の紹介ページには、たいてい「運営会社」や「特定商取引法に基づく表記」という欄がある。社名・住所・電話番号が並ぶ場所だ。だが、住所を地図で確かめると、何十社もの会社が同じ一室に登記されている、いわゆる共用オフィスや私書箱型の住所であることがある。
共用オフィスそのものが、即座に問題というわけではない。ただ、電話番号の欄が「請求時のみお伝えします」となっていたり、連絡先がメールアドレスしか書かれていなかったりすると、実際にその場所を訪ねても担当者に会える保証がない、という状態になる。連絡先が、あとから確かめられない形で並んでいる——そこは一度、疑ってみてほしい。
法律の枠組みでも、氏名・住所の開示は前提になっている
こうした事業者情報の表示は、思いつきの慣習ではなく、法律で決められた最低限のルールだ。
つまり、事業の実態を、あとから第三者が確かめられるようにするための決まりだ。逆に言えば、この欄が実体を伴わない形になっていれば、確かめる手段そのものが失われる、ということでもある。では、確かめられない連絡先の先で、誰がその報酬を払っているのか。私にはそこまでは分からない。
数字でほどく:SNS発の相談は増えている
この型そのものが珍しいものではない、という点は、国民生活センターの集計にも表れている。
1341件から3694件。3年間でおよそ2.8倍という計算になる。入口の広告文句や紹介アプリの見た目は案件ごとに変わっても、無料の入口から次の窓口へ渡り歩かせるという型そのものは、繰り返し使われている。
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
気合いで見抜こうとすると疲れるので、私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、大半は防げる。そのうえで、
- 「運営会社」「特定商取引法に基づく表記」の欄に、住所・電話番号・氏名が具体的に書かれているかを確かめる
- 電話番号が「請求時のみ開示」など、後出しになっていないかを確かめる
- 次のアカウントへ案内されても、その場で登録せず、いったん持ち帰って調べる
- 家族や友人など、利害のない誰かに一度話してみる
この記事のまとめ
- 無料の副業紹介サービスは、それ自体が仕事を提供せず、次の窓口へ送るための入口になっていることがある
- 「運営会社」欄の住所・電話番号が、あとから確かめられない形になっていたら、それは注意信号
入口が無料でも、出口の金額は無料ではない。まず、運営会社の欄を確かめてほしい。(黒)