「タップするだけで報酬発生」と広告するアプリが、実は別の副業紹介サービスへの入口だった型を、消費者庁・国民生活センターの一次情報で調べた
特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。「スマホをタップするだけで報酬が発生する」と広告するアプリを見かけた。だが、その報酬の出どころをたどっていくと、アプリそのものは稼ぐための仕組みではなく、別の窓口へ利用者を送り込むための入口にすぎなかった——という型を今号は洗った。(黒)
「タップするだけ」という広告の中身
広告の文面は単純だ。「1タップで報酬発生」「スマホをタップするだけで稼げる」。作業の中身についての説明はほとんどなく、何をタップすると、なぜお金が生まれるのか、という仕組みの説明が見当たらない。で、その利益の出どころは?――ここがまず、最初に確かめたい一点になる。
アプリは収益源ではなく、動線だった
広告からアプリに触れ、興味を持って読み進めると、次に案内されるのはLINEアカウントの友だち登録だ。ここまでは無料なので、警戒はまださほど強くない。消費者庁が公表した実際の事例では、この先の流れが具体的に記録されている。
つまり、最初に触れたアプリや広告そのものは、利用者を稼がせる仕組みではない。次のLINE、さらに次のLINEへと渡り歩かせるための、動線の入口として置かれているにすぎない。私はそう見ている。
渡り歩いた先に待っているのは、電話とサポートプラン
いくつかのLINEを渡った先で、電話での説明へ進む。ここで初めて、具体的な金額の話が出てくる。
無料のタップ、無料のLINE登録から始まった話が、電話一本で250万円という桁に変わる。入口の「無料」と、出口の金額の落差そのものが、この型を見分ける一番分かりやすい手がかりだ。で、その250万円を払った先で得られるはずの報酬の出どころは、結局どこにあるのか。広告もアプリも、そこまでは説明していない。
この誘引の構造は、法律の枠組みでも捉えられている
「副業で得られる利益を誘い水にして、有償のプランに契約させる」という構造そのものは、特定商取引法が定める取引類型の枠組みに当てはまり得る。
この取引類型に当たる場合、法律で決められた書面を受け取った日から20日間はクーリング・オフができる。特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」(消費者庁)にそうある。ただし、個別の案件がこの取引類型に実際に該当するかどうかは、行政の判断による。ここでは、こうした誘引の構造そのものを問題視する法律の枠組みがある、ということだけを確かめておきたい。
SNS発の相談は、5年で3倍に増えている
この型の起点はSNS広告だ。国民生活センターの集計では、副業トラブルの相談のうちSNSがきっかけになった割合が、年々増えている。
アプリという入口の形は変わっても、SNS広告からLINEへ、LINEから電話へ、と渡り歩かせる型そのものは、繰り返し使われている。私はそう見ている。
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
気合いで見抜こうとすると疲れるので、私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、大半は防げる。そのうえで、
- アプリや広告が、報酬の出どころを仕組みとして説明しているかを確認する
- LINE登録の先で、さらに別のLINEへ渡されていないかに気づく
- 電話でその場で決めず、提示された金額を一度持ち帰って調べる
- 家族や友人など、利害のない誰かに一度話してみる
この記事のまとめ
- 「タップするだけで稼げる」アプリの実態は、報酬の仕組みではなく、LINE・電話へ渡り歩かせる動線であることがある
- 無料の入口から、電話一本で数十万〜数百万円規模のサポートプラン契約へ進む型が、消費者庁の事例で確認できる
- SNSをきっかけとした副業トラブルの相談は、5年で3倍以上に増えている
「タップするだけ」で報酬の出どころが説明されないなら、その説明のなさを先に信じてほしい。(黒)