SNS広告の「友だち追加」から電話相談に進み、分割ローンの高額プランへ至る副業勧誘の型を、消費者庁・国民生活センターの一次情報で調べた
SNS広告に「友だち追加」ボタンがあり、押すとLINEの相談窓口のようなアカウントにつながる——という副業広告の入口を、いくつか見かけた。広告の文面には、仕事の中身も金額もほとんど書かれていない。友だち追加のあと電話相談に進むと、そこで初めて「未経験でもスマホ操作だけで月◯万円」という話と、年払いで数十万円規模のプランが出てくる。支払いは、分割のローンを勧められることが多いようだ。個別の事業者名は挙げない。案件をまたいで現れる、勧誘の一つの型として見ていく。今号はこの「友だち追加→電話相談→分割ローンの高額プラン」という型を、消費者庁・国民生活センターの一次情報で調べた。
広告の入口では、仕事の中身も金額も分からない
この型の入口は、SNS広告の「友だち追加」ボタンだ。押すとLINEに切り替わり、運営名を冠した相談窓口のようなアカウントにつながる。ここまでは無料なので、警戒心はまださほど強くない。次に案内されるのが電話相談で、そこで「未経験でもスマホ操作だけで月◯万円」という副業の話が出てくる。作業内容は、SNSへの投稿やコピペ作業といった簡単なものだと説明されることが多いようだが、広告の時点ではその中身も、料金も、ほとんど書かれていない。
電話相談のあとに出てくる、年払いの分割ローン
電話相談が終わると、年払いで数十万円規模のプランが提示される。しかも支払いは一括ではなく、分割のローン(個別信用購入あっせん)を勧められることが多いようだ。国民生活センターの集計によれば、この種の副業トラブルの相談件数は2020年度の1,341件から2023年度は3,694件に増え、平均契約購入金額も27万9,519円から76万3,117円に増加している。国民生活センター発表情報(国民生活センター・2024年)。金額そのものが年々大きくなっている、という点は覚えておきたい。
で、その報酬の出どころは? 簡単な作業で継続的に稼げる話なら、わざわざローンを組んでまで先に大金を払う必要はないはずだ。
特定商取引法の表示は、確認できるか
もう一つ、契約の前に確認しておきたいのが、特定商取引法に基づく表示だ。通信販売や業務提供誘引販売取引には、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号の表示が法律で義務付けられている。特定商取引法ガイド「通信販売」(消費者庁)には「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」の表示が義務付けられている、とある。消費者庁のパンフレットにも「特定商取引法は、事業者に対して、勧誘開始前に事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げるように義務付けています」とある(消費者庁パンフレット「悪質商法などから消費者を守る」(消費者庁・2026年))。この表示ページが開けない、あるいは書かれた住所・電話番号の実在が確認できない場合は、契約前にそれだけで一度立ち止まる理由になる。
振込先の名義は、契約書の事業者名と合っているか
契約が進むと、指定の口座に振り込むよう案内されることがある。ここで見ておきたいのが、振込先の名義と、契約書・広告に出てくる事業者名が一致しているかどうかだ。投資分野では、消費者庁が「投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺です」と、はっきりした言い方で注意を呼びかけている(消費者庁の注意喚起(消費者庁・2024年))。副業契約に特化した同種の呼びかけは、確認できる範囲では見当たらなかった。ただ、「案内された事業者名と、実際の振込先の名義が違う」というのは、分野を問わず疑ってよい兆候だと私は見ている。
ローンを組んでまで急ぐ話に、外部の成功事例はあるか
最後に、実績の示し方について。電話相談では「すでに稼いでいる人がいる」という話が出ることがあるが、その実績を外部の第三者が確認できる形で示されることは少ない。副業サポート事業者が消費者に高額な借入れをさせた事例について、消費者庁は「副業サポート事業者から、高額なサポートプランの契約を勧誘され、当該事業者と遠隔操作アプリでスマホの画面共有をしつつ、消費者金融業者から高額な借入れをした」というケースを注意喚起している(消費者庁の注意喚起(消費者庁・2024年))。ローンを組んでまで急がせる話に、外部で確認できる実績が伴っていないなら、それは急ぐ理由にはならない。
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
気合いで見抜こうとすると疲れるので、私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、大半は防げる。そのうえで、
- 広告の時点で「仕事の中身」と「金額」の両方が書かれているかを確認する
- 電話相談で決めず、一度持ち帰って調べる
- 特定商取引法の表示(事業者名・住所・電話番号)を自分の目で確認する
- 振込先の名義が、案内された事業者名と一致しているかを確認する
- ローンを組んでまで急ぐ話には、外部で確認できる実績があるかを基準にする
この記事のまとめ
- 広告の入口では、仕事の中身も金額もほとんど書かれない
- 電話相談のあとに、年払い・分割ローンの高額プランが出てくることがある
- 特定商取引法の表示と、振込先の名義は契約前に自分で確認したい
対策は結局のところ、その場で決めない・表示と名義を自分で確かめる・第三者に話す。この3つに尽きる。