第373号黒岩検閲済 2026年7月22日 発行(不定期刊/前号:7月22日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|無料メール講座×高額アフィリエイトスクール勧誘の型

無料のメール講座から、広告費も自分で払う高額アフィリエイトスクールへ進める型を、特定商取引法・国民生活センターの一次情報で調べた

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黒岩警戒度

無料のメール講座に登録したところ、しばらくして届く内容の温度が変わった、という話をよく見かける。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、無料のメール講座から高額なアフィリエイトスクールへ進むこの導線を洗ってみた。

どんな入り口なのか

型はだいたい共通している。「本業以外の収入がほしい」「何か月がんばっても成果が出ない」といった悩みに寄り添う言葉から始まり、メールアドレスを登録すると無料のメール講座や無料のレポート・動画が届く。しばらく講座を読み進めた先に、有料スクールの案内が置かれている。

扱われる手法は「アド型アフィリエイト」と呼ばれるものが多い。自分で広告費を出稿し、商品やサービスの販売ページへ人を集めて成果報酬を得る、という手法である。他人を勧誘して組織を広げる形とは違い、自分の広告出稿と成果報酬の関係で完結する取引だという説明がされることが多い。

「受講料が書かれない」広告ページについて

無料講座への入り口となる広告ページを見ていて気になったのが、その先にある有料スクールの受講料が、どこにも書かれていないという点だ。特定商取引法は、通信販売の広告について価格に関する事項を表示するよう定めている。「商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価」は、広告に表示すべき事項の一つに挙げられている(消費者庁「特定商取引法ガイド」逐条解説)。

同じ解説では、価格等の表示は「全部を表示するか、あるいは全部を表示しないかのどちらかであり、一部の表示をすることはできない」ともされている(同上)。つまり、価格をまったく書かないこと自体が直ちに違法というわけではなく、請求があれば遅滞なく別途開示する仕組みを整えていれば足りる、という制度設計になっている。ただ、読者の側からすれば、申し込む前に総額が分からない広告だ、という事実は変わらない。

「無料」の位置づけ 無料のメール講座そのものは、悪いことではない。問題は、登録した時点では、その先にどれだけの金額が待っているかが見えないことだ。価格を書かない広告にも制度上の逃げ道はあるが、読者にとっては「総額を確かめてから申し込む」以外に自衛の方法がない。

実績の見せ方と、規約の但し書きとの落差

スクールの広告では、上位の実績者が月間で1000万円を超える報酬を得たという例が紙面に掲げられることがある。一方で、同じ広告の下の方には「弊社の実績は成果を保証するものではありません」「100%の成功をお約束することはできない」という但し書きが小さく添えられている。

実際のものより著しく優れて見せる表示は、景品表示法上「優良誤認表示」と呼ばれる。消費者庁は、優良誤認表示を「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」と説明している(消費者庁「優良誤認とは」)。実際より著しく有利な条件だと見せる表示は「有利誤認表示」として整理されている(消費者庁「有利誤認とは」)。

こうした実績表示について、消費者庁は表示の裏付けとなる合理的な根拠を求める「不実証広告規制」も持っている。「提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合には、当該表示は……不当表示とみなされ」るという枠組みだ(消費者庁「不実証広告規制」)。目立つ実績と、目立たない但し書き。その落差をどう見るかは、この制度の枠組みに照らして考えたい。

確認の仕方 派手な実績を見たら、まず「これは誰の、いつの、どういう条件での数字か」を確かめたい。一部の突出した成功例が、そのまま自分に当てはまるとは限らない。

数字でほどく:入会金・継続費・広告費

ここで、費用の総額を自分の手で足し算してみる。仮に入会金が24万8千円、5か月目以降の継続費が月1万1千円、そこに自分で出す広告費が月3万円ほどかかるとする。初年度でみると、入会金24万8千円に、継続費1万1千円を8か月分(8万8千円)、広告費3万円を12か月分(36万円)を足すと、合計で約69万6千円になる。人を集める広告費は、受講料を払ったあとも毎月出ていくお金だという点を、この足し算は示している。

仮に広告費28,382円に対して利益15,168円が出たとすると、利益率はおよそ35%という計算になる。ここで見落としやすいのは、この利益率は「広告費を払ったあとに、それでも黒字だった月」の数字だという点だ。広告費を払って利益が出なかった月があっても、広告費そのものは先に出ていく。受講料を払った時点で終わりではなく、その先も自分の判断と自分の財布で広告を出し続ける取引だ、と捉えておきたい。

すでに契約してしまった方へ

国民生活センターは2023年3月、起業・副業をめぐる消費者トラブルの解決困難事例を調査した報告書を公表している。その中で「サイドビジネス商法」という型を、「『内職・副業(サイドビジネス)になる』『脱サラできる』等をセールストークに何らかの契約をさせる商法」と説明し、2015年度以降、毎年度1万件以上の相談が寄せられ、2021年度は1万5千件以上に上ったとしている(国民生活センター調査報告書(2023年3月))。

同じ報告書には「事業者から、儲かるまでサポートすると言われ、30~200万円のサポート契約やコンサルタント契約を勧められる」という記載や、「転売ビジネスやアフィリエイト等について『儲かるまでサポートする』などとSNS等で勧誘し、30万円~200万円のサポート契約やコンサルタント契約を現金払いで締結する」という記載がある(同上)。今回の型に近い金額感である。

さらに同じ報告書には、「業者からは25万のサポートプランを勧誘されたが、『お金がないので支払えない』と断った。しかし、消費者金融からの借金を勧められ」たという相談事例も記録されている(同上)。手元にお金がないと伝えた先で、借り入れを勧められる。この一点は、覚えておいてほしい。

  • 契約前に、入会金・継続費・広告費を合わせた総額を、自分で紙に書き出してみたか
  • 「儲かるまでサポートする」と言われて、消費者金融や借り入れを勧められていないか
  • 実績の数字が、誰の・いつの・どういう条件のものか確認したか
  • 広告ページに価格が書かれていない場合、契約前に総額を書面で請求したか
  • その場で契約せず、いったん持ち帰って調べる。それだけでも判断は変わる

「仕事を紹介して収入を得る」取引との違い

ここは慎重に書いておきたい。特定商取引法には「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要だとして商品等を売って金銭負担を負わせる「業務提供誘引販売取引」という枠組みがある(消費者庁「業務提供誘引販売取引」)。個人を勧誘し、さらにその個人に次の勧誘をさせて組織を拡大していく「連鎖販売取引」という枠組みもある(消費者庁「連鎖販売取引」)。

今回のようなアド型アフィリエイトのスクール契約が、これらの枠組みに当たるかどうかは、確認できる範囲では、個別の契約実態次第としか言えない。ただ、こうした枠組みが制度として存在すること自体は、知っておいて損はない。

この記事のまとめ

  • 無料のメール講座から高額なアフィリエイトスクールへ進む型では、広告ページに受講料が書かれず、契約後は広告費という継続的な自己負担も待っている
  • 実績表示と「保証しない」という但し書きの落差には表示規制上の論点があり、総額は入会金・継続費・広告費を自分の手で足し算すれば確かめられる

で、その広告費の出どころは? 契約する前に、総額を紙に書き出してみてほしい。