第354号黒岩検閲済 2026年7月17日 発行(不定期刊/前号:7月17日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|診断ゲートウェイ×高額サポートプランの型

「10秒診断」の副業LPが、LINE登録後に別会社の高額サポートプラン契約へ進む型を、消費者庁と特定商取引法の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

「10秒で診断」「あなたに合う副業がわかります」という広告をいくつか眺めていたら、入口の作りがどれもよく似ていた。診断そのものは無料で、LINEに友だち追加すれば結果が届く。ここまでは害がない。問題は、その先である。診断結果として案内されるのは、たいてい広告主とは別の会社が扱う副業や投資のサービスで、最終的に数十万円規模の「サポートプラン」契約へ進むよう促される。今号はこの型を洗った。(黒)

「診断」という入口が無料である理由

診断LPの多くは、氏名や電話番号を聞かず、LINEの友だち追加と数問の質問だけで完結する。ここに費用は発生しない。無料なのは「診断」までであり、実際の商流は別の場所にある、という点をまず押さえておきたい。診断結果として届くのは「あなたに向いている副業」という体裁の紹介であり、その先で案内される先が、広告を出していた会社とは別法人のサービスであるケースが目につく。入口の運営会社と、実際にお金を払う相手が違う——これが型の一段目である。

収入事例は、自分で確かめられるか

診断結果と一緒に「月10万円が32万円に」のような収入の例が示されることがある。ただ、この手の数字は基本的に第三者が検証できない。景品表示法では、商品・役務の内容を実際より著しく優良に見せる表示を優良誤認表示、取引条件を実際より著しく有利に見せる表示を有利誤認表示として、不当景品類及び不当表示防止法で規制している。裏付けの薄い収入事例をそのまま信じる前に、「これは自分で再現・確認できる数字だろうか」と一度、割り算の姿勢で見てほしい。

数字で見る、この型の広がり

感覚ではなく、統計で見ておきたい。国民生活センターは、簡単なタスクをこなす副業に関する相談件数が2020年度の1,341件から2023年度は3,694件へ増え、そのうちSNSがきっかけとなった相談の割合も2020年度23.0%から2023年度63.4%へ上昇していると公表している。平均の契約購入金額も同期間で279,519円から763,117円へ、年を追うごとに高額化している(国民生活センター「スキマ時間に気軽に稼げる等とうたう副業トラブル!」2024年9月4日)。診断や無料相談を入口にした副業勧誘は、一件ごとの被害が小さいものではなく、年々規模を増している型だということが、この数字からうかがえる。

入口と契約先が別、というだけでは違法にならない 広告を出す会社と、実際にサポートプランを契約させる会社が別法人であること自体は、それだけで違法とは言えない。ただし、契約の相手が誰で、どこに所在するのかを消費者側が確かめられない状態のまま高額な契約に進んでしまうと、トラブルになったときに交渉先すら追えなくなる。まずは「誰と契約するのか」を自分の言葉で説明できるか、そこを確認の起点にしたい。

この型は、法律上どう位置づけられるか

副業紹介を入口に商品や高額なプランの購入を伴わせる取引は、特定商取引法が定める業務提供誘引販売取引に当てはまり得る類型として整理されている。消費者庁は「『仕事を提供するので収入が得られる』という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引」をこの類型と説明している(消費者庁 特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」、根拠条文はe-Gov法令検索・特定商取引に関する法律第51条)。該当する場合、勧誘に先立つ氏名等の明示義務や、通常より長いクーリングオフ期間(20日間)が定められている。もっとも、入口の診断LPと、後段でプランを契約させる会社のどちらが「業務提供誘引販売取引を行う者」に当たるかは契約構造次第であり、個々のケースの該当性をここで断定はしない。あくまで「こういう類型が法律上存在する」という事実として押さえておいてほしい。

もう一つ確認したいのが、特定商取引法が通信販売の広告に義務づけている事業者の氏名・住所の表示である。消費者庁のガイドでは「事業者は法人・個人を問わず氏名又は名称を表示することが必要」「住所については、現に活動している住所を記載する必要がある」とされている(消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売広告について」)。表示が義務どおりに見当たらないからといって、それだけで違法と決めつけることはできない。ただ、運営者の実在性を自分で確かめる手がかりが乏しいまま契約を進めることになる、というリスクは残る。

繰り返し出ている注意喚起 消費者庁は、簡単な副業を入口に高額なサポートプランを契約させる事業者について、令和4年・令和6年・令和7年と、時期を変えて複数回にわたり注意喚起を公表している(消費者庁 注意喚起一覧)。ある一つの案件を指しているわけではなく、同じ型が形を変えて繰り返し確認されている、ということだと私は見ている。で、その利益の出どころは?――紹介料なのか、商材の販売代金なのか。そこが自分の言葉で説明できないうちは、契約を進めない方がいい。
  • 診断LPの運営会社と、実際に契約する会社の名前・所在地が一致しているか、自分で確認できるか
  • 示された収入事例が、自分で再現・検証できる数字かどうか
  • 「今だけ」「先着」といった急かす言葉が出た時点で、いったん時間を置けているか
  • 契約前に、金額と支払い方法を書面や記録が残る形で示してもらえているか

この記事のまとめ

  • 無料の「診断」は入口にすぎず、実際の契約は別会社の高額サポートプランで発生する型がある
  • 国民生活センターの統計では、この種の副業トラブルは相談件数・平均契約金額ともに増加傾向にある
  • 業務提供誘引販売取引・特定商取引法の表示義務・景品表示法の考え方から、確認すべき点を淡々と押さえておきたい

診断結果を急いで信じる前に、契約相手の実在性と、収入事例の根拠。この2つを自分の手で確かめる時間を取ってほしい。