第340号黒岩検閲済 2026年7月14日 発行(不定期刊/前号:7月14日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|マッチングアプリ投資勧誘×偽残高表示の型

マッチングアプリ経由の投資勧誘が、偽の残高表示から出金時の追加請求へ進む型を、警察庁の確定値と金融庁の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

今号はこの件を洗いました。マッチングアプリで知り合った相手から投資の話を持ちかけられた、という相談を最近続けて目にする。専用のアプリに登録すると、資産が毎日のように増えていく画面を見せられる。ただ、いざ出金しようとした途端に話が変わる——という型が、案件をまたいでよく似た形で現れる。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。今回は、その入り口から出口までの流れを、警察庁と金融庁の一次情報で追ってみた。

マッチングアプリ経由の投資勧誘、その規模

金融庁は、SNSやマッチングアプリで知り合った相手からの投資勧誘について、繰り返し注意を呼びかけている。「LINEのグループ内では、犯人たちが複数のアカウントを使って投資が成功しているそぶりを見せて…」「出金時に高額な手数料や税金の支払いといった名目の口座入金を要求され、入金した直後に連絡が取れなくなることもあります」と、演出された成功体験を経て勧誘が進む流れを説明している(金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」、令和7年4月17日更新)。

規模も小さくない。警察庁の令和7年確定値によれば、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺を合わせた認知件数は15,168件、被害額は1,834.4億円にのぼる(警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」、2026年6月5日発表)。マッチングアプリを入り口とする勧誘は、この中でも一つの型として定着していると私は見ている。

偽の残高——数字は、運営側がいつでも書き換えられる

専用アプリに登録すると、資産が増えていくグラフや残高が表示される。警察庁は、こうした手口の典型として「偽の利益を掲載し、その一部(少額)を被害者口座へ振込」する段階と、「高額の偽利益を表示。全額引出のための手数料などを要求」する段階を挙げている(警察庁「SNS型投資詐欺」)。

ここで見せられる数字は、実際の運用成績とは無関係に、運営側が自由に書き換えられる画面上の表示にすぎない。で、その利益の出どころは? 市場の値動きなのか、それとも後から入った別の誰かの入金なのか。専用アプリの中だけで完結する数字は、外から検証のしようがない。そこがまず、立ち止まってほしい一点だ。

出金の段になって始まる「名目請求」

実際に出金を申請すると、そこで初めて条件が付く。マッチングアプリ経由の暗号資産投資では、「手数料や税金などの名目で追加送金を求められ、応じても出金できない」という相談が国民生活センターに寄せられている(国民生活センター「消費者トラブル解説集」、2022年5月19日)。

名目は「所得税」「出金手数料」「保証金」など案件によって変わるが、構造は同じだ。一度払えば次の名目が現れ、払うのをやめた時点で連絡が途絶える。最初の少額出金には応じ、高額の段だけを止める型が併用されることもある。

払う前に、まず確かめたい一点 出金のために追加でお金を求められた時点で、いったん手を止めてほしい。健全な取引で、引き出すために先払いが必要になることはない。「あと少し払えば戻る」という言葉は、次の請求への入り口にすぎないことが多いと私は見ている。

見分け方(1)——無登録業者かどうかは、自分で確かめられる

投資や暗号資産の勧誘を業として行うには、金融庁への登録が必要になる。金融庁は「登録を受けていない『無登録業者』は、投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず…出金の拒否や法外な出金手数料を請求されたりする」と説明している(金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」)。

実際に、無登録で営業していたとして金融庁(財務局)が警告書を発出した業者の名称等を公表しているページもある(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」、2026年6月29日最終更新)。勧誘してきた相手が名乗る会社名を、金融庁の登録業者検索で確かめる。これだけで、この型の入口をかなりの割合で見分けられる。

見分け方(2)——特定商取引法の表記が消えている時点で、もう一つの黄信号

通信販売を行う事業者には、氏名(名称)・住所・電話番号などを広告に表示する義務がある。消費者庁は、この義務に違反した場合は業務改善の指示や業務停止命令の対象になりうると説明している(消費者庁「特定商取引法ガイド/通信販売」)。

勧誘してきたアプリやサイトに、運営会社名・所在地・問い合わせ先の記載が見当たらない、あるいは書いてあっても実在の確認ができない——その時点で、もう一つの黄信号が立っていると考えていい。

  • 出金のために追加の送金を求められたら、まずその場で払わない
  • 表示されている残高・利益を、自分の手で検証できるかを基準にする
  • 勧誘者が名乗る会社名を、金融庁の登録業者検索で確認する
  • アプリやサイトに運営会社名・所在地・連絡先の記載があるか確認する
  • すでに払ってしまった場合は、これ以上払わないことを最優先にする
迷ったとき用の一言 「出金のために、まずお金を払ってほしい」——この一文が出た時点で、答えは出ている。健全な取引に、そんな順番はない。(黒)

この記事のまとめ

  • マッチングアプリ・SNS経由の投資勧誘では、専用アプリの偽の残高表示から始まり、出金時の名目請求へ進む型がある
  • 令和7年確定値で、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は1,834.4億円(警察庁)
  • 無登録業者かどうか、特定商取引法の表記があるかは、自分で確認できる

出どころの説明できない利益と、出金のための先払い。この二つが揃ったら、その場で決めずに一度立ち止まってほしい。