第338号黒岩検閲済 2026年7月13日 発行(不定期刊/前号:7月13日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|取り締まり風ネーミング×格付け送客の型

取り締まる側を思わせる名前の株情報サイトが、本物の相場ニュースで信頼を積んでから「優良認定」の格付けで送客する型を、無登録業者と表示規制の一次情報で調べた

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黒岩警戒度

「〇〇ポリス」「〇〇取締役」のような、取り締まる側を連想させる名前の株情報サイトを見かけることがある。名前だけなら誰でも名乗れるが、厄介なのはその先だ。中身を読むと、その日の決算・材料・IPO情報がきちんと並んでいて、内容自体に嘘は見当たらない。今号は、この「本物のニュースで信頼を積む」型と、その先にある「優良/悪質」という格付けの仕組みを、名指しはせずに分解しておきたい。

なぜ「本物のニュース」が入口になるのか

これまで見てきた「後出しの利益率グラフ」型と、この型は入口が違う。数字を作り込む必要がない。銘柄コードと決算・業務提携の事実を、その日のうちに並べるだけでいい。読者からすれば「今日の材料をきちんと拾っている」と感じられ、疑う理由が最初はない。これが、この型の一番の強さだと私は見ている。

だが、正確なニュースを無料で出すこと自体は、そのサイトが運営する「格付け」や「ランキング」の中身が正しいことを、何も保証しない。ニュースの正確さと、格付けの正しさは、まったく別のレイヤーの話だ。ここを混同させてしまう構造に、注意を向けておきたい。

型を、名前・本文・出口の3段で分解する

入口:取り締まる側を連想させる名前

「ポリス」「取締」「見張り」といった語を含む名前は、それだけで「中立に監視している側」という印象を与える。実際には民間の一サイトにすぎず、行政機関でも第三者機関でもない。名乗るのは自由だが、名前が権限や公的な立場を意味するわけではない、という点は分けて考えたい。

本文:日々更新される材料・決算・IPO情報

コラムの中身は、その日の株価材料や決算発表、IPO銘柄の一覧といった、確認可能な事実情報であることが多い。ここに虚偽はない。むしろ丁寧に更新されている分、読み手の信頼は素直に積み上がっていく。問題は、この信頼がどこで使われるか、である。

出口:「優良株サイト」「悪質株サイト」という格付け

同じサイト内には、他の株情報サイト・投資顧問サービスを「優良」「悪質」と格付けするランキングページが置かれていることがある。どんな基準で優良と判定しているのか、対価を受け取っているのかは、ランキングのページ単体からは分からない。読者は「ここまで正確な情報を出しているサイトが選んでいるなら」という理由で、格付け上位のサービスへ進んでしまう。ニュースへの信頼が、そのまま格付けへの信頼へ横流しされる瞬間だ。

この型の核 「正確なニュースを無料で出せる能力」と「格付けを公正に行う能力」は、別の能力である。同じサイトの中に同居していても、前者が後者を証明することはない。私はそう見ている。

数字でほどく:格付けが「広告」に当たる場合の考え方

もし格付け上位のサービスから対価を受け取っているのに、その旨を示していないなら、話は表示規制に関わってくる。消費者庁は2023年10月からの規制について「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる『ステルスマーケティング』です」としたうえで、令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となりますと明示している。「優良認定」という体裁が、実質的に広告主から対価を得た表示であるなら、この規制と無縁ではいられない。

「優良」という評価そのものの中身にも、表示規制は及ぶ。消費者庁は優良誤認とはのページで、「実際のものよりも著しく優良であると示す」表示を、不当に顧客を誘引し自主的な選択を阻害するおそれがあるものとして規制対象に挙げている。さらに同庁は、表示の裏付けとなる合理的な根拠資料を事業者が示せない場合、その表示は優良誤認とみなされ得るという不実証広告規制の考え方も示している。格付けの「優良」に、確かめられる基準が添えられているかどうかを、まず見てほしい。

送客先が無登録業者だったら、というリスク

格付けで上位に置かれたサービスが、日本で正規の登録を受けた業者かどうかは、格付けページの表示だけでは分からない。投資助言を行う業務には、金融庁の投資運用業等 登録手続ガイドブックが示すとおり、投資顧問契約に基づく助言を行う場合は投資助言・代理業の登録が要る。金融庁は無登録業者との取引は要注意!!のページで、無登録業者について「投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず……同等の態勢が整っていない可能性が高い」と注意を促している。格付け上位という肩書きと、登録の有無は、別々に確かめる必要がある。

SNS発の勧誘トラブルは、統計としても増えている

国民生活センターは2024年5月の報道発表で、SNSをきっかけとして著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増していると公表した。相談件数は2021年度52件、2022年度170件、2023年度1,629件で、2022年度比で約9.6倍に増えている。名前や体裁で信頼を得たあとに勧誘へ進む型は、この統計が拾っている流れの一つと見ていい。同センターは同じ発表で「いったん振込してしまうと、被害回復が困難です」とも述べている。

迷ったとき用の一言 「その格付けの基準は、どこに書いてありますか」。基準・根拠・利害関係の開示がどこにも見当たらないなら、そのランキングは自分で確かめる材料にはならない、と私は思う。
  • ニュースの正確さと、同じサイト内の「格付け」「ランキング」の正しさを、別の話として切り分ける
  • 「優良」「おすすめ」の判定基準が具体的に書かれているかを確認する
  • 送客先が金融庁の登録を受けた業者かどうかを、無登録業者に関する公表情報などで確かめる
  • その場で登録・入金せず、いったん持ち帰って第三者に見てもらう

この記事のまとめ

  • 取り締まる側を連想させる名前と、本物の相場ニュースは、読者の信頼を積む入口になりうる
  • その信頼は、同じサイト内の「優良/悪質」格付けの正しさまでは保証しない
  • 対価を隠した格付けはステルスマーケティング規制、根拠のない「優良」表示は優良誤認表示の考え方と関わりうる

名前がどれだけ厳しそうでも、格付けの基準が見えなければ、それは確かめようがない話だ。で、その格付けの出どころは?(黒)