第336号黒岩検閲済 2026年7月13日 発行(不定期刊/前号:7月13日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|日次実績配信×AI偽装の型

公式LINEで毎日届く「実績」画像の先で、看板の「AI」を外すとギャンブル予想だった副業マニュアル勧誘の型を、消費者庁の注意喚起で調べた

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黒岩警戒度

今号はこの件を洗いました。公式LINEに登録すると毎日届く「実績」画像を入口に、数千円の低額マニュアル、電話での高額プラン提示、そして看板に掲げた「AI」の中身が実はギャンブルの予想配信だった——という相談が、消費者庁や国民生活センターに寄せられている。特定の業者は名指しせず、この一連の流れを「型」として、お金の流れと公的な注意喚起からたどってみた。

「毎日届く画像」が、なぜ効くのか

公式LINEに登録すると、右肩上がりの収益グラフや「本日+◯万円」といった画像が、ほぼ毎日届く。1回だけなら疑ってかかれる画像も、日をまたいで繰り返し届くと、印象は少しずつ変わっていく。私はこれを「実績の日課化」と見ている。毎日同じ時間に届くという反復そのものが、内容の真偽とは別に信頼をつくってしまう。つまり、検証されているのは画像の中身ではなく、届き続けるという事実のほうだ。

数千円のマニュアルは、「稼がせる」ためではなく「確保する」ため

実績配信のあとに案内されるのは、数千円程度の低額な「マニュアル」であることが多い。ここで動くのは名前・電話番号といった連絡先だ。国民生活センターは、こうした流れの相談事例として次のようなやり取りを紹介している。

「アフィリエイトや動画配信サービスの仲介ビジネスでもうかる方法を教える。手っ取り早くもうかる約200万円のサポートプランがあなたに合っている」——国民生活センターが2023年に公表した相談事例の一節である。数千円で始まったはずの話が、電話一本で二桁万円台へ跳ね上がる。安い入口は、稼がせるためではなく、電話をかけられる相手を確保するための費用だったと見ていい。

電話でしか出てこない金額、そして「借りてでも」の一言

電話は「初期設定サポート」のような名目でかかってくることが多い。ここで初めて具体的な金額が示され、断ると畳みかけられる。消費者庁は2024年、遠隔操作アプリで画面を共有させながら消費者金融からの借入れをさせる副業サポート事業者に注意喚起を出し、「「すぐに返せる」、「みんな借りている」などとして高額な借入れを勧めてくる」と具体的な文言を記録している。手元に金がないと答えた相手に、借りてでも払わせようとする時点で、その話はもう「副業」の範囲を超えていると私は見る。同庁の調査でも「サポートプランの利用金額を上回る収益を得た消費者は確認できませんでした」とある。

看板の「AI」を外すと、中身はギャンブル予想だった

「AIが自動で資産運用する」とうたいながら、実際に配信されている中身は競馬・競艇といった予想シグナルだけ、という相談例もある。表示と実態がここまで離れると、景品表示法の規制に触れうる論点になる。消費者庁は優良誤認表示について「実際のものよりも著しく優良であると示すものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています」と説明し、有利誤認表示についても「実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの」を禁じるとしている。

個別の事業者がこれに該当するかどうかを、私が断定することはできない。ただ、「AI」「自動」という看板と、電話でようやく明かされる中身が違う場合、それ自体がこの規制の射程に入りうる、ということだけは覚えておいてほしい。

数字でほどく——「借金させる商法」は、件数より割合が伸びている

国民生活センターがまとめた情報商材に関する相談を見ると、相談件数そのものは2018年度8,694件から2022年度6,775件へとむしろ減っている。だが、そのうち消費者金融などから無理に借りさせる「クレ・サラ強要商法」が占める割合は、同じ期間に2.6%から14.8%へ跳ね上がった。件数が減っても、借入れを迫る手口の比率は5倍以上に増えているということだ。契約者が20歳代の場合の平均既支払額も、約52万円から約80万円へ上がっている(国民生活センター・PIO-NET集計)。安い入口の裏で、支払う金額の桁は着実に大きくなっている。

電話でこう言われたら、いったん切る 「今日だけ」「みんな入っている」「すぐに返せる」「借りてでもやったほうがいい」。この四つのどれかが電話口で出てきたら、その場で結論を出さないでほしい。断っても、それで何かを失うわけではない。

すでに払ってしまった方へ、連絡が取れないときの動き方

特定商取引法の表記に実在が確かめられない責任者名やバーチャルオフィスの住所が並び、断ったとたんに電話は着信拒否、LINEはブロックされる——という相談もある。そもそも特定商取引法は、業務提供誘引販売取引について、契約させるために事実を告げなかったり不実のことを告げたりする行為、人を威迫して困惑させる行為を禁じている。連絡が取れなくなると「もう何もできない」と感じるかもしれないが、そうではない。法律で決められた書面を受け取った日から数えて20日以内であれば、書面又は電磁的記録でクーリング・オフができる。事業者と連絡が取れない状態でも、この権利自体は消えない。行使の仕方に迷ったら、消費生活センターに相談すれば、通知の出し方を含めて助言してもらえる。

  • 毎日届く「実績」画像は、内容そのものより「届き続けている」という事実を疑ってみる
  • 電話でしか出てこない金額は、その場で決めず、いったん切って調べる
  • 「AI」「自動」の看板と、実際に届く中身が一致しているかを確かめる
  • 「借りてでも」と言われた時点で、その話から離れる
  • 特定商取引法の表記に、実在が確認できる責任者名・住所・電話番号があるかを確かめる
迷ったとき用の一言 「本当にAIが運用しているなら、中身を先に文字で見せられるはずだ」。電話でしか明かされない話には、それだけの理由があると思っておきたい。

この記事のまとめ

  • 公式LINEで毎日届く「実績」画像は、内容の真偽より「届き続ける」こと自体が信頼をつくる
  • 低額マニュアル→電話での高額プラン→借入れの示唆、という型に消費者庁の具体的な注意喚起がある
  • 看板の「AI」と実際の配信内容が食い違う場合、景品表示法の規制に触れうる

電話でしか出てこない金額、借りてでもという一言、看板と中身のずれ。この三つに気づけたら、その場で決めずに切ってほしい。連絡が取れなくなっても、クーリング・オフの権利までは消えない。(黒)