第327号黒岩検閲済 2026年7月12日 発行(不定期刊/前号:7月11日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|市況ニュース×複数サービス誘導の型

相場ニュース記事の体裁のまま、複数の有料投資サービスへ次々と乗り換えさせる型を、広告と気づかれない表示の規制で調べた

公開 最終更新 読了 約5分
黒岩警戒度

日経平均の値動きを解説する、ごく普通の市況ニュース記事を読んでいた。前場の値動き、上昇した業種、個別銘柄の名前がいくつか並ぶ。ここまでは、証券会社の情報サイトにもよくある構成だ。ただ、記事の終盤に差しかかると、様子が変わる。投資顧問サービス、AIを使った売買ツール、投資スクール――名前の違う複数のサービスが、記事の続きであるかのように次々と紹介されていた。しかも、その脇には「運営責任者」という肩書きを添えた個人名まで載っている。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れと表示のルールで調べた。

なぜ「市況ニュース」が入口になるのか

相場解説そのものには、断定的な文句も、怪しい勧誘の匂いもない。むしろ淡々とした事実の記述に見える。だから読者の警戒心は働きにくい。だが、その普通さこそが、この型の土台になっていると私は見ている。

出口は一つではなく、複数

これまで調べてきたランキング送客型と、この型が違うのは、間に比較ページを一枚挟まない点だ。記事本文の末尾で、直接いくつもの有料サービス名が並び、そのまま申込・登録の入口へつながっている。読者からすれば、一つの記事を読み終えただけのつもりが、複数のサービスの勧誘を同時に受けたことになる。

「運営責任者」という信頼の演出

サービス紹介に添えられた個人名は、それ自体が何かを保証するものではない。私が20年見てきた現場では、肩書きや名前が本物らしく見えるかどうかより、それが第三者に確認できる形で示されているかどうかのほうが重要だった。名前が書いてあるから安心、と早合点するのは、少し危うい。

この型の核 核は、相場解説という記事の体裁そのものではない。広告であることを読者に気づかせないまま、話の主役が複数の有料サービスへ次々とすり替わる、その地続きの導線だ。ニュースを読んでいたはずが、気づけば何件もの勧誘を同時に受けていた――それがこの型の狙いだと私は見ている。

これは「記事」なのか、「広告」なのか

広告であることを隠して、一般消費者に事業者の表示だと気づかれないようにする表示は、2023年10月から景品表示法の規制対象になっている。「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」と消費者庁は明記している。その運用基準はこう説明する。「一般消費者に事業者の表示ではないと誤認される、又は誤認されるおそれがある表示を、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある不当な表示として規制するものである」(消費者庁)

同じ運用基準には、比較サイトについての注記もある。「複数の商品又は役務の価格情報や内容等を比較するアフィリエイトサイトにおいては、アフィリエイトサイト自体が一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっている限り、一般消費者が第三者の表示であると誤認することはない」(消費者庁)。裏を返せば、市況ニュースの体裁のまま、自分が広告・比較の表示であることを明瞭にしないで複数のサービスへ送る記事は、この免責には収まらない。では、その記事のどこかに、「広告」「PR」の表示はあっただろうか。

その乗り換え先は、登録された業者か

投資助言や金融商品の取引を行うには、本来、国の登録が必要になる。「登録を受けていない『無登録業者』は、投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず、登録を受けている業者と同等の態勢が整っていない可能性が高い」と金融庁は述べている金融庁は、金融商品取引を行うに当たってはまず相手方業者の登録を確認してほしいと呼びかけ、登録業者の検索窓口を案内している。複数のサービス名が並ぶ記事を読んだときこそ、その一つひとつを自分の手で照らし合わせてみてほしい。

  • 記事のどこかに「広告」「PR」など、事業者の表示であることの明記があるかを確かめる
  • 記事本文とリンク先で、案内されているサービス名が一致しているかを確かめる
  • 添えられた「運営責任者」の名前が、第三者に確認できる形で示されているかを確かめる
  • 気になったサービスが、金融庁の登録業者検索に載っているかを確かめる
迷ったとき用の一言 一つの記事に、複数のサービス名が並んでいたら、それだけで一歩下がっていい。「どれも気になるので、持ち帰って調べます」。それだけで、大半の勧誘はいったん止まる。

この記事のまとめ

  • 市況ニュースの体裁をした記事が、広告と示さないまま複数の有料サービスへ読者を送る型がある
  • 添えられた「運営責任者」の名前は、記事の信頼性を保証するものではない

広告かどうか、登録業者かどうか。うまい話の前に、まずそこを確かめてほしい。(黒)