少額銘柄を紹介するブログが、LINE登録から利益率数百%を掲げる別サービスへ読者を乗り換えさせる型を、打消し表示の規制で調べた
少額で買える個別銘柄を紹介する、無料のブログ記事をいくつか続けて読んでいたら、終盤の導線が判で押したように同じだった。「LINEに登録すると、この銘柄の続報を無料でお届けします」。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。
なぜ「銘柄紹介」が入口になるのか
再生可能エネルギーだ、半導体だと、そのときどきの話題の業種から、5万円以下で買える銘柄を2つ3つ挙げて解説する。ここまでは、証券会社の情報サイトにもよくある普通の記事に見える。だが読み進めると、記事の主役がいつのまにか変わっている。銘柄の話をしていたはずが、末尾では別の名前を持つ配信サービスへの登録が主題になっている。国民生活センターは2024年、SNSの広告や体験談をきっかけにメッセージアプリへ登録し、そこで別の金融商品・サービスへ勧誘される相談が急増していると公表した。私が見た型も、これと同じ構造をたどっている。
入口:無料の銘柄紹介、出口は別サービス
入口の記事自体には、料金の話も、怪しい断定も出てこない。むしろ「投資は自己責任で」という、まっとうな注意書きすら添えられていたりする。だから警戒心が働きにくい。ただ、LINE登録という一歩を踏んだ先で待っているのは、その記事とは別の名前のAI売買ツールだったり、有料の投資顧問サービスだったりする。銘柄紹介はあくまで、次の場所へ移らせるための呼び水にすぎない。
そこで見せられる「利益率」のケタ
乗り換えた先で提示される実績は、二桁の利回りではない。100%を超え、時には800%を超える利益率が、根拠となる元手も期間も明記されないまま並ぶ。国民生活センターは「確実にもうかる話はありません。」と繰り返し注意喚起している。数字の桁が大きくなるほど、私はむしろ足を止めたくなる。
数字でほどく――「利益率」は分母がなければ検証できない
「利益率300%」と聞くと大きく見えるが、これは分母を明かさない限り検証しようがない数字だ。元手が1万円なら、300%の含み益は3万円にすぎない。元手を10万円に増やしたところで、同じ相場・同じ期間に同じ300%が続く保証はどこにもない。増えたのはケタの見た目であって、再現できる仕組みではない。
ここで参考になるのが景品表示法の考え方だ。目立つ数字を大きく見せる一方で、その前提となる条件を消費者が気づけない形でしか示さないことを、消費者庁は「打消し表示」の問題と呼んでいる。消費者庁は、断定的な表現や目立つ数字で品質・取引条件を強調する表示について、一般消費者が認識できない条件が隠れていないかを問題にしている。実際のものより著しく有利だと誤認させる表示は、有利誤認表示として景品表示法上の問題になりうる。大きな利益率だけを見せて、元手や期間、成功例をどう選んでいるかという条件を伏せる表示は、まさにこの型に当てはまる。では、その利益率の分母は、いったいどこに書いてあるのか。
その乗り換え先は、登録された業者か
金融庁は「上場確実ですので、必ず儲かります! 元本も保証します!」といった断定的な勧誘文句を、こうした勧誘によく見られる典型例として挙げている。「利益率890%」のような数字も、言葉こそ違うが同じ断定の仲間だと私は見ている。加えて、投資助言や金融商品の取引を行うには本来国の登録が必要で、無登録の業者は投資者保護の態勢が整っていない可能性が高いと金融庁は注意を促している。乗り換え先の名前を、まず金融庁の登録業者一覧と照らしてみることをすすめたい。
- 銘柄紹介記事とLINE登録先で、話している主体の名前が同じかどうかを確かめる
- 見せられた利益率に、元手の金額と期間が明記されているかを確かめる
- 勧誘してきた相手が、金融庁の登録業者一覧に載っているかを確かめる
- 「確実」「必ず」という言葉が出た時点で、いったん資料を持ち帰る
この記事のまとめ
- 無料の銘柄紹介記事は、LINE登録を境に主役が別サービスへすり替わる型がある
- 見せられる利益率は、元手と期間が分からなければ検証できない数字にすぎない
登録の前に立ち止まり、名前と分母を確かめる。うまい話は、まず数字でほどく。(黒)