「あなたに合う副業」3問診断、結果はLINE登録が必須という型を、特定商取引法の表示義務で確かめた
診断に答えたら、結果を見るのにLINEの友だち追加が要る。最近、こういう入り口をよく見かける。質問はたいてい三つ程度で、「今、大事にしていることは?」「収入が増えたら何に使うか」というような、当たり障りのない内容だ。今回はこの「診断」という入り口と、その先で渡される費用の説明のされ方を、仕組みと法律の両方から確かめてみた。
三問の診断は、何を測っているのか
設問はごく短い。性格タイプを尋ねるもの、大事にしている価値観を尋ねるもの、そして「まとまった金額が入ったら何に使うか」を尋ねるもの。この三つ目が入っている型をよく見る。答えの内容によらず、たどり着く結論はだいたい同じ——というものが多いように思う。診断そのものが何かを測っているというより、回答者に「自分は副収入が欲しい側の人間だ」といったん自覚させるための質問、という見方もできる。
結果の先にある「LINE登録」という壁
「友だち追加後、数秒でわかる」といった表示で、結果を見る前にLINE登録を求める設計になっているものがある。ここで一手間を挟む理由は、私が見るに二つある。ひとつは、SNSの投稿という不特定多数向けの場から、個別に連絡が取れる経路へ移すこと。もうひとつは、広告の中では書けない具体的な勧誘に、ここから先で踏み込めるようにすることだ。診断の結果そのものより、この「経路の切り替え」に意味があると考えたほうがいい。
「費用は商材ごとに異なる」という一文が意味するもの
通信販売の広告には、対価や支払時期・支払方法を表示する義務があると、法律で定められている。特定商取引に関する法律 第11条(e-Gov法令検索)には、「販売業者又は役務提供事業者は…主務省令で定めるところにより、当該広告に…次の事項を表示しなければならない」とあり、価格や支払時期はその表示事項に含まれる。価格などの表示を省略できる例外もあるが、無条件ではない。消費者庁の通信販売広告Q&Aによれば、その条件は「消費者の請求によって、書面又は電子メール等により遅滞なく、販売価格等を提供することを広告中に記載すること」だという。
つまり、「費用は紹介される副業ごとに異なります」とだけ書いて終わりにするのは、この条件をそのまま満たしているとは言い切れない。金額が「異なる」という事実を述べているだけで、いくら払えばいくら分かるのか、その確かめ方までは示されていないからだ。法律が求める形を、なぞっているだけになっていないか。ここは私も、実物の表記を見るたびに引っかかる部分である。
登録した先で待っているのは、断定の言葉
消費者庁は2025年6月、SNS広告のアンケート形式副業をきっかけに、LINE等での勧誘を経て高額なサポートプラン契約に至った事例について、注意喚起を出している。消費者庁の注意喚起では、「初心者でも簡単に稼ぐことができる」といった言い回しが「消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(断定的判断の提供)」に当たるおそれがあると指摘されている。同じような言葉づかいは、私がこれまで見てきた勧誘のパターンとも重なる。「誰でも」「簡単に」が出た時点で、いったん立ち止まっていいと思う。
- 診断の質問内容が、答えによらず同じ結論に誘導されていないか確かめる
- 結果を見る条件に「LINE登録」など個別連絡先の交換が入っていないか確認する
- 費用について「異なる」としか書かれていない場合、金額を尋ねてから先へ進む
- 「誰でも」「簡単に」と断定する言葉が出た時点で、いったん持ち帰って調べる
この記事のまとめ
- 簡単な診断→LINE登録必須という入口は、個別勧誘へ経路を切り替えるための仕掛けとして使われやすい
- 「費用は商材ごとに異なる」という表記だけでは、特定商取引法が求める開示の条件を満たしているとは言い切れない
診断の結果そのものより、その先で何を、いくらで売ろうとしているのかを先に確かめる。結局はそれに尽きる。