第302号黒岩検閲済 2026年7月6日 発行(不定期刊/前号:7月5日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|緩い海外ライセンス×コピートレードの型

「プロの取引を真似するだけ」と誘うコピートレード勧誘が、緩い海外ライセンスを盾に閉鎖チャットで含み益を見せ、出金の段で拒む型を、無登録営業の違法性で調べた

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黒岩警戒度

「プロの投資家の取引を、そのままコピーするだけ。知識も経験もいりません」。SNSのダイレクトメッセージから始まる投資の誘いに、そんな触れ込みのコピートレードサービスを見かけた。運営元は海外の金融当局から認可を受けているとされ、勧誘者はその認可番号らしき数字を添えて信頼性を強調してくる。招かれた先はクローズドなチャットで、そこに集う「先輩」たちの含み益の報告が絶えず流れている。今号で扱うのは特定のサービスでも記事でもない。海外の認可を看板に掲げるコピートレード勧誘——この型を、登録制度とお金の流れの両面から調べた。

「海外で認可されている」は、思っているより幅がある話

海外の金融当局から認可を受けている、という説明は、それだけを聞くと安心材料に見える。だが認可の中身は、国や地域によって重さがまったく違う。審査が厳格な国のライセンスもあれば、認可のハードルが低いとされる国・地域も存在する、というのが実務の感覚としてある。問題は、その看板を見せられた側には、認可の重さを自分で測る手段がほとんどないことだ。そして海外の認可があるかどうかとは別に、日本の居住者を相手に取引の勧誘を行うなら、もう一つ確かめるべき手続きがある。

「日本の登録」は、海外の認可とは別の話

金融庁ははっきりとこう述べている。「日本で登録を受けずに金融商品取引業や暗号資産交換業を行うことは違法です」(金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」)。海外でどれだけ立派な認可を受けていても、日本の居住者に向けて金融商品取引の勧誘を行うなら、日本の登録が別途必要になる。金融庁はさらに、「取引を行う前に取引の相手が登録を受けているか確認して、無登録の海外所在業者との取引は行わないよう、注意してください」とも呼びかけている(金融庁「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」)。海外の認可の重さを自分で測れなくても、日本の登録の有無なら確認できる。私が最初に見るのは、いつもここだ。

「無登録業者の公表」に載っていない=安全、ではない 金融庁は無登録で営業する業者の名称等を公表しているが、「掲載されている無登録業者は、警告書の発出を行った時点で無登録営業を行っていることが確認できた者に限られています」と注記している(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」)。つまりこの一覧は「これまでに見つかった分」であって、載っていない業者が登録済みだという意味ではない。確かめるべきは公表リストの有無ではなく、登録そのものの有無だ。

「コピーするだけ」が、閉鎖チャットへ運ぶ理由

コピートレードという仕組み自体は、他人の取引を自動で真似るという単純な話だ。ただ、勧誘の型として見たとき、私が気になるのはその先の動線である。金融庁はSNS投資勧誘の手口として、「投資関連の投稿をフォローするとDMが届き、最終的にクローズドチャットへ誘導される」と説明している(金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」)。警察庁も同様に、「SNSのダイレクトメッセージで接触後、被害者をLINEなどの他のSNSに誘導し」金銭等を振り込ませる手口を説明している(警察庁「SNS型投資詐欺」)。「知識はいらない」という気安さで人を集め、閉じた場所へ運ぶ。そこまでが、コピートレードという言葉の実際の役割になっている場合がある。

含み益を見せたあとに、出金の壁が来る

閉鎖チャットの中では、含み益の画面が繰り返し共有される。だが画面の数字は、こちらが検証できるものではない。数万円程度の少額なら出金できても、まとまった金額を求めた途端に応じてもらえなくなる——これは海外の無登録業者にまつわる相談として、以前から指摘されてきた構図だ。出金の可否は、預けた後にしか分からない。少額の出金がすんなり通ったからといって、まとまった金額の出金も同じようにいく保証にはならない。

数字でほどく——統計に見る規模

警察庁の暫定値によれば、令和7年上半期のSNS型投資・ロマンス詐欺は認知件数2,884件・被害額351.2億円で、依然として高水準が続いている。国民生活センターも、SNSをきっかけに著名人を名乗る、あるいはつながりがあるとして勧誘される金融商品・サービスのトラブルについて、「いったん振込してしまうと、被害回復が困難です」と注意を呼びかけている(国民生活センター発表)。認可の看板とコピートレードという言葉は、この統計の入口の一つになりうると私は見ている。

勧誘に出会ったときの確認ポイント

  • 海外の認可番号らしき数字を見せられたら、それが何を審査したものかまでは分からない、と割り切る
  • 日本の居住者への勧誘である以上、まず日本の登録の有無を確かめる(金融庁の無登録業者の公表は「見つかった分」にすぎないと知っておく)
  • 閉鎖チャットで見せられる含み益の画面は、自分で検証できない数字だと考える
  • 少額の出金が通ったことを、まとまった金額の出金の保証にしない
  • 個別のLINEやクローズドチャットへ招かれたら、その場で決めず持ち帰る
迷ったとき用の一言 「この認可は、日本の居住者への勧誘についても有効なものですか」。淀みなく答えられる相手とだけ、次の話をすればいい。すでに送金してしまった方は、まず取引時の画面ややり取りの記録を残したうえで(警視庁「インターネット利用詐欺」)、消費生活センターや警察に相談してほしい。消費者庁も「投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺です」と注意を促している(消費者庁の注意喚起)。迷えば消費者ホットライン188へ。

この記事のまとめ

  • 海外の認可があっても、日本の居住者への勧誘には別途、日本の登録が必要になる
  • 金融庁の無登録業者の公表は「見つかった分」であり、載っていないことは登録済みの証明にならない

確かめられるのは、日本の登録の有無と、出金が実際に通るかどうかだけだ。認可の看板と含み益の画面は、その代わりにはならない。