第291号黒岩検閲済 2026年7月4日 発行(不定期刊/前号:7月4日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|段階配信プログラム×運営情報不透明の型

3日間に分けて配信される無料の副業プログラムが、運営情報を曖昧にしたまま高額プランへ進ませる型を、確認ポイントで調べた

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黒岩警戒度

「参加費0円」「登録は1分」「スマホで完結」――こう謳う副業プログラムの広告を、SNSで見かけたことがある人は少なくないはずだ。今号で扱うのは特定の事業者ではない。無料の入り口でメールアドレスと電話番号を先に受け取り、3日間かけて動画を配信しながら期待感を積み上げ、最後に30万円を超えるような高額プランへ進ませる、という組み立ての型である。

なぜ「3日間」という長さに分けて配信するのか

1本の動画やその場限りのセミナーで完結させず、あえて日をまたいで配信する。1日目で「これからの働き方」という将来像を示し、2日目で「実は自分にもできそうだ」という手応えを積み増し、3日目でようやく具体的な話に触れる――こうした段階を踏む設計そのものは、珍しいものではない。ただ、日をまたぐほど、視聴者は「ここまで見たのだから」という気持ちを積み重ねやすくなる。で、その利益の出どころは?――3日間という長さが誰の得になっているかを考えると、時間をかけて期待を育てているのは、その先で何かを売る側だと私は見ている。

個人情報を「メール→電話番号」の順に取得するのはなぜか

無料プログラムの入り口ではまずメールアドレスの登録を求め、動画配信の途中か終わりで電話番号の登録を求める、という二段階の設計になっていることがある。メールだけなら一斉配信で済むが、電話番号まで得られれば、こちらから直接連絡を取れる。教材や商品の中身を明かす前に、まず連絡手段を確保しておく――高額プランの案内が個別の電話や面談でしか行われない型では、この二段階の情報取得が、その後の勧誘の土台になっている。

で、その利益の出どころは?

消費者庁は令和7年6月26日、簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者について注意喚起している。そこでは「当社が案内する副業はアフィリエイトである。この副業をサポートする。アフィリエイトは、初心者でも簡単に稼ぐことができる」といった勧誘文句とともに、「消費者庁が行った調査では、副業に係る報酬において、サポートプランの契約金額を上回る報酬を得た消費者は確認できませんでした」と明記されている。払った額を上回る報酬を得た人が確認できない――この一文は、この型全体の収支をそのまま言い当てていると私は思う。

加えて、将来の収益について断定的な言い方で勧誘すること自体、消費者契約法が問題にしている行為である。同法第4条第1項第2号は、将来における変動が不確実な事項について「断定的判断を提供すること」によって消費者が誤認し契約した場合、その契約を取り消せると定める(消費者契約法・e-Gov法令検索)。「必ず稼げる」「今のプランなら○万円」といった言い切りは、無料の動画の中であっても、この規定が関わってくる可能性がある。

数字で見る、SNS発の副業・もうけ話トラブル

消費者庁の令和7年版消費者白書によれば、SNSが関係する消費生活相談は2022年度6万1,155件から2024年度8万6,396件へ増え続けている。同白書は参考事例として、令和7年2月6日付の「『タスク副業』で報酬が支払われるとうたい、実際には高額を送金させる事業者に関する注意喚起」も挙げている。市況の投資勧誘だけでなく、副業・タスク系の勧誘も、この増加傾向と地続きにあると私は見ている。

数字でほどく SNSが関係する消費生活相談は2022年度6万1,155件→2024年度8万6,396件(消費者庁・令和7年版消費者白書)。副業のサポートプラン契約金額を上回る報酬を得た消費者は確認できなかった、と消費者庁は令和7年6月26日に公表している。

「名前を変えて同じことをする」型――かつての公表事例

今回参照した副業プログラムをめぐっては、同じ手法が複数の商材名で展開されているという指摘もある。名前を変えて似た勧誘を繰り返す、という構図そのものは今に始まったことではない。かつて消費者庁は令和2年3月18日、3つの異なる社名でそれぞれ別の名称のビジネスと称し、簡単な作業で稼げるとして1万円程度で参加させたうえ、別の1社が電話で高額な情報商材を売り込んでいた事例を公表している。社名やプログラム名が複数あること自体は違法の証明にはならない。ただ、同じ勧誘の型が名前を変えて繰り返されていないか、契約前に検索して確かめる価値はある。

名前の複数展開が意味すること 1つの手法に対して社名やプログラム名の逃げ場が複数あるということは、苦情や評判が1つの名前に集中しにくい、ということでもある。名前を変える理由が正当な事業拡大なのか、追跡を避けるためなのかは、外からは見分けがつきにくい。

確認しておきたい3つのこと

3日間の動画を見終える前に、立ち止まって確かめておきたいことを3つに絞る。

確認1:3日間のどこかで、運営会社の氏名・住所・電話番号が示されたか

動画を見終えるまで運営情報に一度も触れないまま個別の連絡先だけを聞かれるなら、それ自体が引っかかる点だ。示されているなら、その電話番号に実際にかけて応答があるかも確かめておきたい。

確認2:「具体的に何をするか」が、3日間のどこかで一度でも明言されたか

「AIを使って稼ぐ」という言葉だけが繰り返され、作業の中身や必要なスキル、想定される収益の根拠が最後まで示されないなら、それは中身がまだ決まっていないからではなく、先に契約させることが目的だからだ、と私は見ている。

確認3:同じ講師・同じ運営が、別のプログラム名で同様の勧誘をしていないか

講師名や運営会社名で検索し、似た構成の別プログラムが出てこないか確かめてほしい。出てきたなら、それは一つの参考情報になる。

迷ったとき用の一言 「運営会社の住所と電話番号を教えてください」。3日間の動画がどれだけ丁寧でも、この一問に答えられない・答えない相手とは、契約の話を進めなくていい。

この記事のまとめ

  • 3日間かけて配信する無料プログラムには、期待感を積み上げてから高額プランへ進ませる型がある
  • SNSが関係する消費生活相談は2022年度6万1,155件から2024年度8万6,396件に増えている(消費者庁)

確かめるのは動画の内容の分かりやすさではなく、運営会社の氏名・住所・電話番号という表示義務の3点だ。