第255号黒岩検閲済 2026年6月29日 発行(不定期刊/前号:6月29日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|比較ランキングの型

「悪質はここ、本物はここ」と競艇予想サイトを格付けする“比較・検証ランキング”の型を、お金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「あの予想サイトは悪質で当たらない」「比較した結果、本物はここでした」――競艇(ボートレース)の予想サイトを格付けして見せる“比較・検証ランキング”が、検索でもSNSでもよく出てくる。各競艇場の出目の傾向や攻略のコツを無料で大量に発信し、信頼を集めたうえで、最後に「ここなら信頼できる」と特定のサイトへ案内する。特定の比較サイトや予想サイトは名指ししない。私が調べたいのは、この“第三者が中立に評価しているように見える推薦”の型を、語られる宣伝ではなくお金の流れの側から見るとどうなるか、という一点だ。

なぜ「無料の攻略情報」を大量に出してから薦めるのか

流れはだいたい決まっている。まず各競艇場の特徴、1コースの勝率、出目の傾向といった“攻略情報”を惜しみなく無料で出す。読む側は「ここまで詳しいなら信頼できる」と感じ、運営者を競艇に詳しい中立な第三者だと受け取る。そのうえで「悪質なサイトはこれ」「自分が使って本物だったのはこれ」という比較・ランキングが置かれ、最後に“おすすめ”として特定の予想サイトへのリンクに着地する。情報が丁寧で量も多いほど、その先の推薦まで素直に信じてしまう。

ここで一度立ち止まりたい。無料で大量の記事を書くには手間がかかる。その手間をかけてまで運営する側は、どこで費用を回収しているのか。無料コンテンツそのものはお金にならない。回収の場所は、たいてい「おすすめ」と書かれたリンクの先にある。読者がそのリンクから登録・課金すると、紹介した側に報酬が入る仕組み(アフィリエイト)になっていることがある。つまり「無料の攻略情報」は集客の入口で、収益は“どのサイトを薦めるか”の側に生まれている可能性がある。

で、その「おすすめ」の出どころは?

問題は、報酬が発生すること自体ではない。広告であることが読者に伝わっているかどうかだ。中立な第三者の感想だと思って読んだ推薦が、実は紹介料の発生する広告だった――この“広告だと分からない推薦”は、いまは法律で規制されている。消費者庁は、令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となるとし、規制されるのは「広告であって、一般消費者が広告であることを分からないもの」だと説明している(消費者庁・2023年)。広告・宣伝だと分からないと、消費者は「企業ではない第三者の感想だ」と誤って受け取り、合理的に選べなくなる、というのがその理由だ。

さらに、ランキングが掲げる「的中率○%」「回収率○%」「本物」といった評価も、根拠をこちらから確かめられないことが多い。消費者庁は、実際よりも著しく優良であると示す表示を優良誤認として景品表示法で規制している。順位や数字が独立した検証ではなく、薦める側の都合で並べられていないか。「中立な比較」という見た目と、お金の流れの向きが、必ずしも一致していないことを、まず頭に入れておきたい。

「中立な比較」に見えて推薦先にお金が流れているとき 無料の情報が丁寧で、最後に「本物はここ」と特定サイトへ案内している。その推薦が広告だと分かる表示(PR・広告・提携など)がどこにもない――この形になっていたら、純粋な第三者評価ではなく、登録や課金で運営者に報酬が入る導線ではないか、と一度疑っておきたい。読み手に伝わらない広告は、いまは景品表示法の規制対象だ。

そもそも「勝てる予想サイトを選べる」という前提を疑う

ランキングは「どの予想サイトなら勝てるか」を競わせる。だが、その手前に大きな前提がある。競艇はそもそも、買った人全体で見ると賭け金が目減りする仕組みだ。BOATRACE公式は払戻金を「売上金の100分の75を的中者に按分」したものと説明しており、これはモーターボート競走法第15条に基づく構造だ。1万円分買っても全体では平均約7,500円しか戻らない(控除率25%)。誰がどの予想で買おうと、この目減りが先に効く。

その目減りを超えて勝ち続けられる予想が本当にあるなら、人に薦めたり売ったりせず、自分で買い続けるほうが合理的だ。「確実に儲かる予想配信」が法的にどう扱われたかも参考になる。国民生活センターの暮らしの判例では、「平均月利30%達成している予想配信サービス」とうたって高額契約を結ばせた勝敗予想情報の配信が、賭博に密接に関連する行為として公序良俗に反し違法と判断された事例が解説されている(国民生活センター・2023年)。金融庁も、確実と誤解させるようなことを説明して勧誘することは法令で禁止されていると注意している(金融庁・2024年)。「公的に裏づけられた必勝法」は確認できない――まずこの前提に立つと、ランキングの順位そのものの意味が薄くなる。

「無料」から「有料会員・買い目配信」へ渡る導線

ランキングで信頼を得た読者は、薦められたサイトに登録する。多くはそこで「無料予想」を受け取り、たまたま当たると「この調子なら有料の本命情報を」と高額プランへ案内される。無料で当てさせて信用を作り、課金へ橋渡しする流れだ。この種のトラブルは新しくない。国民生活センターは、競馬等の必ず儲かると称するツールや情報の購入代金がトラブルになっており、数年前から相談が寄せられているとしている。情報商材全般の相談も、2013年度から2017年度で約7倍に増えたと報告されている(国民生活センター・2018年)。

競艇に限った話でもない。消費者庁は、投資や副業といった「もうけ話」をきっかけにした消費者トラブルが年齢を問わず依然として続いているとし、被害回復をうたう二次被害にも注意するよう促している(消費者庁・2024年)。入口が「無料」「比較」「中立」であっても、出口で高額の課金に着地していないかを、最初に確かめておきたい。

登録・課金の前に、自分で確かめておきたいこと

気合いで見抜こうとすると疲れる。私は、いくつかの「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、大半は防げる。そのうえで、

  • その比較・ランキングに、推薦が広告である旨(PR・広告・提携・アフィリエイト等)の表示があるか
  • 「的中率」「回収率」「本物」といった評価に、こちらで裏の取れる根拠が添えられているか
  • 無料の入口の先で、最終的に高額の有料会員・買い目配信へ案内されていないか
  • 競艇は全体で約25%が先に引かれる構造だ、という前提を踏まえて順位を読んでいるか
迷ったとき用の一言 「本当に勝てる予想なら、ランキングで人に薦めるより自分で買うはず」。中立を装った推薦ほど、誰のお金がどこへ流れているかを一度たどってみたい。急かされても、広告表示の有無と推薦先の料金を確かめる時間は、必ず取っていい。

この記事のまとめ

  • 競艇予想サイトの“比較・検証ランキング”は、無料の攻略情報で信頼を集め、推薦先への登録・課金で運営者に報酬が入る導線になっていることがある
  • 確かめるのは順位の華やかさではなく、推薦が広告と分かる表示があるか・評価の根拠・無料の先の高額課金の有無

競艇は買った人全体で見れば賭け金が先に約25%目減りする仕組みで、「公的に裏づけられた必勝法」は確認できない。だからこそ「登録する前」「課金する前」が勝負になる。無料予想で当てて高額プランを勧められている、解約できない――そんなときは、一人で抱えず、お住まいの地域の消費生活センターへ。消費者庁は全国共通の番号として消費者ホットライン188(いやや!)を案内している。私には個別の解決はできない。判断は、正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。