第220号黒岩検閲済 2026年6月24日 発行(不定期刊/前号:6月23日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|副業勧誘の型

「ほかは詐欺」と斬る副業の“検証ブログ・相談所”の型を、お金の流れで調べた

公開 最終更新 読了 約6分
黒岩警戒度

「あの副業は詐欺だ」と、ほかの案件を次々に斬ってみせる検証ブログや、無料の相談所がある。歯切れがよく、正直そうに見える。だが、最後まで読むと、たいてい同じ場所に着く。「では、こちらをどうぞ」と、その人自身が勧める副業か、LINE・メルマガの登録ボタンだ。
特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べた。

なぜ「ほかは詐欺」と斬る入口は信用されるのか

人は、何かを強く否定する相手を「正直な人だ」と感じやすい。ほめる人より、けなす人のほうが裏表がないように見えるからだ。この型は、その心理を入口に使う。まず世間の怪しい案件を強い言葉で斬り、「この人は本当のことを言う」と思わせる。警戒心がゆるんだころに、自分の勧める一本を差し出す。順番がよくできている。

ただ、ひとつ引っかかる。他人の案件には「会社名も代表者も書いていないから怪しい」と厳しいのに、自分が勧める一本には同じ物差しを当てないことがある。そういう食い違いが、この型にはよく出る。で、その勧めている一本の、利益の出どころは?

数字でほどく——この入口の先で動く金

入口そのものは無料か、数千円の教材から始まることが多い。安いから、つい申し込む。問題はその先だ。国民生活センターによれば、「簡単なタスクで稼げる」とうたう副業トラブルの相談は、2020年末の1,341件から2023年末の3,694件へと増えている。3年で2倍を超える。

金額も上がっている。同じ調査では、平均の契約購入金額が2020年末の約28万円から、2024年には約106万円まで上がったとされる。入口は安くても、出口では大きな金額が動きやすい。最初の数千円は、その入口を開ける鍵にすぎない、という見方ができる。

きっかけの多くはSNSだ。同じ調査では、SNSが相談のきっかけになった割合が2020年末の23%から70%超へ上がっている。消費者庁も「儲け話をすすめられたら、まずは疑いましょう」と呼びかけている。中立を装う検証ブログも、たどっていくと同じSNS・LINEへの入口に合流していることがある。では、その先で求められる100万円前後は、誰の金から、何の利益として返ってくるのか。

この型に共通する狙い ほかの案件を強く否定するのも、無料を入口にするのも、ねらいは一つ——「この人は信用できる」と思わせて、自分の勧める先まで連れていくことだと私は見ている。否定が激しいほど、その先の一本が際立つ。激しさそのものが演出になっている場合がある。

誘導先を見分けるための確認点

斬っている言葉の鋭さではなく、連れていかれる先を見る。確認するのは難しいことではない。他人の案件に当てていた物差しを、その人自身の「おすすめ」にも同じだけ当ててみる、それだけでいい。

確認点1:誘導先に「特定商取引法に基づく表記」があるか

ネットで商品やサービスを売る事業者は、事業者の氏名(名称)、住所、電話番号などを表示しなければならないと定められている(特定商取引法 第11条ほか)。勧められた副業のページに、会社名・住所・連絡先が見当たらない、あるいは曖昧なら、それ自体が立ち止まる理由になる。他案件には厳しかったその基準を、誘導先にも当ててみてほしい。

確認点2:称賛のレビューが「1サイト1記事」で増えていないか

その一本をほめる記事を検索すると、よく似た称賛が複数のサイトに出てくることがある。ただ、どれもその案件のことしか書いていない——そういう一記事だけのサイトが束で見つかるなら、自作自演を疑う材料になる。2023年10月1日からは、広告であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」は景品表示法違反とされた。広告である事実を隠した称賛は、不当表示にあたりうる。ほめ言葉の数ではなく、それが広告かどうかを見たい。

確認点3:結論が「登録ボタン一つ」になっていないか

検証や相談という体裁でも、行き着く先が登録ボタン一つなら、入口の役割を果たしているだけかもしれない。登録した先で、限定や急かしの言葉が出てきたら、いったん引いていい。健全な情報なら、こちらが調べる時間を取ることを嫌がったりはしないはずだ。

迷ったとき用の一言 他人の案件を測った物差しを、その人自身が勧める一本にも当ててみる。同じ基準で曇るなら、急いで乗る理由はない。いい話なら、こちらが調べる時間を取ったくらいで消えはしない。
  • 誘導先のページに、会社名・住所・連絡先(特定商取引法に基づく表記)があるか
  • その案件をほめる記事が「1サイト1記事」で束になっていないか
  • 「無料」「簡単」の入口の先で、いくら払うことになるのかが示されているか
  • 結論が、検証ではなく「登録・申し込み」になっていないか

もし申し込んでしまったとき

すでに教材を買った、登録して支払ったという方へ。気持ちは分かるが、まず一つだけ。お金を取り戻すこと以上に、これ以上払わないことが先だ。追加の費用や「上位プラン」を求められたら、そこで止めてほしい。

うその説明で誤認して結ばされた契約は、消費者契約法で取り消せる場合がある。ネット通販にはクーリング・オフが原則ないが、返品の条件や契約の取消しで対応できることもある。一人で抱えず、消費者ホットライン188で最寄りの窓口に相談してほしい。私には個別の解決はできない。順序はこうなる。

  • 追加の支払いを止める
  • やり取り・広告・入金の記録を残す
  • 支払った決済元(カード会社など)に連絡する
  • 消費者ホットライン188・警察に相談する

この記事のまとめ

  • 「ほかは詐欺」と斬る入口には、否定で信用させて自分の勧める一本へ連れていく型がある
  • 他案件に当てた物差し(特定商取引法の表記・利益の出どころ)を、誘導先にも同じだけ当てる

否定の激しさは、正しさの証明ではない。で、その人が勧める一本の、利益の出どころは? そこが説明されないなら、急がず立ち止まってほしい。