第131号黒岩検閲済 2026年6月15日 発行(不定期刊/前号:6月15日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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「LINE登録だけで稼げる副業」、その先で何を売られるのか——お金の出どころを追う

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黒岩警戒度

「スマホだけで」「1日数分の作業で」「簡単に稼げる」。SNSの広告でそう書かれていて、ボタンを押すと、たいていLINEの登録へ進む。仕事の中身は登録するまで分からない。今号で洗ったのは、その先で実際に何が起きるのか、という一点である。結論から言えば、登録した先で読者の方が「買わされる」側に回る型が、繰り返し記録されている。

登録するまで「何をするのか」が分からない、という入口

まともな仕事なら、何をしていくら受け取るのかが先に示されるはずだ。ところがこの型では、作業内容も報酬の根拠も伏せたまま、まず連絡先(LINE)を取らせる。順番が逆である。つまり、稼ぎ方を売るのではなく、こちらを連絡可能な見込み客として確保することが、最初の目的になっている。

登録すると、次に出てくるのが「ガイドブック」「マニュアル」「教材」といった、数千円〜1万円台の入口商品だ。金額が小さいので、つい払ってしまう。だが、ここはまだ入口にすぎない。

本体は「マニュアル」ではなく「高額サポート契約」のほう

入口の教材を買うと、今度は電話などで「サポートプラン」「上位プラン」の案内が来る。消費者庁は、こうした流れを具体的に注意喚起している。「1日の作業時間10分程度の簡単な作業で稼げる」というLINEのメッセージから、まず副業のガイドブックを購入させ、その後に電話勧誘で高額なサポートプランを契約させる事業者があった、という内容だ(消費者庁「1日の作業時間が10分程度の簡単な作業で稼ぐことができるなどと勧誘し副業のガイドブックを消費者に購入させ、その後、電話勧誘により高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」)。

より新しい注意喚起でも、同じ骨格が確認できる。SNS広告からアフィリエイト副業のサポートへ誘い、「このプランなら、月50万が当たり前になる」「儲けが出なければ返金保証がある」などと勧誘して高額なサポートプランを契約させたが報酬は得られなかった、という相談が各地の消費生活センターに数多く寄せられた、とされる(消費者庁「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」令和7年6月26日)。入口の安い教材は、高い本体へ進ませるための呼び水だった、という形になる。

数字でほどく——「平均いくら」を見ておく

規模感を、印象ではなく数字で押さえておきたい。国民生活センターは、スキマ時間に気軽に稼げるとうたう副業のトラブル相談について、1件あたりの平均契約購入金額が約106万円(2024年7月31日時点の集計)に上ると示している。あわせて、相談のきっかけがSNSである割合は、2020年末の23.0%から70.1%へと増えているという(国民生活センター「スキマ時間に気軽に稼げる等とうたう副業トラブル!」2024年9月4日公表)。

つまり、「簡単に稼げる」という入口でありながら、最終的に動く金額は平均で約106万円ということだ。1日数分の作業で取り戻せる額ではない。そして、SNSという入口が年々主流になっている。ここまでくると、入口の手軽さと出口の金額が、まるで噛み合っていない。

借金をさせてでも払わせる、という段階 さらに進んだ型もある。消費者庁は、副業サポート事業者が遠隔操作アプリでスマホの画面を共有させながら、消費者金融から高額な借入れをさせて支払わせた事例を公表している(遠隔操作アプリを用いて高額な借入れをさせる副業サポート事業者に関する注意喚起)。手元にお金がなくても「払えます」と言われたら、それは赤信号だと見ている。

では、その「稼げる」の出どころはどこか

立ち止まって、一度たどってみてほしい。この型で確実に発生しているお金は、教材代とサポート契約料——つまりこちらが事業者へ払う側のお金である。一方、肝心の「読者が稼げる」ほうの根拠は、登録前には示されず、契約後も保証されない。

「必ず儲かる」「誰でも稼げる」「返金保証がある」といった言い切りも、それ自体が手がかりになる。特定商取引法は、通信販売の広告について、著しく事実と相違する表示や、実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示を禁じている(消費者庁特定商取引法ガイド「通信販売」、誇大広告等の禁止)。断言する書き方こそ、注意して読むべき箇所だ。で、その利益の出どころは?——そこが説明されない副業の話には、いったん近づかないでおきたい。

登録の前に、確かめておきたいこと

気合いで見抜こうとすると疲れる。私はいくつかを「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。

  • 登録の前に「何をする仕事か」「報酬はいくらで、いつ・誰から支払われるか」が示されているかを見る。伏せられていたら、そこで止める
  • 「マニュアル」「教材」など安い入口を買った直後の、電話やLINEでの上位プラン案内を警戒する。本体はそちらにある
  • 「必ず」「誰でも」「返金保証」という言い切りは、根拠が示されているかを別にして読む
  • 手元にお金がないのに「借りれば払える」と言われたら、その時点で離れる
  • その場で契約しない。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにする
もう払ってしまった、という方へ 順序はこうなる。①これ以上、追加で払わない ②広告・LINE・契約書面・振込記録などのやり取りを残す ③クレジットや決済の元に連絡する ④消費生活センター(消費者ホットライン「188」)や警察に相談する。私には個別の解決はできない。判断は正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。

この記事のまとめ

  • 「LINE登録で簡単に稼げる」型は、登録の先で教材を買わせ、その後の電話勧誘で高額なサポート契約へ進ませる流れになりやすい
  • 入口は手軽でも、副業トラブルの平均契約購入金額は約106万円(国民生活センター)。確実に動くのは「こちらが払う側」のお金である

対策は結局、登録前に「何をする・いくら・誰が払う」を確かめる、その場で契約しない、迷ったら正規窓口へ。この3つに尽きる。