「ポイ活で月10万・100万ポイント」という副業、ポイ活と投資を分けて考えるとどうなるか
「ポイ活投資」という呼び方の案内を、いくつか見た。ポイ活で月に10万。あるいは、100万ポイントが貯まる。語感は柔らかい。買い物のついでに、というニュアンスがあるから、身構えにくい。ただ、私は最初の一語で引っかかった。ポイ活と投資は、本来まったく別の話である。ひとつの言葉にまとめた時点で、何かがぼやけている。今号は、その「ぼやけ」を数字と仕組みでほどいてみたい。
そもそも「ポイ活」と「投資」は、お金の流れが逆である
言葉を分けるところから始めたい。ポイ活は、買い物やサービスの支払いに付いてくる「おまけ」を集める行為だ。お金が出ていく場面に、いくらか戻ってくる。一方、投資は手元の元手を差し出して、それを増やそうとする行為である。お金を先に出す。片方は支出のおまけ、もう片方は元手の運用。向きが逆だ。
つまり「ポイ活投資」とひとつにくくられると、おまけのつもりで近づいた人が、いつのまにか元手を出す話に乗せられる。入口の安心感と、出口で求められるものが、すり替わっている。私はこの型を、入口だけ柔らかくしてある話として見ている。似た構造は、無料説明会から数十万円の本講座へつなぐ高額スクールの勧誘でも見た。入口の温度と本体の金額が、釣り合っていない。
「月10万・100万ポイント」を、割り算でほどく
数字は、文字で見ると大きく感じるが、割り算にかけると姿が変わる。仮に1ポイント=1円相当として考えてみてほしい。100万ポイントは、ざっと100万円分だ。
では、買い物では届かないその差は、どこから来るのか。たいていは「広告案件に登録する」「友だちを紹介する」「有料のプランを買う」といった、買い物以外の動きが裏にある。そこで初めて、おまけ集めだったはずの話に、元手やノルマがぶら下がってくる。で、その差額の出どころは?――ここが説明されないまま数字だけが大きいなら、いったん近づかないでおきたい。「必ず儲かる」「誰でも簡単に高収入」といった具体性のないうたい文句には、国民生活センターも繰り返し注意を促している。
「何をするのか」が書いていない——利益の出どころが空欄
こうした案内を読むときに、私がまず探すのは「具体的に何をするのか」の一文だ。ポイントが貯まる、収入になる、とは書いてある。だが、その作業の中身、利益がどこから出るのかが書かれていないことが、ままある。空欄のまま、登録だけが先に求められる。
消費者庁は、簡単な副業をうたって高額なサポートプランを契約させる事業者について、「『初心者でも簡単に稼ぐことができる』『このプランなら、月50万が当たり前になる』などと勧誘し、高額なサポートプランの契約をしたが、報酬が得られなかったなどの相談が数多く寄せられている」と注意喚起している。入口は無料や数分の作業に見せて、後から高額のプランへ——という運びが、相談の現場で繰り返し確認されているということだ。SNS経由の「もうけ話」全般について、消費者庁は「儲け話をすすめられたら、まずは疑いましょう」とも示している。
講師や運営者の「実績」が、こちらから確かめられない
「指導する人」の華やかな経歴や、過去の成果が並ぶこともある。ただ、見せられた実績は、こちらの手で裏が取れるかどうかが基準になる。名前を調べても情報が出てこない、成果の画像はあるが第三者が検証できない。そういう「自分では確かめられない実績」は、根拠としてはかなり弱いと私は考えている。これは月利10%を数字でほどいた回で書いたことと、同じ筋の話だ。
申し込む前に、特商法の表記を見る(誰が・いくらで・返せるか)
もうひとつ、登録ボタンを押す前に見てほしい場所がある。ネット通販や情報商材には、特定商取引法に基づく表記が義務づけられている。消費者庁の特定商取引法ガイドは、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号などの表示を求め、「通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められません」としている。返品の可否や条件も、広告に明示することが必要とされる。根拠となる条文は特定商取引に関する法律 第11条にある。
裏返せば、この表記の薄さは、そのまま確認の手がかりになる。申し込む前に、次のあたりを淡々と見ておきたい。
- 販売事業者の正式名称・運営責任者の氏名・住所・電話番号が、屋号やサイト名だけで済まされていないか
- 支払う金額(本体価格・サポートプラン代)が、申し込み前にはっきり書かれているか
- 返品・返金(クーリングオフを含む)の条件が明示されているか
- 連絡先が、フリーメール1本だけで、会社としての所在が見えない状態になっていないか
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
気合いで見抜こうとすると続かない。私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。一番効くのは、その場で登録しないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにしておくだけで、大半は防げる。そのうえで、
- 「ポイ活」と書いてあっても、元手やプラン代を求められた時点で「投資・副業の話」として読み直す
- 大きな数字は、文字で受け取らず、一度割り算にかけて現実味を確かめる
- 利害のない家族や友人に、登録前に一度話してみる
- 迷ったら、消費生活センターにつながる消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談する(消費者庁の案内)
この記事のまとめ
- 「ポイ活投資」は、支出のおまけ集めと、元手を出す運用という、向きの逆な二つを一語に混ぜている
- 100万ポイント・月10万は、割り算にかけると日常の買い物では届かない。差額の出どころを確かめたい
- 「何をするか」が空欄/特商法の表記が薄い/連絡先がフリーメール1本、は一拍おく合図
結局のところ、その場で決めない・数字を割り算でほどく・誰が/いくらで/返せるかを見る。この3つに尽きる。困ったら188へ。