第195号黒岩検閲済 2026年6月21日 発行(不定期刊/前号:6月21日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|株情報サイトの型

「初動前に仕込める」「勝率○%」とうたう株情報サイトのランキングの型を、お金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「初動前に仕込める銘柄が分かる」「勝率○%超のバックテスト実績」「○日で○倍」――そんな"成績"をいくつも並べて、株の情報サイトや投資顧問を順位づけし、「おすすめランキング1位はここ」と薦めてくるページがある。読んでいると、つい「1位なら間違いないのだろう」と思わされる。特定のサイトは名指しせず、案件をまたいで何度も現れるこの"ランキングの型"について、並んでいる実績は何を見せているのか、そして順位をつけて薦める側は誰のどのお金で動いているのかを、お金の流れと公的データから調べた。

なぜ「ランキング形式」で薦めてくるのか

ランキングという形には、独特の説得力がある。自分で一つずつ比べなくても、「第三者が点数をつけて並べてくれた」ように見えるからだ。「1位・2位・3位」と数字が振られ、推奨銘柄の例や"会員の声"が添えられていると、客観的な評価を見ている気分になる。だが、ここで一度立ち止まりたい。で、その順位は誰がつけているのか。

この型のランキングページは、読者が「1位」のサイトに登録・申し込みをすると、紹介料や成果報酬が運営者に入る作りになっていることが多い。つまり順位をつける側と、紹介で報酬を受け取る側が同じ、という構図になりうる。そうなると「1位」は成績が一番だったサイトではなく、紹介料を一番多く払うサイト、という可能性が出てくる。同じ「無料で薦める」形でも、運営費の出どころをたどると景色が変わることは、無料で毎日「注目銘柄」を配る株サイトの運営費を調べた回や、タダの銘柄情報の先をほどいた回でも見たとおりだ。順位そのものより先に、「この順位づけで誰が得をするのか」を見ておきたい。

「勝率○%」「○日で○倍」という実績は、何を見せているのか

ランキングの根拠として並ぶのが、過去の成績だ。「勝率○%超のバックテスト実績」「推奨した銘柄が○日で○倍」。数字が具体的なほど信じたくなるが、その数字の出どころを確かめられるかどうかが分かれ目になる。

まず「バックテスト」は、過去の値動きに対して後から計算した模擬成績であって、実際にそのお金を張って得た結果ではない。条件を選べば勝率はいくらでも高く見せられる。推奨銘柄の"上がった例"も、当たった分だけを並べ、外れた分を載せなければ、それらしい一覧ができてしまう。画面に出ている数字は運営する側が用意したもので、読者の側から裏を取る手立てがない。で、その勝率の出どころは?――自分で検証できない数字は、根拠としてはかなり弱いと考えていい。

言葉づかいにも線がある。証券取引等監視委員会は、営業員から「この銘柄は絶対に値上がりします」などと言われたとしたら、その営業員は法令違反を犯している可能性があると注意喚起している。「絶対」「必ず」と値上がりを断定する勧誘は、金融商品取引法が禁じる断定的判断の提供にあたりうる。さらに金融庁の監督指針は、投資助言の実績・内容・方法が他社より著しく優れている旨の表示を、根拠を示さずに行っていないかを監督上の着眼点に挙げている。「ランキング1位」「勝率○%」も、裏づけの示されない優位性の表示なら、同じ目で見ておくべきだ。

そもそも、その助言は登録された業者のものか

有料で個別銘柄の売買を助言する事業は、金融商品取引法上の投資助言・代理業にあたり、登録が必要になる。金融庁は、日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法だと明言している。ランキングで薦められているサイトが、そもそも登録を受けた業者なのかどうかは、申し込む前に確かめられる。登録業者かは、金融庁が公表する免許・許可・登録等を受けている事業者一覧や、金融事業者の一括検索で照らし合わせればいい。運営者名や会社名が出てこない、出てきても一覧に見当たらない――それ自体が一つの答えになる。

この種の勧誘は、SNSやウェブ広告と地続きで広がっている。国民生活センターによれば、SNSをきっかけに著名人などを名乗って勧誘される金融商品・サービスの相談は、2021年末の52件から2022年末170件、2023年末には1,629件へと急増している。消費者庁も、SNSなどを通じた投資や副業の「もうけ話」に注意するよう呼びかけ、振込先に個人名義の口座を指定されたらそれは詐欺だと述べている。"ランキングで薦められた優良サイト"という入口であっても、その先で求められることは、こうした注意喚起と重なってくる。

この型に共通する一点 「勝率○%」「初動前に仕込める」「ランキング1位」――並んでいる言葉がどれだけ立派でも、その数字を自分で裏づけられず、順位をつけた側が紹介料で得をする立場なら、それは中立な評価ではなく宣伝の延長だと見たほうがいい。順位の高さより先に、「この実績は自分で確かめられるか」「この順位で誰が儲かるのか」を一度声に出してみる。それだけで、見え方はだいぶ変わる。

申し込む前に、確かめられること

幸い、お金や個人情報を渡してしまう前なら、自分の手でできることがいくつかある。一つは、薦められているサイトの運営者名・会社名・登録の有無を、先ほどの金融庁の一覧で照らすこと。もう一つは、並んでいる実績を「自分で検証できるか」で測ること。バックテストや"会員の声"のように、こちらから裏が取れないものは、根拠としていったん脇に置く。

そして、いちばん効くのはその場で決めないことだ。「今だけ」「枠が残りわずか」と急かされたり、「絶対に上がる」と断定されたりしたら、それ自体が立ち止まる理由になる。判断に迷ったら、消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すれば、身近な消費生活センターにつないでもらえる。金融サービスそのものについては、金融庁の金融サービス利用者相談室でも一般的な相談を受け付けている。申し込む前でも後でも、相談は早いほどいい。

迷ったとき用の一言 「本当に勝てる銘柄が事前に分かるなら、わざわざ他人に順位をつけて薦め、紹介料を受け取る必要はないはず」。その情報で自分が儲ければ済む話を、広く宣伝してまで人に勧める動機は、たいてい紹介料の側にある。順位の高さに引っぱられず、ゼロから判断していい。
  • 「ランキング1位」は成績一位とは限らない。順位づけで誰に紹介料が入るのかを先に見る
  • 「勝率○%」「バックテスト実績」は自分で裏を取れない数字。検証できないものは根拠にしない
  • 有料の銘柄助言は登録が必要。運営者名を金融庁の事業者一覧・一括検索で照らす
  • 「絶対に上がる」と断定されたり「今だけ」と急かされたら、申し込む前に188へ相談する

この記事のまとめ

  • 株情報サイトの"ランキング"は、順位をつける側が紹介料で得をする立場のことが多く、中立な評価とは限らない
  • 「勝率○%」「○日で○倍」は自分で裏を取れない数字で、根拠としては弱い。断定的な勧誘は法令違反にあたりうる
  • 有料の銘柄助言は登録が必要。運営者を金融庁の事業者一覧で確認できないなら、その時点で立ち止まる

並んだ実績の出どころと、順位をつける側の動機。この二つを確かめられないなら、その場で決めない。それだけで、この型の多くは防げる。