「無料で“次に上がる注目銘柄”を教えます」──タダの銘柄情報の先を、お金の流れでほどく
「無料登録で高騰期待の注目銘柄を配信」「次に上がる銘柄、無料でお教えします」。SNSのDMや投資情報サイトで、よく見かける誘い文句だ。特定の案件を名指しするつもりはない。案件をまたいで繰り返し現れる一つの型として読んでほしい。タダで届く銘柄情報、その先に何が置かれているのか――お金の流れでほどく。
まず確かめたいのは「無料なのはどこまでか」
無料なのは、最初の銘柄情報と「無料登録」までであることが多い。本当に値が動いたあとに用意されているのは、月額の有料会員、個別の投資助言サービス、あるいは数十万円する投資ツールや情報商材――そちらが本命だ。入口の無料と出口の有料は、別の場所に置かれている。
商売である以上、配信にも広告にも人手にも費用はかかる。受け取る側が銘柄情報で払っていないなら、その費用はどこかから出ているはずで、多くの型では後から結ぶ有料サービスのほうから出ている。撒き餌と本命、と言ってもいい。だから本当に確かめたいのは「無料の範囲はどこまでで、有料はいくらからか」――登録する前に、そこを押さえておきたい。
「過去にこれだけ上がった」という実績は、自分で裏が取れるか
この型では、たいてい過去の“的中例”が示される。「あの銘柄を無料配信した、二倍三倍になった」と。だが、見せられた実績は自分の手で確かめられるだろうか。外した回数は数えられているか。配信のタイミングは後出しになっていないか。証券取引等監視委員会も「この銘柄は絶対に値上がりします」といった断定的な判断を示しての勧誘を禁止行為として挙げている。自分で検証できない数字は、根拠としてはかなり弱い、と私は見ている。
そのおすすめ銘柄、誰が・どんな資格で言っているのか
ここが、この型の肝になる。特定の銘柄を「おすすめ」として、反復・継続して有料で助言するには、金融商品取引業(投資助言・代理業)の登録が要る。金融庁は、無登録業者について「投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず、登録を受けている業者と同等の態勢が整っていない可能性が高い」と注意喚起している。無料配信そのものが直ちに違法だというわけではない。だが、その先で有料の助言へ進むなら、相手が登録業者かどうかは確かめておきたい一線だ。
そして、もう一段。もし本当に「次に上がる銘柄」が分かるのなら、人を募って配信するより、黙って自分で買っているはずだ。私はそう見ている。で、その利益の出どころは?――配信する側の儲けは、株が上がることから出ているのか。それとも、登録した人から取る会費やツール代から出ているのか。そこを一度たどってみてほしい。
「必ず上がる」「高騰確実」には、法律が線を引いている
勧誘の言葉にも、注意したい線がある。金融庁は、詐欺的な投資勧誘の典型例として「上場確実ですので、必ず儲かります! 元本も保証します!」といった文句を列挙している。「必ず」「確実」「元本保証」と言い切る相手は、不確実なことについて断定的な判断を提供するという、法律が問題とする線を、その一言でまたいでいる。
つまり、言い切りの強さは安心の材料ではなく、むしろ警戒の材料になる。本当に確かな話なら、断言する必要がない。断言できる話ほど、根拠を聞くと黙る――これは経験則だ。
規模も、小さくない。警察庁の暫定値によれば、令和7年のSNS型投資詐欺の認知件数は9,538件、被害額は1,274.7億円にのぼる。あくまで暫定値だが、前年から件数・被害額とも大きく増えている。「無料の銘柄情報」から入って、気づけば数百万円を動かしていた、という構図はここでも変わらない。
巻き込まれないための、ゆるい行動ルール
気合いで見抜こうとすると疲れる。だから「いつものクセ」にしてしまうのがいい。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにしておく。そのうえで、
- 「無料」がどこまでで、有料はいくらからかを、登録する前に確かめる
- 見せられた“的中実績”は、外した回数も含めて自分で裏が取れるかを基準にする
- 有料の助言へ進む前に、相手が金融商品取引業の登録業者かを確認する
- 「必ず」「確実」「元本保証」が出たら、安心ではなく警戒の合図として受け取る
この記事のまとめ
- 「無料で注目銘柄を配信」の型は、無料なのは入口だけで、本命は後ろにある有料会員・投資助言・ツールに置かれていることが多い
- 銘柄を有料で反復継続して助言するには登録が要り、「必ず上がる」と言い切る勧誘は断定的判断の提供という線をまたいでいる
対策は結局、無料の範囲を確かめる・実績の裏を自分で取る・その場で決めない。この3つに尽きる。迷ったら、まず消費者ホットライン「188」へ。