第395号黒岩検閲済 2026年7月26日 発行(不定期刊/前号:7月26日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|模擬タスク信用形成×電話勧誘段階アップセルの型

タップするだけの“模擬タスク”に少額報酬が実際に振り込まれ、電話で数千円の教材から数百万円のプランへ引き上げられる副業勧誘の型を、消費者庁・国民生活センターの一次情報で調べた

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黒岩警戒度

今号はこの件を洗いました。(黒) スマホの画像をタップするだけの「作業」に、実際に数百円が振り込まれる。信用したところに電話がかかってきて、数千円の教材から始まり、気づけば数十万円、案件によっては数百万円規模のプランを勧められる――特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れるこの型を、公的機関の一次情報から調べた。

最初の数百円は、なぜ振り込まれるのか

国民生活センター「スキマ時間に気軽に稼げる等とうたう副業トラブル」(2024年9月4日)は、この種の勧誘の核心をこう説明している。「始めに簡単なタスクをすると数百円程度の報酬を得られることがあり、そのために、今後も報酬を得られるだろうと信用してしまい、相手方から高額な費用負担を求められてもそれ以上の報酬が得られることを期待して金銭を支払ってしまいます。」

同資料に載る相談事例では、最初に少額の報酬を受け取った後、「あなたのミスでチーム全員が損をした」というような理由をつけられ、15万円、次いで約40万円、さらに約70万円と、請求される額が段階を追って積み上がっていったという。数百円が実際に振り込まれたという一点だけで、その後の何十万円もの請求まで信用してしまう。ここが型の核だと私は見ている。では、最初の数百円と、後から求められる数十万円は、本当に同じ話の延長なのか。

少額の実績と、高額の請求は切り離して考える 最初の報酬が実際に振り込まれたことは、事業者が実在すること以上の意味を持たない。その後の高額な請求が正当かどうかは、まったく別の話として、都度確かめ直していい。

教材数千円から、プランが数百万円まで積み上がる型

入口の教材そのものは数千円程度で、参入のハードルは低く見える。ただ、そこから先に電話でのやり取りが挟まると、金額の積み上がり方が変わってくる。消費者庁「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」(2025年6月26日)には、電話で契約をためらう相手にこう持ちかけたという記録がある。「消費者が、サポートプランの高額な契約金額を聞いて契約をちゅうちょしていると、本件事業者は、消費者金融から借入申請をしてください。簡単にお金を借りることができます。借りられた分だけでプランを進めましょう。」

同資料には、サポートプランが10万円台から数百万円台まで、複数の価格帯に細かく分けて設定されていた事例も確認できる。私見だが、プランの価格帯が細かく刻まれているのは、財布の中身に応じて「無理なく払える金額」を演出しやすくするためではないかと見ている。電話で契約をためらうと、次に出てくるのが自社の値引きではなく消費者金融からの借入だとしたら、それはもう副業の相談ではなく、借金をしてでも契約させる話になっている。

クーリング・オフの日数は、契約の実態で変わる 電話でこの種の高額プランを契約させる形には、特定商取引法上の複数の規制が及びうる。「業務提供利益が得られると相手方を誘引し、その者と特定負担を伴う取引をするもの」(特定商取引法ガイド「業務提供誘引販売取引」・消費者庁)に当たれば、法律で定められた書面を受け取った日から20日以内はクーリング・オフができる。電話をきっかけにした契約という側面だけを見れば「電話勧誘販売」(特定商取引法ガイド「電話勧誘販売」・消費者庁)に当たり、この場合は8日以内となる。どちらに当たるかは契約の実態によって変わるため、ここで断定はしない。ただ、いずれの型であっても、契約前に交付されるべき書面がその場で示されているかどうかは、確かめてほしい。

この型が現れやすい入口

SNSをきっかけにしたこの種の相談は、国民生活センターの集計で2020年度の23.0%から2024年度には70.1%まで増えている。平均の契約購入金額も、2020年度の27万9,519円から2024年度には105万9,658円まで上がっている(前掲・国民生活センター資料)。少額の報酬から入って高額の契約まで進む距離が、年々短く、そして高額になっている――そう数字が示していると私は見ている。生成AIを謳う副業がLINE登録から電話勧誘、年額のローン契約へと進む型の全体像は、別の号でお金の流れとして分解した。

迷ったとき用の一言 最初の数百円は、後から求められる数十万円・数百万円を正当化しない。この2つは、いったん切り離して考えてほしい。電話でその場の返事を求められたら、切ってから調べても遅くはない。

すでに教材・プランの契約をしてしまった方へ

すでに教材やプランの契約、あるいは借入の手続きまで進んでしまった方へ。まず一つだけ。お金を取り戻すこと以上に、これ以上払わない・これ以上借りないことが先だ。

  • 最初に少額の報酬が実際に振り込まれても、その後の高額請求が正当化されるわけではないと切り分ける
  • 契約前に交付されるべき概要書面・契約書面が、その場で示されているか確認する
  • 電話でその場の返事を求められたら、いったん切って持ち帰る
  • 消費者金融からの借入や、他社ローンの利用を勧められたら、その時点で一度立ち止まる
  • すでに払っている・借りている場合は、やり取り(LINE・電話日時・契約書面)の記録を残し、消費者ホットライン「188」に相談する

相談先がすぐに分からなければ、消費者ホットライン「188」(消費者庁)から最寄りの窓口につないでもらえる。私には個別の解決はできない。判断は正規の窓口に委ねてほしい。それが一番確かだ。

この記事のまとめ

  • タスクに少額の報酬を実際に振り込んで信用をつくり、電話で段階的に金額を引き上げる型がある
  • 特定商取引法上、契約の実態によって「業務提供誘引販売取引」「電話勧誘販売」いずれの規制も及びうる
  • 最初の数百円と、後から求められる高額請求は切り離して考える

数百円が本当かどうかより、後から求められる金額のほうを疑ってほしい。(黒)