第233号黒岩検閲済 2026年6月25日 発行(不定期刊/前号:6月25日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|副業情報商材勧誘の型

「スマホで放置するだけ」とうたう副業情報商材の型を、お金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「スマホに載せて放置するだけで、月◯万円」。SNSの広告や動画で、そんな手軽さを入口にした副業の勧誘がある。無料、あるいは数千円で始められると案内され、登録して進むうちに、今度は数十万円の「サポートプラン」が出てくる。特定の業者は名指ししない。案件をまたいで現れるこの「手軽な入口で人を集め、段階的に高額プランへ運ぶ」型を、誇大な表示・返金保証・借入への誘導という三つの論点から、お金の流れで調べた。

「放置で稼げる」は、法律ではどう扱われるのか

まず、入口の言葉そのものを見ておきたい。「誰でも」「簡単に」「放置で」というたぐいの表現は、効果や成果をうたう広告にあたる。こうした表示は、実際よりも著しく優れて見せれば景品表示法の優良誤認、取引条件を実際より有利に見せれば有利誤認として規制される対象になる(景品表示法 第5条・e-Gov法令検索)。

副業の指導役として教材やサポートを売る取引は、特定商取引法の業務提供誘引販売取引にあたることがある。この類型では誇大広告が禁じられており、「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」はしてはならない、と消費者庁は整理している。つまり「放置で月◯万」と出す側には、その根拠を示す責任がある。受け手が雰囲気で信じる話ではない。で、その「放置で稼げる」という利益は、どこから出てくるのか。

無料・低額の入口から、段階的に高額プランへ(お金の流れ)

この型の本体は、入口の手軽さではなく、その先にある高額契約だ。消費者庁は2025年6月、簡単な副業をうたって高額なサポートプランを契約させる事業者への注意喚起を出している。そこでは、「このプランなら、月50万が当たり前になる」などと勧誘し、高額なサポートプランを契約させる手口が紹介されている(消費者庁・2025年)。入口は無料や低額でも、出口は数十万円という構図だ。

金額の重さは、相談データにも表れている。国民生活センターによれば、こうした副業トラブルの平均契約購入金額は2020年度の約28万円から、2024年度は途中集計で約106万円へと上がっている(2024年発表)。28万円が106万円。約4年で、一人あたりの被害が3倍以上に大型化している計算になる。件数そのものより、一件の重さが増している、という見方ができる。

この型の入口 無料・低額で入口を開き、登録や成功体験で気持ちが乗ったころに、本命の高額プランを出す。物販でもAI副業でも、入口の手軽さと出口の金額がちぐはぐな話は、まずこの型を疑っていい。

「返金保証があるから安心」は、そのまま信じない

高額プランを勧められると、たいてい「儲からなければ返金保証がある」という言葉が添えられる。だが、保証という言葉と、実際に返ってくることは別物だ。先の消費者庁の注意喚起でも、「儲けが出なければ返金保証がある」と勧誘されたが、実際には報酬が得られなかったといった相談が各地の窓口に多数寄せられている、とされている。返金保証が、契約を後押しするための言葉として使われている、という見方だ。

保証の中身も確かめたい。返ってくるのが支払った金額ではなく、「サポート期間の延長」だけ、という設計もある。これは返金ではなく、関係を長引かせる仕掛けにすぎない。儲からず返金してほしい、というトラブルは各地の消費生活センターに多く、国民生活センターも情報商材の返金相談として整理している。返金交渉を一人で抱え込む前に、窓口に相談してほしい。

払えない人を、借入へ運ぶ型もある

もう一つ、見落としたくない流れがある。高額プランを「いま手元にお金がない」と断ろうとすると、支払い方法のほうを用意してくる場合があることだ。消費者庁は2024年2月、遠隔操作アプリでスマホの画面を共有させ、消費者金融業者から高額な借入れをさせて支払わせる副業サポート事業者への注意喚起を出している(被害者の多くは20代)。

ここが、この型のいちばん重いところだ。手元にお金がなくても契約は止まらず、借金だけが残る。稼ぐために始めたはずが、増えたのは相手への支払いと、自分の借入だった——という順番になりかねない。で、その配当やサポート料は、誰の利益から出ているのか。説明されないまま借入を勧められたら、そこでいったん離れてほしい。

入金・契約の前の一言 「いったん持ち帰って調べます」。本当に健全な副業なら、こちらが調べる時間を取ることを嫌がらない。その場で借入まで案内してくる手軽さこそ、立ち止まる合図だと考えていい。

契約の前に、そして後に、できること

大げさな道具はいらない。入金や契約に進む前に、次のことだけ確かめておきたい。

  • 運営会社と代表者が実在し、設立から日が浅すぎないか、国税庁の法人番号公表サイトで名称・所在地を無料で確かめる
  • 「放置で月◯万」を、複利や件数で割り算してみる。本当なら人を集めず黙ってやっているはず、という視点を一度通す
  • 「返金保証」は、何が・いつ・どんな条件で返るのかを契約前に文面で確かめる。延長だけなら返金ではない
  • 支払えない額を、借入で埋めない。利害のない家族や友人に一度話してから決める

すでに契約してしまった人へ。気持ちは分かるが、まず一つだけ。お金を取り戻すこと以上に、これ以上払わないことが先だ。そのうえで、解約の窓は完全には閉じていない。副業の指導を売る取引が業務提供誘引販売取引にあたれば、「法律で決められた書面を受け取った日から数えて20日以内」はクーリング・オフができるとされている(消費者庁)。書面に不備があれば、その期間はまだ始まっていない、という扱いになりうる。一人で抱え込まず、消費者ホットライン188(相談無料・通話料のみ負担)で当てはまるか相談してほしい。

この記事のまとめ

  • 「放置で稼げる」式の入口は無料・低額でも、本命は数十万円の高額プラン。平均契約額は4年で約28万円→106万円へ大型化している
  • 「返金保証」は実態が伴わない相談が多い。返るのが金額か、サポート延長だけかを契約前に文面で確かめる
  • 払えない人を借入へ運ぶ手口もある。契約後でも、業務提供誘引販売取引なら20日間のクーリング・オフが使えることがある。窓口は188

手軽な入口と、重い出口。そのちぐはぐさに気づいたら、その場で決めず、運営の実在と「利益の出どころ」を自分で確かめてほしい。