第221号黒岩検閲済 2026年6月24日 発行(不定期刊/前号:6月24日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|投資勧誘の型

株初心者の“お悩み相談”につけ込む投資勧誘の型を、お金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「株は何から始めればいいのか」「どの銘柄を、いくらから買えばいいのか」。これから投資を始めたい人が抱く疑問は、だいたいこのあたりに集まる。素朴で、まじめな悩みである。今号で調べたのは、その悩みそのものを入口に使ってくる勧誘の型だ。特定の業者を名指しはしない。案件をまたいで繰り返し現れる「お悩み相談」型の入口を、お金の流れで追ってみる。

なぜ「お悩み相談」が入口に選ばれるのか

初心者の質問は、答える側にとって都合がいい。相手が何に困っているかが、最初から分かっているからだ。「不安ですよね、私も最初はそうでした」と寄り添えば、警戒心はゆるむ。お金の話は、そのあとに出してくる。親身に見える態度そのものが手段になっている、というのが少しやっかいなところだ。

接触の場はSNSやマッチングアプリ、無料のチャットグループが多い。警察庁の集計でも、勧誘のきっかけはバナー等広告が3,760件、ダイレクトメッセージが3,576件と、画面越しの接点が大半を占めている。国民生活センターも、SNSをきっかけにした金融商品トラブルの相談が2021年度の52件から2023年度には1,629件へ急増したと注意を出している。3年で約31倍だ。割り算をするまでもなく、入口がそこにあることが分かる。

お金の流れ:相談はタダでも、その先で何が起きるか

「お悩み相談」自体は無料のことが多い。お金が動き始めるのは、もう少し先である。やり取りが続くと、有料の助言、情報商材、あるいは「特別な口座」や暗号資産への入金へと、要求が少しずつ上がっていく。金融庁は手口として、「プロ投資家向けの口座など、選ばれた人だけの口座が特別に利用できると謳って勧誘を行う」例を挙げている。「あなただけ」という言葉は、相談で築いた距離の近さがあってこそ効いてくる。

そして、いちばん見ておきたいのが出口だ。同じく金融庁は、「最初のうちは出金できるが、まとまった金額を出金しようとすると理由をつけて断られ、その後出金できなくなる」という流れを説明している。少額のうちは引き出せる。だから信用してしまう。金額が育ったところで、引き出せなくなる。つまり、最初に出金できたことは安全の証拠ではなく、次の入金を引き出すための呼び水だった、という形になる。

数字でほどく SNS型投資詐欺の規模は小さくない。警察庁の暫定値では、令和7年の認知件数は9,538件、被害額は1,274.7億円にのぼる。単純に割れば1件あたり約1,300万円。相談が「お悩み」から始まることを思えば、入口の軽さと出口の重さの落差は、かなり大きい。

で、その助言料の――利益の出どころは?

相手が「教える側」を名乗るなら、一度立ち止まって確かめたいことがある。報酬を取って投資助言や運用を行うには、登録が必要だという点だ。金融庁は、業者の所在地が海外であっても、日本の居住者を相手に金融商品取引を業として行う場合は日本で金融商品取引業の登録が必要だとし、まず相手の登録を確認するよう求めている。登録のない相手と取引すれば、出金の拒否や法外な手数料の請求、ある日連絡が取れなくなるといった高いリスクを負う、というのが行政の整理だ。「無料で教えます」という言葉の先で、誰が・いつ・何の名目でお金を受け取るのか。そこが説明されない相談には、近づかないでおきたい。

巻き込まれないための、ゆるい確認

気合いで見抜こうとすると疲れる。私は「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思っている。いちばん効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、相談を入口にした勧誘の大半は、入口で止められる。そのうえで、

  • 助言料や運用を勧められたら、まず相手が登録業者かどうかを自分の手で確かめる
  • 見せられた成績やスクショは、自分で裏が取れない数字だと考えておく
  • 「あなただけ」「選ばれた人だけ」という言葉が出たら、一拍おく
  • 少額でも「お金を入れる=信頼の入口」だと意識し、出金できたことを安全の証拠にしない
迷ったとき用の一言 「本当に役立つ相談なら、こちらが調べる時間を取ることを嫌がらないはずだ」。急かされた、第三者に話しづらい雰囲気がある――そう感じたら、それ自体が黄信号だと考えていい。判断に迷うときは、消費者ホットライン「188」に相談したい。

この記事のまとめ

  • 「お悩み相談」型は、初心者の素朴な疑問に寄り添う形で近づき、相談→無料グループ→助言料・海外口座へと要求を上げていく
  • 相談はタダでも、出口は「最初は出金できる→まとまった額で出金できなくなる」になりがち

確かめ方は結局のところ、その場で決めない・相手の登録を確かめる・第三者に話す。この3つに尽きる。