第184号黒岩検閲済 2026年6月20日 発行(不定期刊/前号:6月20日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|高額講座の型

「スキル不要で月30万」の無料講座、料金が出てこない理由をお金の流れで調べた

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黒岩警戒度

「占いのスキルで月30万」「手相が読めれば在宅で稼げる」。最近、こういう“稼げる系”のオンライン講座の広告をよく見かけます。共通しているのは、入口が「無料」だということ。無料登録、無料動画、無料の個別相談——どこを見ても料金が出てきません。けれど、最後の最後で数十万円の受講料が出てくる。この順番には理由があるので、案件名ではなく「型」として、お金の流れから淡々と分解してみます。

「無料」で始まるのに、なぜ最後は数十万円になるのか

個別の案件ではなく、よく見る流れを並べるとだいたいこうなります。広告では「スキル不要」「リスクゼロ」「初心者でも月◯万円」と効果だけを強調し、肝心の料金は書かない。気になった人は無料LINEに登録し、無料動画で「やれそう」という気持ちを育てられ、最後に「個別ヒアリング」と称した電話やZoomへ案内されます。料金が初めて提示されるのは、たいていこの個別相談の場面です。

料金が後回しになる二段階の流れ

つまり「広告で集める段階」と「契約を取る段階」が分かれている、いわゆる二段階の構造です。実際、消費者庁は2025年6月の注意喚起で、「当社が案内する副業はアフィリエイトである。(中略)初心者でも簡単に稼ぐことができる」などと勧誘を受け、高額なサポートプランの契約をしたという相談が各地に寄せられていると公表しています(消費者庁「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」2025年6月26日)。商材が副業でも占いでも、入口を無料にして、料金は対面に近い場面まで伏せておく——この設計が共通点です。

で、その利益の出どころは?

こういうとき私がいつも引っかかるのは、「で、その利益の出どころは?」という一点です。広告は「あなたが稼げる」と語ります。でも事業者が確実に手にできるお金を探すと、多くの場合それは受講者の“稼ぎ”ではなく、受講者が払う受講料そのものです。20万円、41万円、100万円といった金額が提示される構図では、入口で約束された「あなたの利益」と、出口で実際に動く「事業者の利益」が、向きとして逆になっているわけです。

もちろん、学んで本当に稼げる講座もあるでしょう。問題は、その判別材料が契約前にほとんど開示されないこと。受講後にどれだけの人が、いくら回収できたのか。集客の具体的な方法は教えてもらえるのか。連絡先は携帯番号だけではないのか。こうした「自分で検証できる数字」が出てこないまま、その場の雰囲気で契約まで進んでしまう。国民生活センターも2023年度のまとめで、内職・副業に関する相談の増加が目立ったと報告しています(国民生活センター「2023年度 全国の消費生活相談の状況」)。

「無料」が無料なのは入口だけ 無料の動画やLINEは、料金を見せないまま「やれそう」という気持ちを育てるための入口になっていることがあります。タダで受け取った分だけ断りにくくなる——その心理が、個別相談での高額提案とセットになっている点に注意が要ります。

契約前に当てられる、3つの公的な物差し

気合いで見抜くより、公的なルールを物差しにするほうが確実です。占いやコーチングの継続講座は、販売の形によって特定商取引法の対象になります。通信販売の広告について消費者庁は、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号の表示が必要で、「電話番号」については確実に連絡を取れる番号を表示すること、申込みの撤回・解除の条件等も表示する必要があると説明しています(消費者庁「特定商取引法ガイド/通信販売広告について」)。逆に言えば、会社の所在地や固定の連絡先、返金条件がはっきり出てこない相手は、それ自体が一つの判断材料になります。

そして、迷ったら一人で抱えないこと。消費者庁は、困ったときは「消費者ホットライン」188(いやや)に相談すれば、身近な消費生活センターを案内してくれると案内しています(消費者庁「消費者ホットライン」)。契約してしまった後でも、相談は早いほどよいです。

  • 料金(総額)と返金条件が、契約前にはっきり書面で出てくるか
  • 会社の所在地・固定の連絡先が確認でき、携帯番号だけになっていないか
  • 「受講者が実際にいくら回収できたか」を自分で検証できる材料があるか
  • 個別相談の場で即決を迫られていないか(持ち帰って調べられるか)
迷ったとき用の一言 「本当に学ぶ価値があるなら、料金を最初に見せても申込みは減らないはず」。料金が最後まで出てこない、その場で決めさせたがる——そう感じたら、急がずに一度持ち帰って、188に相談してから決めても遅くありません。

この記事のまとめ

  • “稼げる系”オンライン講座は「無料の入口 → 個別相談で高額契約」の二段階になりがち
  • 事業者の確実な利益は受講者の稼ぎではなく受講料そのもの、という向きを確認する

判断材料は、料金と返金条件の明示・連絡先の確かさ・回収実績の検証可能性。出てこないなら、その場で決めない。これに尽きます。