第175号黒岩検閲済 2026年6月19日 発行(不定期刊/前号:6月19日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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相場コラムの“次に上がる銘柄”話、最後に投資サービスへ着地する型をほどく

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黒岩警戒度

市況の解説を読んでいると、前半は具体的な相場の話なのに、結びだけが「次に資金が入る中小型株を先回りするには、プロの助言が要る」という方向へ着地している文章がある。情報の提供と、サービスへの勧誘が、一続きの文章でなめらかに渡される。今号はこの型を、前半と結びに分けて眺めてみたい。名指しはしない。扱うのは仕組みのほうである。

相場コラムは、なぜ最後に“サービス”へ着地するのか

前半は、実在する指数や個別株の動きで固めてある。事実なので、読んでいて引っかからない。信頼が積み上がったところで、最後の段落だけが「この先を当てるには専門の助言が必要だ」と向きを変える。

つまり、信頼を作る前半と、誘導する結びの二段構成である。境目に罫線が引いてあるわけではないので、読者は地続きのまま結びまで運ばれる。コラムを読み終えたとき、自分がいつの間にか「助言を申し込む」入口の前に立っている——その動線の設計こそが、この型の本体だと私は見ている。

見せられる実績の数字を、額面どおり受け取らない

こうしたコラムには、たいてい「過去にこの銘柄で◯倍」という実績例が添えてある。297%、890%といった、桁の大きい数字だ。まず、割り算をしてみてほしい。

仮に1年で9倍(+890%)になる運用が、本当に続くとする。元手100万円なら、翌年900万円、その翌年は8,100万円という形になる。1.1を12回かける月利10%の話どころではない。そんな手法が手元にあるなら、人を募らず黙って自分で回しているはずだ。

加えて、見せられた数字は自分で裏が取れない。スクリーンショットも明細らしき画像も、こちらからは検証できない。過去にうまくいった例だけを並べることもできる。検証できない実績は、根拠としてはかなり弱い。そう考えていいと思う。

で、その助言は、登録された業者のものか

ここが、この型でいちばん確かめやすい一点である。日本で他人に投資の助言をして報酬を得る業務や、金融商品取引業は、金融商品取引法に基づく登録が必要になる。金融庁は無登録業者について、「登録を受けていない業者は、投資者等の保護のための態勢が整っていない可能性が高い」と注意を促し、相手が登録業者かを名称や電話番号から確かめられる検索の場を用意している(金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」、2026年6月19日閲覧)。

さらに金融庁は、無登録で金融商品取引業を行っているとして警告書を出した者の名称等も公表している。ただし同庁は「掲載されていない者であっても、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ます」とも記している(金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」、2026年6月19日閲覧)。リストに載っていないことは、安全の証明にはならない、ということだ。

で、その助言は、登録された業者のものか。コラムが勧める先について、まずそこを一つ確かめてほしい。

「必ず上がる」という言い方そのものに注意 相場は不確実なものだ。それを「必ず騰がる」「絶対に儲かる」と言い切る勧誘は、金融商品取引法が禁じる「断定的判断の提供」に当たり得る。過去にどれだけ当たっていても、次が保証されるわけではない。言い切る口ぶりが出てきた時点で、いったん赤信号だと思っている。

お金の流れで見る——少額の利益演出から高額入金へ

結びの誘導に乗ると、その先で待っていることがある。無料のグループや個別の助言へ案内され、最初は少額で「利益が出た」体験をさせられる。信頼が育ったころに増額や高額の入金を求められ、いざ出金しようとすると応じてもらえず、手数料や税金名目の追加支払いを迫られる。

この流れは、金融庁も警察庁も同じものとして注意を呼びかけている。金融庁は、利益が出たように装ったのち「高額な入金をした後に連絡が取れなくなったり、出金時に高額な手数料や税金の支払いを求められます」と説明している(金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」、2026年6月19日閲覧)。手口の段階的な流れは警察庁もSOS47のSNS型投資詐欺のページで示している(2026年6月19日閲覧)。

相談の数も、わずかなものではない。国民生活センターによれば、SNSをきっかけに著名人をかたるなどして勧誘される金融商品・サービスのトラブルは、PIO-NETへの相談が2021年度の52件から2023年度には1,629件へと急増し、2023年度の平均契約購入金額は687万円に上る(国民生活センター 2024年5月29日公表、2026年6月19日閲覧)。では、その利益は、誰の金から出ているのか。少額で見せられた“配当”の出どころを、一度たどってみてほしい。

  • コラムの「結び」だけがサービス誘導になっていないか、前半の解説と切り分けて読む
  • 見せられた実績は、自分の手で裏が取れる数字かどうかを基準にする
  • 助言する相手が登録業者か、金融庁の検索で名称を確かめる
  • 「無料グループ」「個別に教えます」への参加だけでも、一拍おいてからにする
迷ったとき用の一言 「本当にいい銘柄なら、急がなくても明日も残っているはず」。健全な情報なら、こちらが登録の有無や数字を調べる時間を取ることを、嫌がったりはしない。嫌がられたら、それはそれで一つの答えだと思う。

この記事のまとめ

  • 相場コラム型の勧誘は「事実で固める前半」+「サービスへ誘導する結び」の二段構成になりがち
  • 確かめる順序は、①実績は裏が取れるか ②助言相手は登録業者か ③お金の出どころは説明されているか

結局は、その場で決めない・自分で数字と登録を確かめる・出どころを問う。この3つに尽きる。最終的な相談は警察・消費生活センターなど正規の窓口へ。