第155号黒岩検閲済 2026年6月17日 発行(不定期刊/前号:6月17日発行)|投資詐欺・悪質商法の手口を調べて記録する調査報
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調査報告|元本保証をうたう出資の型

「広告ファンドに出資すれば元本保証で年18%」――“私募債”を名目にした出資勧誘の型を、お金の流れでほどく

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黒岩警戒度

「広告に出資すれば、元本は保証されたうえで、年18%の配当が出る」。そんな話を持ちかけられた、という相談の型が時折ある。多くは「広告に投資するファンド」「少人数だけの私募債(しぼさい)」といった、聞き慣れない名目とセットになっている。今号は、この“広告ファンド・私募債を名目にした、元本保証つき高配当の出資勧誘”を、ひとつの型としてお金の流れからほどいてみたい。特定の業者の話ではない。同じ形は名前を変えて、何度も現れている。

まず、「元本保証で年18%」を割り算でほどく

言葉に慣れる前に、数字を置いてみたい。元手を100万円とする。年18%なら、1年で18万円の配当が出る、という約束だ。元本保証がついているなら、これは「100万円は1円も減らないのに、毎年18万円ずつ増える」と言っていることになる。

複利で考えると、もっとはっきりする。1.18を1年ごとにかけていくと、約4年で元手は2倍を超える(1.18×1.18×1.18×1.18=約1.94)。10年置けば5倍を超える計算だ。減らないことを約束しながら、これだけ増やし続ける運用が本当にあるなら、人を募らずとも、黙って自分の金でやっているはずではないか。私はそう見ている。

「元本保証」という言葉そのものに、まず引っかかりたい

「元本保証」とは、要するに「絶対に減らない」と約束している、という点だ。だが、預けた金が必ず戻ると約束できるのは、原則として銀行の預金など、制度で守られたごく限られた商品に限られる。出資やファンドの世界で「元本保証」と「高い利回り」を同時にうたう勧誘について、金融庁ははっきり線を引いている。

金融庁は、「『元本保証』『絶対に儲かる』などと説明して勧誘することは、禁じられています」「幅広い投資家に『未公開株』や『私募債』の取引の勧誘が行われることは、考えられません」(金融庁「大丈夫ですか?詐欺的な投資勧誘にご注意ください!」2010年・2026年6月17日閲覧)と注意喚起している。つまり「元本保証つきで年18%」という言葉は、安心の根拠どころか、まず立ち止まるべき合図のほうだ、ということになる。

「私募債だから少人数で安全」という言い回しに注意 「少人数向けの私募債だから、表に出さず、選ばれた人だけにご案内している」――この“限定”の言い回しは、希少さを演出して判断を急がせる役割も担っている。だが金融庁が言うとおり、幅広い人に私募債の勧誘が回ってくること自体が、本来は考えにくい。「あなただけ」と言われたら、むしろ一度引いて見たい。

では、その配当はどこから出てくるのか

ここが、この型の一番の急所だと思う。「広告ファンド」をうたう話では、「集めた資金で広告枠を運用し、その広告収益から配当を出す」と説明されることが多い。もっともらしい。だが、見るべきは説明の上手さではなく、お金の出どころのほうだ。

配当の原資が、本当に広告で稼いだ利益なのか。それとも、後から入ってきた新しい出資者の金を、先に入った人への配当に回しているだけなのか。後者だとすれば、それは新規入金が続いている間だけ配当が出る構造にすぎない。入金が細れば、配当は止まり、元本も戻らなくなる。「配当は毎月きちんと来ていた」という安心が、かえって入金を続けさせる仕掛けになっていることもある。で、その利益の出どころは?――そこが数字で説明されない話には、近づかないでおきたい。

「登録を受けているか」を、最後の物差しにする

仕組みが分かりにくいときに、最後に頼れる物差しがひとつある。その勧誘元が、国の登録を受けた業者かどうか、だ。

ファンドへの出資をひろく募る業務には、金融商品取引業の登録が必要だ。金融庁は「登録を受けずに、一般投資家に対して、ファンドへの出資の勧誘等をすることは、法律違反の可能性があります」(金融庁「いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について」2026年6月17日閲覧)と明記している。さらに無登録業者については、「日本で登録を受けずに金融商品取引業……を行うことは違法です」「無登録業者は、投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず……可能性が高い」(金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」2026年6月17日閲覧)とも述べている。

勧誘を受けたら、相手の業者名を、金融庁の登録業者一覧と、無登録業者の警告リストの両方で確かめてほしい。名前が登録側に見当たらず、警告側にあるなら、その時点で答えは出ている。

同じ構造の相談は、形を変えて増えている 勧誘の入口は移り変わるが、「出資後に引き出せなくなる」という出口は共通している。国民生活センターは、SNSを入口に著名人をかたるなどして勧誘される金融商品の相談について、「2023年度の相談件数は1,629件(2021年度末の52件と比較して大幅に増加)」「1件当たりの平均契約購入金額は687万円」(国民生活センター 2024年5月29日公表・2026年6月17日閲覧)と報告している。入口はSNS起点型が中心の調査だが、「実態の見えない先へ振り込ませ、後で出させない」という構造は、広告ファンド・私募債の名目とも重なる。

巻き込まれないための、ゆるい確認手順

気合いで見抜こうとすると疲れる。だから、いくつかを「いつものクセ」にしてしまうのがいいと思う。一番効くのは、その場で決めないこと。「いったん持ち帰って調べます」を口ぐせにするだけで、急かす型の大半は防げる。そのうえで、

  • 「元本保証」と「高い利回り」が同じ口から出てきたら、まず立ち止まる
  • 配当の出どころ(広告収益か、新規入金か)を、数字で説明できるか確かめる
  • 勧誘元の業者名を、金融庁の登録業者一覧と無登録業者リストの両方で照らす
  • 「少人数限定」「あなただけ」と急がされたら、それ自体を黄信号と受け取る
  • 契約前に、利害のない家族・第三者か、消費生活センター(188)に一度話す

この記事のまとめ

  • 「広告ファンド・私募債」を名目にした「元本保証つき年18%」は、減らないのに増え続ける運用を約束する話で、複利で割り戻すと現実味が測れる
  • 金融庁は「元本保証・絶対儲かる」をうたう勧誘を禁じ、無登録でのファンド勧誘は違法の可能性があると明記している

見るべきは名目の新しさではなく、配当の出どころと、勧誘元が登録された業者かどうか。迷ったら、その場で決めずに正規窓口へ。