無料の予想・情報配信が、段階を追うごとに数十万円から数百万円規模のサポートプランへ進む型を、消費者庁の注意喚起と特商法の表示義務で調べた
SNSやメッセージアプリで見かける無料の予想・情報配信サービスには、ある共通した進み方がある。まずは無料か数千円程度の低い金額で接触し、そこで見せられる回収率や実績は本人の申告だけで、第三者による検証はない。距離が近づいた頃合いで数十万円のサポートプランが案内され、そこから段階を踏むごとに金額が一段大きくなっていく——最終的には数百万円規模に達することもある。特定の事業者は名指しせず、案件をまたいで現れる一つの型として、お金の流れで調べておきたい。
「無料」の入口と、SNSをきっかけにした相談の急増
無料や低額の接触自体は、それだけでは問題にならない。ただ、SNSで知り合った相手からの儲け話に関する消費生活相談は、ここ数年ではっきりと増えている。国民生活センターの発表によれば、SNSをきっかけとして著名人を名乗る、あるいはつながりがあると称して勧誘される金融商品・サービスに関する相談は、2021年度に52件だったものが2022年度に170件、2023年度には1629件に達したという(国民生活センター「SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増」2024年5月29日)。2022年度から2023年度への伸びは、単純な割り算でおよそ9.6倍という計算になる。「無料だから」「知り合いの紹介だから」という安心感の裏側で、相談件数そのものは急な角度で増えている。
見せられる「回収率」を、どう受け止めるか
この種の勧誘では、実績として高い回収率や利益額が示されることが多い。だが、その数字は本人が示しているだけで、こちらから検証する手立てがないことがほとんどだ。消費者庁は、これとよく似た「無料・低額の入口から、段階的に高額なサポートプランへ進ませる」という構造を持つ、別の事業者について次のような注意喚起を公表している。「このプランなら、月50万が当たり前になる」「儲けが出なければ返金保証がある」などと勧誘を受け、高額なサポートプランを契約したが報酬が得られなかった、という事例だ(消費者庁「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」令和7年6月26日)。成果が不確実な事柄について、確実であるかのように告げる行為は「断定的判断の提供」と呼ばれ、消費者契約法上、契約の取り消しが認められる場合がある。回収率にせよ月々の報酬額にせよ、断定的な言い切りが来た時点で、一度立ち止まりたい。で、その利益の出どころは?
数字でほどく——十万円が、段階を追うごとに膨らんでいく
この型でよく見る費用の進み方は、最初のプランが十万円ほど、そこから上位プランが案内されるたびに金額が一段大きくなり、最終的には数百万円規模に達するというものだ。仮に入口が10万円、最終的に200万円を超える段階まで進んだとすると、単純な割り算で20倍という計算になる。入口で示された金額の実に20倍を、段階を踏むごとに払うことになりかねない。回収率の高さに気を取られている間に、支払う側の総額がどこまで膨らんでいるかを見失いやすいというのが、この型の厄介なところだ。
で、その運営者は——事業者表示という最低ライン
社名や運営実態を調べる以前に、そもそも勧誘の場でその情報自体が示されているかどうかも確認ポイントになる。通信販売等を行う事業者には広告等での表示義務があり、消費者庁は「住所については、現に活動している住所を正確に表示する必要があり」「電話番号については確実に連絡を取れる番号を表示することが必要」としている(消費者庁「特定商取引法ガイド:インターネットで通信販売を行う場合のルール」)。住所や電話番号が欠けている、あるいは運営者の名称に変遷が見られる場合は、この表示義務に照らして確認したいポイントが増える。特商法違反だからといって即座に断定できるわけではないが、まず氏名・住所・電話番号がどこかに(広告になければ請求すれば)出てくるかどうかを見る、というのが確実な確かめ方になる。
- 示された回収率や利益額は、自分の手で検証できるかどうかを基準にする
- 契約前に、上位プランや追加費用の有無と、その金額をあらかじめ確認する
- 広告や説明資料に事業者の氏名(名称)・住所・電話番号が示されているか確認し、なければ請求して書面で受け取る
- 運営者の名称や連絡先が、以前に見た別の勧誘と同じ内容でないか検索して確かめる
- 契約書・やり取りの記録・示された回収率の根拠は、判断材料として保存しておく
この記事のまとめ
- SNSをきっかけにした儲け話の消費生活相談は急な角度で増えており、無料・低額の入口そのものが安全の証明にはならない
- 検証できない回収率や実績の断定は「断定的判断の提供」に近い構造であり、特定商取引法が求める事業者の氏名・住所・電話番号の表示とあわせて確認したい
確かめるべきは、示された実績の高さではなく、そこにたどり着くまでに要求される金額の総額だ。(黒)